第9話

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2021/02/04 08:13
あなた

どっぽさんはどんなお仕事してるの?

観音坂独歩
観音坂独歩
お、俺?俺は只のリーマンだよ…
あなた

りーまん?


あなたの頭の上にクエスチョンマークが浮かんでいた。


伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
僕はさっきの名刺に書いてあったお店で働いているよ。仔猫ちゃんもいつか遊びに来てね。
あなた

うん!絶対に行く!

観音坂独歩
観音坂独歩
おい!何いってんだ一二三!
伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
良いじゃないか。きっと仔猫ちゃんも気に入ってくれるよ。
観音坂独歩
観音坂独歩
はぁーー。何で何時もこうなんだ…こんな純粋な娘に余計なことを吹き込もうとしたり、一二三は俺の言うこと聞いてくれない。そうだ、きっと俺のせいなんだ。あなたちゃんが風邪をひいたのも入院したのも俺のせいなんだ…
伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
独歩君。大丈夫かい?


独歩は何時もの悪い癖が出ていた。


独歩はうつ向き、項垂れ自分の世界に迷い混んでいた。
















その時、ふと頭に何かを感じた。



あなた

痛いの痛いの飛んでけー!



あなたは独歩の頭を優しく撫でながら何度も唱えていた。

あなた

痛いの痛いの飛んでけー!

観音坂独歩
観音坂独歩
あなたちゃん…?
あなた

元気が出るおまじないだよ!

あなた

どっぽさん頑張ってるから疲れてるのかな?目の周りがぱんださんみたいになってるよ。

あなた

だから私がおまじないをかけてあげるの!

観音坂独歩
観音坂独歩
……



独歩は固まったまま動かず、瞬きばかりしていた。




あなた

あ、あれ?どっぽさんどうしたの?

伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
独歩君?
観音坂独歩
観音坂独歩
きっと、天使がいたらこんな顔をしているんだろうな…


泣いていた。自分では気付いていない様だがポロポロと涙を溢していた。



あなた

何処か痛いの?

観音坂独歩
観音坂独歩
否…強いて言うなら、胸かな。
伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
独歩君、働きすぎは良くないよ。
あなた

目からいっぱい涙出てるよ?


あなたは眉を八の字にして独歩の頬に手を当て、涙を拭った。


観音坂独歩
観音坂独歩
やっぱり天使だ…
あなた

うゎ!


気づくと独歩はあなたを抱き締めていた。

伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
独歩君。落ち着いたかい?
観音坂独歩
観音坂独歩
うん…有り難う。
あなた

よしよし!


あなたは独歩を抱き締めながら頭を優しく撫でていた。


























あなた

どっぽさん寝ちゃったね。

伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
そうみたいだね。

独歩は泣きつかれただけでなく日頃の睡眠不足もあって寝てしまった。




椅子にすがって寝息を僅かにたてて寝ていた。


あなた

ひふみさんは大丈夫?

伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
えっ?
あなた

ひふみさんもどっぽさんみたいに何処か痛い所とかない?大丈夫?

伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
僕は大丈夫だよ。

一二三は微笑みながらあなたの頭を撫でた。
あなた

ほんと?

伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
本当だよ。
あなた

なら約束!


あなたは小指を一二三の前に出した。

伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
あなた

無理しちゃ駄目だからね!約束だよ。

あなた

ゆびきりげんまん!



あなたは一二三に小指を差し出した。


そして、その小指の意味に気付いた一二三はそっとあなたの小指に指を絡めた。



伊弉冉一二三
伊弉冉一二三
あぁ、約束するよ。

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