第55話

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2022/08/07 03:30



あなたは、左馬刻達と逸れない様に浴衣の裾をしっかりと握っていた。





夢野幻太郎
夢野幻太郎
おや?これはこれは。あなたさんではありませんか。
あなた

えっ?げんたろうさんだ!何で?

夢野幻太郎
夢野幻太郎
またお兄さんとはぐれてしまったのですか?



クスクスと浴衣の裾で口元を隠しながら上品に笑っている。



夢野幻太郎
夢野幻太郎
裾を引っ張っていたのが小生の物で良かったですね。もし、他人の物だったら取って喰われていたのかもしれませんよ?
あなた

えっ……

夢野幻太郎
夢野幻太郎
冗談です。
夢野幻太郎
夢野幻太郎
これも何かの縁。
二人で一緒に祭りを楽しみましょう。
有栖川帝統
有栖川帝統
おーい!げんたろーッ!
夢野幻太郎
夢野幻太郎
はぁ…帝統。そんなに走っては浴衣がはだけてしまいますよ。
有栖川帝統
有栖川帝統
大丈夫大丈夫!
夢野幻太郎
夢野幻太郎
まぁ、そう言ってももう見えてますけどね。
有栖川帝統
有栖川帝統
えっ!?マジで!!
夢野幻太郎
夢野幻太郎
うーそでーすよ。
有栖川帝統
有栖川帝統
嘘なのかよ!でも嘘で良かった…。
飴村乱数
飴村乱数
ちょっと帝統!僕が作った浴衣何だから汚しちゃメッ!だよ!
有栖川帝統
有栖川帝統
わりぃわりぃ…。
夢野幻太郎
夢野幻太郎
折角二人で浴衣逢引しようと思ったのですが、無理そうですね。
あなた



幻太郎の背中から前を覗くと派手な柄の浴衣を着た乱数と下駄を窮屈そうに眉を潜めていた帝統がいた。




あなた

あっ!らむだくんとだいすさんだ!

飴村乱数
飴村乱数
えっ!


あなたの声を察知した瞬間、乱数は直ぐにあなたを見た。




有栖川帝統
有栖川帝統
おっ!あなたじゃねーか!
飴村乱数
飴村乱数
あなたちゃ…浴衣…



乱数は数秒後フリーズした瞬間、直ぐに携帯で写真を撮り始めた。





飴村乱数
飴村乱数
あーもう可愛んだけど!
夢野幻太郎
夢野幻太郎
相変わらず懲りませんね。ということで後でその写真を小生にも送って下さい。
有栖川帝統
有栖川帝統
懲りねぇのは幻太郎もだな。
飴村乱数
飴村乱数
ところであなたちゃんは迷子かな〜?
あなた

えーっと…




経緯を説明すると三人は何故か顔を明るくさせた。




飴村乱数
飴村乱数
うんうん!これなら保護の理由つけてあなたちゃんと遊べるね!
夢野幻太郎
夢野幻太郎
では行きましょう。
有栖川帝統
有栖川帝統
屋台の飯が食えるー!




この三人は、ズレていた。













有栖川帝統
有栖川帝統
うめぇーっ!
飴村乱数
飴村乱数
あなたちゃん、美味しい?
あなた

おいしいよ!

夢野幻太郎
夢野幻太郎
あなたさん、たこ焼きのソースが付いてますよ。
あなた

えっ?

夢野幻太郎
夢野幻太郎
拭いて差し上げますので此方を向いて下さい。


ハンカチで口元をささっと拭いてくれた。




あなた

ありがとう!

夢野幻太郎
夢野幻太郎
いえいえ。
飴村乱数
飴村乱数
あなたちゃん、ポテトも美味しいよ!
あなた

ホントだ!おいしいね!

飴村乱数
飴村乱数
えへへ〜☆可愛い…。
あなた

あっ!らむだくんもケチャップ付いてるよ!

飴村乱数
飴村乱数
えっ?!どこどこ?
あなた

こっち側だよ。




あなたは、ハンカチを取り出して乱数の口元を拭いた。





飴村乱数
飴村乱数
ッ///////
あなた

?らむだくん?

飴村乱数
飴村乱数
あ、ありがとうね!
夢野幻太郎
夢野幻太郎
………………。
有栖川帝統
有栖川帝統
………………。



乱数を見詰めていた幻太郎と帝統がいきなり食べ物にかぶりついた。




夢野幻太郎
夢野幻太郎
あなたさん、小生の口元にもついてしまいました。
有栖川帝統
有栖川帝統
俺も!




このやり取りがずっと続いたのであった。







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