太宰side
中也の笑顔で
表情が和らいだあなたちゃんを見ていると
中也が私を呼んだ
「おい、太宰……
手前を信用して〈汚濁〉を使ったんだ……
ちゃんと俺を…
拠点まで……
送り届けろよ……」
中也は私の肩に軽く拳を打つける
……“信用”、ねぇ
今は互いに敵対組織にいる
私にそんな事を云うなんて……
本当…君は昔から変わらないなぁ……
でも…
「任せなよ、相棒」
中也はその言葉に安心したのか
あなたちゃんの膝の上に倒れて寝始めた
『ぁ…中也さん…?』
「ってちょっと中也‼
あなたちゃんの膝の上で寝ないでよ
帽子置き場のくせに生意気!」
『あはは……』
名前を呼んでも
罵倒してみても
起きる気配がない……
全くこれだから蛞蝓は!
「もう、あなたちゃん!
そんな蛞蝓地面にポイっしちゃって良いよ!」
『ぇー…ぃや…流石にそれは…』
中也を地面に転がす為に
苦笑いしているあなたちゃんを説得していると
ギルドの働き蟻君が近づいてきた
「信じられない……
あのラヴクラフトを……」
彼にとって
予想だにしなかったことだったのか
呆気にとられていた
「君達は一体何者なんだ?」
彼の問いに
笑みを浮かべながら答える
「悪い奴の敵さ」
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。