第38話

3ー10
1,934
2020/01/26 07:30
福沢が黙っていると
与謝野が切り出した

「成る程、唆られる提案だね」
「だろ」
「けどもっと善い案があるよ……
 アンタらの手足を削ぎ落としてから
 何を企んでるか……
 吐かせるってのは如何だい!」

鉈を振り切っ先で中也達を指す

「そりゃ凄ぇ名案だ!
 ……やってみろよ」

中也は楽しそうに好戦的な目をして挑発した

『えっ⁉中也さん?』

あなたが状況の変化に驚き、声を出したが
話はどんどん進んでいってしまい
衝突間近だった

「賢治!」
「えいっさー」

鉄が捻れる音を立たせながら
賢治は線路のレールを剥がし
持ち上げて構える

中也は賢治の行動に
目を見開き驚くが
ニヤリと笑みを浮かべた

「善いねぇ……!」
「気をつけて下さーい!」
『っ⁉』

賢治は明るい声をかけながら
レールを抱えその先端を2人に目掛けて振るう

中也とあなたは同時に飛び
あなたは攻撃範囲から外れる様に後ろに避けた

中也は難なく躱して
そのレールの上に軽やかに降り立っていた

「おおー」

感嘆の声を出す賢治に中也は笑みを浮かべる

「伝言人(メッセンジャー)は性に合わねぇ…
 矢張り仕事は
 こうじゃねぇとなぁ!」

中也はすぐさま攻撃体勢に入り
ポケットに手を入れたまま
そのレールの上を走り賢治に一気に
近づいて蹴りを放った

賢治は両腕で蹴りを防御して受けたが
あまりの強さに勢いよく吹き飛ばされる

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