第62話

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2022/08/09 14:31
山田二郎
山田二郎
あなたは可愛い!!もうめっちゃ可愛い!
山田三郎
山田三郎
なんだよ行成…!
山田二郎
山田二郎
だってそうだろ?
山田三郎
山田三郎
確かに…目に入れても痛くないくらいあなたは可愛い。そんな判りきったことを何叫んでるんだよ。
山田二郎
山田二郎
だから心配なんだろうが!!
山田一郎
山田一郎
…………………。


一郎は頭の中で考える。


確かにあなたの可愛いさは宇宙、否、銀河最高だ。


自分も家族じゃなく他人だったら失神してただろう。

正直、犯人が攫いたくなってしまう気持ちも判らなくない。


まぁ、だからと言って攫って良い理由にはならないが。




山田二郎
山田二郎
もし……もしだぞ。
もし、其れであなたになにかあったら………
山田三郎
山田三郎
…………………………。
山田一郎
山田一郎
…………………………。


誰も居ない公園からサッと夜風が吹いた。


風が舞い上げた木の葉が地面に着き、また辺りに静寂が戻った。


其の途端、辺りからとんでもない位の殺気が湧いた。





山田三郎
山田三郎
そんな事を僕等が許す訳ないだろう……
山田一郎
山田一郎
其奴は余程死にたい様だな……
山田二郎
山田二郎
だろ?!



二郎は一瞬二人の雰囲気に圧倒されかけたが直ぐに態勢を整え直した。




何度も言う通り、三兄弟は妹の事になると理性を失うのだ。














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《同時刻、別の場所では》



夢野幻太郎
夢野幻太郎
お邪魔しますよ、乱数。
飴村乱数
飴村乱数
…………座って。
夢野幻太郎
夢野幻太郎
何事ですか?もう日も暮れてしまいましたよ。用事があるなら日を改めて頂きたい。


幻太郎が夕が自宅にて餉の支度をしていた時、一本の電話が掛かった。


相手は自分のチームメイトである飴村乱数。


彼はよくゲリラで電話を掛けてくるが雀の涙程のモラルはある様で、この時間帯に執拗以上の連絡はしてこなかった。


そんな彼からの電話。


不思議に思い手に取ってみるも具体的な内容は教えて貰えず、直ぐに事務所に来いという言葉と共に一方的に切られてしまった。


今の彼は少し、否、迚不満な気持ちである。



有栖川帝統
有栖川帝統
乱数!行成呼び出してどうした?!
夢野幻太郎
夢野幻太郎
帝統、貴方も呼ばれていたのですか?
有栖川帝統
有栖川帝統
嗚呼…なんか直ぐ来いって言われてよ。
夢野幻太郎
夢野幻太郎
ふむ……


何やらありそうだ。


電話越しで要件を伝えなかった辺りから余程深刻な事が起きたのだろう。




夢野幻太郎
夢野幻太郎
乱数、帝統も来ましたしお話願いましょうか。
夢野幻太郎
夢野幻太郎
………………乱数?
有栖川帝統
有栖川帝統
?どうした?さっきから一言も喋らずに下向いて。


不審に思った帝統は乱数の顔を覗き込むように見てみた。


すると先程迄下を向いていた彼は勢いよく顔を上げて帝統と激突した。



有栖川帝統
有栖川帝統
いってぇぇぇ!!
飴村乱数
飴村乱数
いったぁいい!!
夢野幻太郎
夢野幻太郎
はぁ………おやおや。
飴村乱数
飴村乱数
もーう!!帝統!
行成近付くのはメッ☆だよ?
有栖川帝統
有栖川帝統
わ、悪ぃ……
夢野幻太郎
夢野幻太郎
で、乱数。話とは。














夢野幻太郎
夢野幻太郎
なっ…なんですって?!
有栖川帝統
有栖川帝統
はぁっ?!あなたが誘拐された!!!


溜めずに早く言えよ。


後に夢野はそう思った。





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