第18話

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2021/02/11 14:29
あなた

おにーちゃん何してるの?



一郎は大量の洗濯物を持っていた。




山田一郎
山田一郎
洗濯物が乾いたから今からたた…
あなた

私もお手伝いする!



一郎の話をさえぎりあなたは目をキラキラ輝かせながら言った。



山田一郎
山田一郎
うーん。


一郎は悩んだ。
手伝ってくれるのはとても嬉しい。
しかし、あなたが畳んだ服はぐちゃぐちゃでとても畳んだとは言い難いものだ。



山田一郎
山田一郎
(何か畳みやすい衣服…)


一郎は少し洗濯物を見つめた。



山田一郎
山田一郎
これだ!


一郎は洗濯物から靴下を掴んだ。




山田一郎
山田一郎
あなたは靴下を畳んでくれないか?
あなた

うん!


あなたは嬉しそうに頷き靴下を探すため洗濯物の中をあさり始めた。



あなた

おにーちゃんの服大きいね。



靴下を探している時に一郎のパーカーを見つけた。




あなた

私もいつかおにーちゃんみたいに大きくなるの?

山田一郎
山田一郎
どうだろうな?大人にならないと判らないな。
あなた

早く大人になりたいなー。



あなたはそう呟きながら洗濯物の山から何か見つけ出そうとガサゴソしていた。




あなた

じゃーん!おにーちゃんの真似!!



あなたは、洗濯物の中から一郎のパーカーを引っ張り出し、其れを被った。



あなた

おっきー!



出しきれていなく、下に垂れた袖を振り回している。



山田一郎
山田一郎
……


一郎は畳もうとしていた洗濯物を自分の手から落としてじっとあなたを見詰めていた。




あなた

おにーちゃん!どう?



あなたに話し掛けられた瞬間、一郎は無言でスマホを取り、シャッターを切った。




山田一郎
山田一郎
(か、可愛い…)
あなた

おにーちゃん?



返答がないので、あなたは一郎を何度も呼ぶ。



山田一郎
山田一郎
(口元に袖!良い…)


またシャッターを切る。
夢中になっているのであなたの声は届いていない様だ。













山田二郎
山田二郎
ただいまー!
山田三郎
山田三郎
只今帰りました!


学校から帰宅した二郎と三郎が部屋に入ってきた。




今目の前にある光景を見て、二人共無言で鞄を下ろした。

そして猛ダッシュで自室に向かって走っていった。








山田二郎
山田二郎
あなた!次は此れ着て!!
山田三郎
山田三郎
あなた!二郎の服より先に僕のを着てください!
あなた

うん!いいよ!














いつの間にか、洗濯物を畳むという目的を忘れあなたに服を着させていた。




山田一郎
山田一郎
(尊い…)
山田二郎
山田二郎
(似合う…)
山田三郎
山田三郎
(可愛い!)
あなた

もう疲れたよー。



あなたは洗濯物の山に身を投げた。




山田一郎
山田一郎
ご免なあなた、つい…ってあれ?


全く動かないので顔を覗いてみると、目を閉じて一定の音程で呼吸をしていた。


山田三郎
山田三郎
寝ている…疲れてしまったんでしょうか?
山田二郎
山田二郎
かもな。




三郎のパーカーを着て、一郎のパーカーを抱き締めながら二郎の上着を布団変りにして寝ていた。





全員
(あっ、やっぱ良い…)














このあとあなたは、ソファーに移されたとさ☆



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