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第1話

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2021/08/04 10:48
『愛されたい』

僕はずっと思ってた。
ただ、誰かに愛されたかっただけ。

・・・

今日も帰ってこないのかな…

僕はお母さんしかいない。
お父さんは僕が小学生の時死んだ。
それまではお父さんもお母さんも
僕の事とても大切にしてくれた。
愛してくれた。

なのにあの日から
お母さんは変わった。

お父さんが死んでからお母さんは
お酒を沢山飲むようになったのだ。
そして夜も遊ぶようになって
家にいる時間なんて殆どなかった。

僕は1人。ひとりぼっち。
痛い。苦しい。辛い。悲しい。

心がポロポロ崩れていった。

お母さんから出るなと言われた。
僕はそれを守っていた。
そう。嫌われたくなかったから。
学校にも行かなくなった。
行くなって言われたから。

でもそんな生活が嫌になって
ボロボロのTシャツを着て外に出た。
久しぶりの外に僕は感動した。
でも久しぶりだから何処に
行けばいいか分からず歩いていた。
道歩く人に凄い見られた。
目線が痛かった。辛かった。

そして歩いてる途中雨が降り出した。
その雨は強くなっていった。
僕の体は冷えていった。

そんな時、雨がピタリと止んだ。
雨音は聞こえる。

上を見上げると1人のフードを
被っている男の子が立っていた。
そして僕に「何してるの?」と聞いた。
その子は僕の前に傘をさしたまま
「俺はしゃーく。お前は?」
久しぶりに誰かの声を聴いた。
1テンポ遅れて僕は答えた。
「ぼ、僕はらび…」
久しぶりなもんだから声が震えた。
「らび、いい名前だな。」
そう言ったしゃーくはとても優しい笑顔だった。
僕はそれを見て雨が顔を流れた。
いや、雨じゃない。涙だ。
ポロポロ出た。

また、後からわかった事だが
しゃーくは僕と同じ学校らしい。

次の日からお母さんに内緒で
学校に登校し始めた。

***

そして僕はしゃーくと一緒に行動し
しだいにしゃーくの事が好きになっていった。

しゃーくが欲しい。愛されたい。
欲しい欲しいほしいほしいほしいホシイホシイホシイホシイホシイ

そしてしゃーくに無理矢理接吻をした。
じたばたとしゃーくは暴れた。
逃がさないと思いしゃーくの顔の後ろを抑え
口に舌を入れ濃厚な接吻をした。
しゃーくの呼吸が荒くなる。

はっとなってしゃーくを見ると
口を手で隠してこっちを睨んでいた。
僕は『やってしまった』と思った。
僕がしゃーくに何か言おうとする時
しゃーくは「最低。」と言って僕に背を向け走り去っていった。
追いかける間もなく、しゃーくは行ってしまった。
僕は後悔しその場に座り込んだ。

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