第6話

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2020/05/26 22:46
大樹
大樹
ーーひよ、こっち
 校舎に向かっていた大ちゃんが、突然入り口とは別の方へと歩き出し手招きをする。
 
(どうしたのかな? )

 そう思いながらも黙って後を追う。
 校舎に沿って歩く大ちゃんの背を見つめながら歩いていると、突然大ちゃんが口を開いた。
大樹
大樹
良かった、もう咲いてる。ほら、ひよ見てごらん
 目の前で立ち止まった大ちゃんの横まで近寄ると、その視線を辿ってみる。するとそこには、白やピンクや紫の花びらを付けた、とても綺麗な花が花壇に咲いていた。
日和
日和
わぁ……! 綺麗!
 瞳を輝かせる私を見てクスリと笑った大ちゃんは、花壇の前にしゃがむと口を開いた。
大樹
大樹
……この花、覚えてる?
日和
日和
うん……。キャンディータフト
 優しく微笑む大ちゃんに私は笑顔で答えた。
 
(忘れもしないーー大ちゃんが私にくれた花だから)

 枯れない花が欲しいと言った私に、大ちゃんはキャンディータフトを押し花にして栞にしてくれた。

 あれは確か、小学四年生の頃。

 少しいびつな形をしたその栞は、不器用な大ちゃんが私の為に一生懸命作ってくれたんだと、私は子供ながらに凄く嬉しく思ったのを覚えている。

(今でも大切に持ってるよ、なんて恥ずかしくて言えないけど。……私の宝物)

 大ちゃんも覚えててくれたんだと、私は心が温かくなるのを感じた。

(……大ちゃんは、この花言葉の意味を知っているのかな?)

 当時、栞を貰った私は嬉しくてキャンディータフトをたくさん本で調べた。
 そんな昔の自分を思い出し、フフッと微笑む。
大樹
大樹
どうかした?
 花を見て小さく笑った私に、大ちゃんは不思議そうに首を傾げる。
日和
日和
ううん、何でもない。綺麗だね
大樹
大樹
うん。ひよと一緒に見れて良かった
 笑顔で答える私にとても優しく微笑み返した大ちゃんは、そう言うと目の前の花へと視線を移した。

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