第69話

3ー41
1,486
2020/07/18 16:13
数日後、ギルド戦に終止符が打たれた

探偵社の中島敦
ポートマフィアの芥川龍之介が
ギルドの長を倒したのだ

大規模な被害が予測されていた
白鯨落としも阻止され
街はギルド戦前の日常に戻りつつあった

ポートマフィア内も
戦争の後始末が済み
徐々に落ち着きを取り戻していった


茜色に空と海を薄塗りする
美しい夕陽が見えるある日……

首領である森、
そして幹部である中也、紅葉、あなたは
本拠ビルの一室で小さな祝勝会を上げていた

「ロマネの六十四年ものです」
「善いのかえ?
 秘蔵の品じゃろ?」
「今日よりも
 こいつを開けるのに相応しい日が
 あるってのかい、姐さん」

人数分のワイングラスを
持ちながら話す中也は楽しげである

「おや、あなたちゃんのも美味しそうだねぇ」
『ふふ、ドネリ社のロッソです
 前にイタリアに行った時の頂き物で…
 お酒は苦くて飲めないで
 ロマネの代わりに出しちゃいました』
「へぇー良い色だねぇ」
「アルコールが飲めぬあなたには丁度善いのお」

久方ぶりに気心の知れた上司と過ごす時間を
楽しみにしていたあなたは
屈託の無い笑顔で談笑していた

各々のグラスに赤が注がれる

西日に照らされた其れは
透き通った綺麗な色をしていた

「勝利に」

森の声と共にグラスを掲げ
四人はグラス内の液体を一口飲んだ

「こりゃ旨い」

感嘆の声をもらす森に
中也は気掛かりだった事を問いかけた

「首領、芥川の処罰は如何します?」

今回、芥川の力により
ギルド戦を終わらせる事が出来た

しかし、森の指示なくして
単独でギルドの本拠地に
乗り込んでしまっていたのだ

独断行動は規律を重んじる
ポートマフィア内では
背信行動である

だが………

「処罰?
 彼は今回の功労者だ
 …芥川君は昔からそうだよ
 独走し破壊し結果
 最大の貢献をする…
 彼なりの嗅覚だろうね
 成功している限り処罰は無い」

森はグラスを傾け微笑みながら答えた

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