角名くんに送ってもらって病院まで来た。
『角名くんありがとう』
「いいよ一緒に帰りたかったし。……ちゃんと話せるといいね」
『…うん』
ガラッ…
西野「あ、あなた!来てくれたんだ」
『うん』
西野「座って座って!」
そう言ってベットの脇にある椅子をトントンと叩いた。
『咲……』
西野「? どーしたの」
『あのさ昨日、角名くんお見舞いに来たよね』
西野「え、あー、うん…!」
『ごめん。私その会話全部聞いちゃったんだ』
西野「!……そっかそっか。気にしないで…!」
『それじゃ駄目だと思って今日来たの』
西野「え……?」
『前みたいにお互い気を遣わずに話せるように』
西野「………そうだよね」
『うん。……私に彼氏が出来た時に1番に報告したのは咲だったの、そして1番喜んでくれたのも咲』
西野「うん…」
『私はひとつだけ…後悔してる』
西野「……彼氏をつくったことでしょ?それが原因で嫌がらせとかを受けたって聞いてたし、その件があったのにあなたの傍にいてあげられなかったから私もずっと後悔してた…」
『違うよ咲』
西野「え……?」
『私が付き合ったのは確かにクズ男だったけどスッキリして別れられたし、強くなれたと思ってる。だから後悔はしてない』
西野「んじゃあなんで……」
『私が後悔してるのは……咲を1人にしたことだよ』
西野「!」
『なかなか時間作れなくてごめんね。本当に後悔してた』
西野「そんなこと言ったら私もだよ……。私だってあなたなら大丈夫だって安心しきって1人にさせちゃった。ずっと後悔してた。……あなたは気にしないでって言っていつも通りお見舞いに来てくれたけど、本当は無理に来てるんじゃないかって心配だった……」
『無理になんて来てないよ。私の意思で来てるから、これからは元通りだよ。お互い誤解を生んでた訳だし。いつも通りまた笑おう』
西野「うん……!ありがとうあなた」
『こちらこそありがとう。放課後、私の内履き探してくれてるの見たし思いは通じてた。』
西野「え!?知ってたの?!」
『私を誰だと思ってんの。8年間咲の親友やってる事舐めないで貰いたい』
西野「あははっ!私も8年間あなたの親友だよっ!」
『ふふっ、あっ、そういえばこないだケーキ屋さん行ったんやけど割引券貰ってん一緒行か……って無茶言ってごめん』
西野「あっ!行けるよ!」
『え?』
西野「こないだ一時退院の許可出たから!」
『ほんとに……!?』
西野「うん!だからケーキ屋行こ!」
『うん!今度迎え行くね!』
西野「ありがと!」
仲直りとケーキの約束をした日の帰り道は
星が凄く綺麗でとにかく1番に見せたくて、
写真を撮って“ 咲に ”送った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!