第24話

2ー4
2,115
2020/01/06 03:02
あなたは太宰が戻ってくるまで
海が見えるベンチに座り
水平線を何気なく眺めていた

暫くすると
知らない男達が声をかけてきた

「ねぇねぇ、君1人?」

あなたは自分に話しかけていると
分からず周りを少し見渡した

『ぇっと…私ですか?』
「そうそう、君だよ
 ベンチに座ってるだけじゃ
 つまんないっしょ?
 俺らと遊ばね?」
『ごめんなさい
 人を待ってるので…』
「えーイイじゃん
 待たせてる方が悪りぃんだし
 スッゲェ楽しいとこがあんだよ
 一緒に行こうぜ?」

男はあなたの腕をいきなり掴み
彼女を立たせた
あなたは予測出来なかったのか
肩を少しびくつかせていた

『っ!あっあの!
 腕を離して…』
「いいから、いいから
 行こ…」

男があなたの声を遮り
連れて行こうとしたその時
男の背後から包帯が巻かれた腕が伸びた

「はーい、ストーップ」

男の腕を掴み間延びした声を出したのは
先程まで列に並んでいた
太宰だった

「駄目じゃないか、君達ー
 嫌がる女の子に無理矢理は
 良くないよー?」
「はぁ⁉邪魔すんじゃねぇよ!」
「彼女は私の連れなんだ
 ここは大人しく
 手を引いてもらおうか」
「うっせぇなぁ!
 アンタこそ俺の腕離せよ!」
「…はぁ
 あんまり聞き分けが悪いなら
 ………実力行使だよ?」

そう云いながら
太宰は男の腕を掴む手を強めた

男はあまりの強さに驚き
太宰の顔を見た

其処には先程迄の
人当たりの良い顔は失っていた

男達は骨が軋む音と
太宰が纏う黒い雰囲気に狼狽えた

「ちっくそ!」

あなたの腕を掴んでいた男は
乱暴に手を離し
逃げる様に去って行った

プリ小説オーディオドラマ