桜の木の下へと着いた私達は、そこで待っていた皆んなへ向けて口々にそう告げた。
久しぶりに見る懐かしい顔ぶれに、私の顔は自然と綻ぶ。
高校生ともなるとやはり当たり前で、久しぶりに見る三人は私の記憶の中の姿よりだいぶ大人っぽく成長していた。
昔から一番背の高かった浩ちゃんは、それでも更に高く成長し、大ちゃんと並んでも少し大人っぽくさえ感じる。
昔は私と同じくらいの背丈だっためぐちゃんと瞳ちゃんは、身長も伸びてとても綺麗になった。
大人っぽく成長した皆んなに囲まれて、何だか一人取り残された気分になる。
それでも、またこうして皆んなで集まれる事を心から望んでいた私は、目の前にいる三人の顔を一人一人眺めると、最後に大ちゃんを見てから微笑んだ。
シャベル片手にドヤ顔の浩ちゃんに、変わっていないなとクスリと笑い声を漏らす。
そのままザクザクと土を掘り始める浩ちゃん。どんどん深くなってゆく穴を眺めながら、私の胸はドキドキと高鳴っていった。
中学生に上がる頃に皆で埋めたタイムカプセル。
当初の約束では十年後に開けようと言っていたけど、四年経った今、予期せぬ事態で掘り起こす事になってしまった。
それでも、四年も前の事なので当時の自分は何を考え何を埋めたのか、昔を懐かしく思うと同時にワクワクとしてくる。
皆んなの顔をチラリと覗くと、それは皆んなも同じだったようで期待に膨らむ瞳をキラキラとさせていた。
ーーーコツン
浩ちゃんの握っているシャベルが何かにコツンと当たり、私とめぐちゃんは思わず声を上げた。
シャベルを脇に置いた浩ちゃんは、穴の前でしゃがむと今度は素手で丁寧に土を掻き分けてゆく。
土が払われ、徐々に姿を出し始めるタイムカプセル。その姿が完全に現れると、浩ちゃんの動きはピタリと止まった。
青い缶を片手に持ち上げた浩ちゃんが、ニカッと笑いながら私達にそう告げる。
掘り出したタイムカプセルをそっと土の上に置くと、私達はそれを囲むようにしてその場にしゃがみ込んだ。
青い缶に手を掛けた瞳ちゃんが小さく唾を飲み込む。
ーーーパカッ
蓋の空いた缶を覗き込むと、中には色々な物が入っていた。
それを思い思いに取り上げると、「懐かしいね」なんて言いながら昔を思い出す。
(私は一体何を入れたのだろう……?)
そう思っていると、めぐちゃんがピンクの封筒を取り上げた。
そう言いながら裏を見ると、【日和】と名前が書いてある。私の字だ。
ーー徐々に蘇ってくる記憶。
そう訊ねるめぐちゃんの声に、私は手紙を書いた事を思い出した。コクリと小さく頷くと、それを見ていた大ちゃんが優しく微笑んで口を開いた。
めぐちゃんはピンクの封筒から更に小さな封筒を取り出すと、それをジッと眺める。
めぐちゃんの手に握られた手紙には、私の字で【みんなへ】と書かれている。
それは、私から皆へ宛てた手紙だった。
瞳ちゃんの声に、私は笑顔で返事をする。
目の前で読まれるのは少し恥ずかしい気もするけれど、皆へ宛てて書いた手紙だから。皆に読んでもらいたい。
浩ちゃんの発した言葉で、めぐちゃんは手紙を開くと声に出して読み始めた。
そこには、書いた本人でさえ忘れていた過去の私の気持ちが綴られていた。

















編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。