レストランで昼食をとった2人は
まだ時間があるため、
あなたの希望により
赤レンガ倉庫にやってきた。
「なんかみたいのがあんのか?」
『久しぶりに帰ってきたので、
ヨコハマの海が観たいなぁって思ったのと…』
「…と?」
中也が次の言葉を待つと、
彼女は生き生きとした表情で話し始めた。
『ここにおいしいアップルパイのお店が
あるらしいので、ぜひ食べたいと…!』
「まだ食うのかよ!」
中也はあまりにもあなたらしい答えと
あきれにより思わずツッコミを入れてしまった。
先程の昼食であなたは
中也とピザをシェアしながら
少しボリュームのあるパスタと
デザートのプリンを食べていた。
中也でも満腹で少し苦しいぐらいの量を
食べていたのに、だ
『えー、だって限定モノのアップルパイが
あるんですよ!食べたいじゃないですか!』
「お前、海じゃなくてアップルパイがメインだろ⁉」
『アップルパイを食べながら、海を観ます!
どっちも大事です!』
「やっぱり、アップルパイがメインと
云ってるようにしか聞こえねぇ…」
ここまで食べたいと主張されれば
中也は脱力しかできなかった。
(コイツの食ったモンはどこ行っちまったんだ?)
中也にとって、いや彼女の食事量を知る
ポートマフィアの人間の誰もが
解けない謎だろうと思い、
考えることを諦めた。
『……アップルパイ食べちゃダメですか?』
中也は「食い過ぎだ!」と云いたい所だったが
彼女に寂しげに聞かれてしまえば
云うことができなかった。
最終的に中也はあなたの根気に負けてしまい、
アップルパイを買い、
海を眺めながら午後を過ごした。
後日酒の席でこの話を広津と梶井にしたところ
「相変わらず甘いですね」
と揃って云われたらしい。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。