第8話

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2021/02/05 09:05








目を開くと何時もとは違う天井があった。
あなた


辺りを見渡して兄達を探したが此処にはいなかった。



あなた

おにーちゃん?


頭の上にクエスチョンマークを浮かべていると部屋の中から誰かが入ってきた。

神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
あなたちゃん、目が覚めたんだね。
あなた

おじさんだーれ?

神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
私の名前は神宮寺寂雷。あなたちゃんのお兄さんに頼まれて治療を担当したんだよ。
あなた

そーなんだ!じゃくらい先生ありがとう!

神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
すっかり元気になったみたいだね。昨日は心配だったから安心したよ。


高熱で寝込んでいたあなたは、すっかり元気になって今はベッドの上でごろごろしていた。



神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
元気な姿を見れて良かったよ。そろそろ私は他の人の診察に行かないといけないからまた後でね。


寂雷はあなたの姿を見た後、病室を出ようとした。が…



あなた

行かないで…!

神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
!!


白衣の袖口を摘まんで懇願する。




神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
君のお兄さん達があんな風になる理由がなんとなく判る気がするよ。
あなた


寂雷は少し悩み、あるアイデアを思いついた。



神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
そうだ。私は一緒にいることは難しいけど私の友達なら一緒にいることが出来るかもしれない。
あなた

ほんと!


あなたは嬉しそうに目を輝かせていた。


神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
少し待っててね。



寂雷は部屋を出ていった。






普通はこんなこと絶対にしないのだが何故かあなたのためならと思ってしまったようだ。

















数十分後に病室に寂雷は誰か引き連れて入ってきた。



観音坂独歩
観音坂独歩
失礼します……
伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
失礼します。
あなた

神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
紹介するね。観音坂独歩君と伊弉冉一二三君だよ。私の変わりにあなたちゃんと一緒にいてくれるよ。
あなた

ほんと!?

神宮寺寂雷
神宮寺寂雷
あぁ。じゃあ後は頼むね。
観音坂独歩
観音坂独歩
寂雷先生の頼みなら…
伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
お任せください。

寂雷はあなたを見て少し微笑むと病室から出ていった。














一二三と独歩は少し困っていた。
いくら寂雷からの頼みだと言っても子どもにどう接すれば良いかわからなかった。






観音坂独歩
観音坂独歩
えーと…私はこういうものです。

独歩は取り敢えず自己紹介をしようと思い名刺を差し出した。

あなた

かんのんざかどっぽ…


あなたは名刺を少し眺め独歩の名前を呟いた。

あなた

どっぽさん!


ニコニコしながら独歩を見上げていた。


観音坂独歩
観音坂独歩
凄い…まだ幼いのに俺の名前が読めるなんて…
あなた

これ私貰って良いの?


あなたは名刺と独歩を交互に見ていた。

観音坂独歩
観音坂独歩
あぁ、そういう物だから貰っても大丈夫だよ。
あなた

やったー!宝物にするね!!

観音坂独歩
観音坂独歩
宝物だなんて大袈裟な…


少し照れ臭そうに口角をあげていた。




伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
僕も自己紹介をさせてもらうね。
伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
僕の名前は伊弉冉一二三と言います。今日は一緒に楽しい一時を過ごそうね、仔猫ちゃん。
あなた

よろしくね、ひふみさん!!


あなたはピカピカに輝く一二三の名刺も宝物だと言い、大切そうに独歩の名刺と一緒に鞄の中に閉まった。















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