今朝のポートマフィア内は
慌ただしかった
情報を共有するために
構成員が走り回り
廊下ではいつ始まるのかと
殺気だった者達ばかりだった
幹部であるあなたと中也は
部下からの報告書を手に
ポートマフィア首領の執務室に入った
部屋に入り彼らの目に映ったのは
子ども服が床に撒き散らされており
その真ん中で幼女を前に
唸り声を上げている男だった
「うーーん…
やっぱり今日は天気がいいから
水色の明るいドレスかなぁ…?
いや、ここはあえて白も…?」
「もう!いい加減にして!
いつまで悩んでいるのよ⁉
このままじゃ日が暮れちゃうわ」
「わかってる!わかってるんだけど…
エリスちゃんに似合うドレスが
こんなにいっぱいあるんだよ?
すぐに決められないよー」
「…リンタロウ、キモい」
「えー、酷ーい
でもそんなエリスちゃんもかわいい!」
『あの……首領?』
あなたが声をかけると
まるで今気づいたという顔であなた達を見た
「あなた、中也!
入ってたなら声かけてくれればいいのにー」
「いや、すみません…
首領とエリス嬢がお取り込み中の様だったので
声をかけるタイミングが見つからず…」
「もうっリンタロウ!
中也達を待たせてるじゃない
困らせないで!」
「うっ…2人共待たせてごめんねー
消えたフロント企業の話だよね?
何かわかったかい?」
「はい
昨晩、建物前に見知らぬ輩が
数名屯していたという目撃証言が多くあり
異国の言葉を話していたという情報もありました
跡地は瓦礫等がなく騒音も無かったことから
恐らく異能力によるものだと思われます
また、昨日から港に北米から来た船があることから
ギルドの仕業と断定して良いでしょう」
「あなたちゃんの予測通り
早速、我々に宣戦布告ということ…か
さて、どうしたものか…」
『今、数名の構成員を
次に備えて街中に配置しましたが
まだ、建物を消した異能力者も
ギルドの人間も見つかっていないそうです』
「そう簡単には捕まらないか…
…よし!エリスちゃんとお出掛けしよう!」
森は先程までの首領の顔を崩し、
うきうきとしながら
エリスと共に奥の自室に消えて行った
パタンと扉が閉じ
静まり返った空間の中
あなた達は話が見えず
顔を合わせ首を傾げていた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!