第17話

1ー15
2,433
2020/01/02 15:22
中也side

あなたの作戦開始の連絡が
入ったはいいが
俺とあなたが居た場所が
かなり離れていたから
来るのに遅くなっちまった
つうか…

「おい、あなた
 お前、何で作戦が変わってんだ?
 誘き寄せるポイントが
 予定より大分距離があるじゃねぇか!」
『うっ…すみません…
 ポイントまで歩いていたら
 警戒が増して逃げられる
 可能性がありましたし…
 一人で迎え撃った方が
 警戒を緩めやすくなると思ったので…』
「一人じゃ危ねぇだろうが!
 どんな奴か分かんねぇんだぞ
 強力な異能力者だったらどうすんだよ」
『その時は異能力で撤退するので大丈夫です!』
「大丈夫な訳あるか!」

俺は少しの怒りとツッコミを込めて
あなたの頭に軽く拳を乗せた


ギルドの男の手には拳銃
あなたの手には何も無く
男が負傷していたことから
あなたが異能を使った事はすぐに分かった

あなたの異能は
本人が認識したものを転送し
表出することができる“ 物体転送系の異能”だ
端的に〈空間操作〉と呼ばれており
制限は殆ど無く
攻撃・防御にも応用が可能な万能の異能
強いて云えば俺と同じで
意識の外からの攻撃には弱いとこか?

あなたは男が発砲した瞬間に
異能を発動させ
自分ではなく男に当たる様
銃弾の軌道を変えたってとこだろ


あなたが強ぇのは分かってはいるが
だからと云って
必要以上に身を危険に晒す様な
マネだけは見逃せねぇ

「たくっ…お前の異能は確かに強力だが
 万が一の事も考えろ」
『はい…ごめんなさい』
「…はぁ、判ればいい……
 あんま危ない事はすんなよ?」
『…善処します』

云いたい事は山程あるが
今日の所はこの辺にしとくか…

此奴の落ち込み具合から
少し怒りすぎたかと思い
慰めのつもりで
頭に乗せた手で撫でると
少し表情が緩んだのが見えた

…広津たちの云う通り
此奴にはつくづく甘いのかもな…

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