朝学校に着くと下駄箱に手紙が入っていた。
『……?』
手紙には名前も書いてなく
“ 放課後屋上に来てください ”
そう書いてあった。
『誰からだろ……』
今まで手紙で呼び出されることも多くあって
もちろん名前なんて書いてないことも少なくはなかった。
「九条さんおはよう」
『おはよ。そいえば角名くんき……』
「ん?」
『……やっぱりなんでもない』
今は聞かない方がいいよね……。
「九条さん目赤くない……?」
『え…?そ、そうかな……』
「大丈夫?」
『うん。全然大丈夫』
「ならいいんだけど、」
こういう時に自分が嘘つくのがヘタだって、つくづく思う。
「ねぇ、その手紙みたいなやつなに?」
『下駄箱に入ってた』
「誰から?」
『それが名前書いてないんだよね、放課後屋上に来てくださいってだけ』
「ふーん……」
『聞いといて興味ないのかよ』
「いや、そんなことないけど。まぁ告白だろうね」
『ん〜、そうかな……?』
「?……違うの?」
『いやわからん』
「行くの?」
『そりゃあ一応』
「そっか」
それから放課後まであっという間に時間が流れた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。