第3話

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2019/12/23 23:06
銃声が……
悲鳴が………
赤い飛沫が………
……聞こえる

"地獄絵図"とも呼ばれるような場所に
一人の少女が立っていた…
長く美しい金髪を持ったその少女は
まるで天使のように儚い存在といえる
容姿だった

だが、そんな彼女の両手に握られているのは
M19マグナム……つまりハンドガンだ

襲いかかってくる敵を一人ひとり
ワンショットで仕留め
先へ進んで行く

そして、最後の砦といえる扉を開けると
そこにはカタカタと震え、
祈るように頭を下げた男が一人いた

「頼む……頼む……殺さないでくれ…‼」

安全装置を外したまま銃を握っていたためか
男は意図せず発泡してしまい、少女に当たる…

と思われたが、男が顔を上げると
彼女は"無傷"だった。

「⁉…えっ……なん…で………?」
『あなた方は、"組織"を裏切った…』
「違う……違う……違う……」
『首領の命令により殲滅します……』
「違う………違う!……
 ……俺らは…騙されて‼………」
『……ごめんなさい』

静かに告げられた言葉と共に
心臓に向けて発砲した
……苦しまないように
そう願いを込めて…………

少女は静かに死体に背を向け、
残党がいないか耳を傾けた

聞こえたのは窓から流れる
静かな夜風だけだった…
___________________________________

"仕事"を終え、建物の外に出ながら
彼女は1本の電話をかけた

『……先程、予定通り任務を全て終えました……
 ……ありがとうございます、報告書は
 明後日までに提出します…………
 はい……失礼します』

電話を切り、ふと見上げると
青い満月が浮かんでおり
少女の赤い瞳に映った

『……きれい………』

そう呟いて三ヶ月ぶりに帰る彼女の居場所
"ポートマフィア"へ向けて
また歩き始めた

その少女の名は"あなた・ブラッドリー"
ヨコハマの裏社会を統べる
巨大組織ーポートマフィアーの幹部である

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