第54話

3ー26
1,741
2020/03/17 04:08
中也の攻撃の間に
まだ残っていたギルドの男達が
太宰を含め2人に散弾銃を発砲したが
全ての銃弾は当たる前に消えていく

其れだけではなく
男達の足元に大きな穴ができ
一瞬の事で避けられず
穴に落ちていった

男達は穴が深すぎて
這い登ることすら出来ない

中には落ちた拍子に打ち所が悪く
失神する者もいた

この光景を見ていた太宰は
瞬時に中也の異能ではないと気づいた

では、誰がやったのか…

思考を巡らせようとすると
布がはためく音が聞こえ
ゆっくりとその方向___上空を見上げた

其処には月明かりに照らされた少女が立っていた

彼女は自分の足元に地面を転送・表出させ
空中に立つことが出来る様に
自身の異能〈空間操作〉を発動していた

そして上空から戦況を見ながら
援護として銃弾と足元の地面を失くしていたのだ

「っ⁉あの子は…」

ギルドとの戦いの前に
道端で偶然出会った少女が
真逆ポートマフィアの異能力者だとは
流石の太宰も驚きの声を上げていた

少女は敵を粗方倒したので
階段を下る様に足場を作りながら
空中から降りてきた

トンっと軽い音を立てて地面に着地し
今まで異能に集中していたので一息ついていると
彼女の後ろから太宰が近づいた

「あなたちゃん……だよね?」
『ぇ…あれ…太宰さん?』
「ふふ、やっぱりあなたちゃんだ
 久しぶりだねぇ
 元気だったかい?」
『はいっお久しぶりです!』

「はっ⁉」

中也は戦いながら視界の端に
2人の様子が見え
驚きの声を上げ一瞬固まっていた

「真逆こんな処で
 また会えるなんてねぇ
 嬉しいよ」
『ふふっそうですよね
 私もびっくりしました』

優しい笑顔を向けながら
あなたの頭を撫でる太宰と
其れを嬉しそうにしている
あなたを見た中也は…

「はぁーっ⁉」

あまりの親密さに驚いて
力加減を考えず
丁度胸倉を掴んでいた男を
容赦無く殴り飛ばしていた

「あっ…力入れすぎた…」

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