第19話

1ー17
2,364
2020/01/03 14:17
広津side

私が異能を発動し男は倒れた
先程までの張り詰めた空気は
少し軽くなった

「取り敢えず終わったか…
 にしても中也さん
 いきなり屋根つたって走り出したんで
 びっくりしましたよー」
「あぁ?あなたが一人で
 迎え撃とうとしてたんだぞ?
 危ねぇだろうが」
「いやいや
 幹部だし、強いじゃないですか
 そんなに心配しなくても…」
「じゃあ手前は
 彼奴にかすり傷一つでも
 ついた時に責任とれんのか?」
「そんな重い話なんですか⁉
 過保護すぎません⁉」
「過保護じゃねぇし
 普通だろうが」
「えぇ…」

まぁ…立原の気持ちは分からなくもない

私が男に異能を発動した際
中也君はわざわざ彼女の前に移動していた
…恐らく彼女に絶命する姿を
見せないようにするためだったのだろう

無意識とはいえ
これが何度もあれば
お互いに好意を抱くと思うが…

「中也さんはあなたさんのお母さんですか⁉」
「お母さん云うな!俺の同僚だ!」

「あなたちゃん、大丈夫でしたか?」
『はい
 中也さんが助けてくれたので
 予定より早く終わりましたね
 ご心配ありがとうございます、梶井さん』

……無自覚は恐ろしいものだな
気づくのは当分先のようだ…

しばらくすると
コツコツと二つの足音が
此方に向かってきた

現れたのは我らが首領ー森鴎外だった

首領を目にした瞬間
その場にいた者は皆跪いた

「此れがギルドの刺客かね?」
「はい」
「探偵社にギルド
 我々も又困難な戦局と云う訳だ…
 最適解が必要だね
 …ギルドも探偵社も
 敵対者は徹底的に潰して……殺す」

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