第49話

3ー21
1,743
2020/03/08 22:41
中也side

Qの異能が止まった次の日

ポートマフィアが拠点とする高層ビル
一階ロビーの床一面に黒い死体袋が並んでいた

……昨日まで生きていた仲間達だ

部下達に遺体の身元確認をさせ
被害総数を出していた

あなたにも医療班の処に行ってもらい
負傷者逹の怪我の具合等を
確認して貰ったので
首領の元に報告に行こうとした時
昇降機から首領が降りてきた

ロビーにいた者全員が作業を止め
首領に向き直る

「いいよ、そのまま続けなさい」

首領の指示で止まった作業は
直ぐに再開された

俺は帽子を外して
胸元に持っていきながら
首領の元に向かった

「被害総数は?」
「直轄構成員が18
 傘下組織を含めると
 100近い死者が出ています
 …癪ですが
 太宰の木偶が詛いを
 無効化してなければ
 この10倍は被害が出ていたかと…」
「首領として
 先代に面目が立たないねぇ」

ロビーの自動扉が開いたので
首領と共に目をやると
探偵社に人質として
連れて行かれた姐さんが
和傘を差して現れた

…良かった、無事で安心した

俺が安堵の息を吐いてると
首領が安心した様に笑顔で出迎えた

「おや、紅葉君!」
「太宰の奴に探偵社を追い出されてのう
 役立たずの捕虜を置いても
 世話代が嵩むからと
 宿泊費代わりに
 使い番まで押しつけられたわ」

着物の襟合わせから
封筒を静かな動作で取り出し
首領に差し出した

「探偵社の社長から
 茶会の誘いだそうじゃ」

姐さんの発言に
一瞬、目を見開いた首領だったが

「……成る程、そう来たか」

納得したように呟いていた

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