一郎は大量の洗濯物を持っていた。
一郎の話をさえぎりあなたは目をキラキラ輝かせながら言った。
一郎は悩んだ。
手伝ってくれるのはとても嬉しい。
しかし、あなたが畳んだ服はぐちゃぐちゃでとても畳んだとは言い難いものだ。
一郎は少し洗濯物を見つめた。
一郎は洗濯物から靴下を掴んだ。
あなたは嬉しそうに頷き靴下を探すため洗濯物の中をあさり始めた。
靴下を探している時に一郎のパーカーを見つけた。
あなたはそう呟きながら洗濯物の山から何か見つけ出そうとガサゴソしていた。
あなたは、洗濯物の中から一郎のパーカーを引っ張り出し、其れを被った。
出しきれていなく、下に垂れた袖を振り回している。
一郎は畳もうとしていた洗濯物を自分の手から落としてじっとあなたを見詰めていた。
あなたに話し掛けられた瞬間、一郎は無言でスマホを取り、シャッターを切った。
返答がないので、あなたは一郎を何度も呼ぶ。
またシャッターを切る。
夢中になっているのであなたの声は届いていない様だ。
学校から帰宅した二郎と三郎が部屋に入ってきた。
今目の前にある光景を見て、二人共無言で鞄を下ろした。
そして猛ダッシュで自室に向かって走っていった。
いつの間にか、洗濯物を畳むという目的を忘れあなたに服を着させていた。
あなたは洗濯物の山に身を投げた。
全く動かないので顔を覗いてみると、目を閉じて一定の音程で呼吸をしていた。
三郎のパーカーを着て、一郎のパーカーを抱き締めながら二郎の上着を布団変りにして寝ていた。
このあとあなたは、ソファーに移されたとさ☆
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。