第33話

3ー5
2,066
2020/01/13 04:43
中也side

チッ、少し距離があったせいか
あなたが大きく動くまで
奴が攻撃を仕掛けて来た事に気づけなかった…

すかさず異能を繰り出そうとしたが
あなたが目線でそれを止めて来た


結果的にあなたの対応のお陰で
俺は動く事なく穏便に終わった

あなたは男と少し話してから
パタパタと走って戻ってきた

『すみません、中也さん
 お待たせしました
 早く帰って報告しましょう』

何事も無かった様に振る舞うあなたを
怪訝に思いよく見てみると
左肩の袖が破れ血が滲んでいた

「あっ!
 お前っ血が出てるじゃねぇか!」

俺の目線を追って
傷を見たあなただったが
他人事のように落ち着いた声だった

『ぁ…本当だ……
 首領に買って貰ったばかりなのになぁ…』
「いや…肩の傷の方を気にしろよ…
 ていうか…怪我したのを隠すな!」
『隠したつもりは……』

俺の目を晒しながら云うあなたに
少し溜息を吐きながらハンカチを取り出した

『ぇっ⁉
 自分でやりますよ』
「いいから
 少し腕上げてろ」
『ぁっせめて私ので…』
「却下」

気まずそうに
俺の手元を見ているあなたを
他所に止血をした

あなたから離れていたとはいえ
怪我をさせちまったのは
俺の落ち度だ

自分の力不足に
腹立たしさを覚えながら
少し硬めに絞めた

『ちょっと…痛い…です』
「こんくらいが丁度良いんだよ
 帰ったら茉莉んとこ行って
 ちゃんと手当てしてもらえよ」

返事をするあなたに頭を撫でて
俺達は帰路に向かった


……はぁ
煩くなりそうだなぁ

プリ小説オーディオドラマ