少しの不安と緊張を胸に、私は外へと出た。
他愛もない会話をしながら手を繋ぎながら街の中を歩いていると、恐れていたものが当然のように私を襲ってきた。
すっと耳に入ってくる会話は1つ1つが刺さり、痛かった。
手を離そうと、力を込めた。でも、離れなくて、なんだか複雑な気持ちになった。
たくさんの色んな店に入るごとに浴びるシャッター音は、少しずつ増えていっているような気がした。
広角が自然と上がり、気分も少しだけ上がった。
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。家へと戻ろうと歩き出したところ、カンタのスマホが鳴った。
私は、漏れるトミーの声を聞いて、はっとした。嫌な予感がとてつもなくした。
明らかに沈む空気。
tmitterには私達の写真やアンチが山ほど投稿されていた。
路地裏で立ち尽くしていると後ろからこえがした。
笑顔でカンタはその場を去った。
そう言い、手をぎゅっと握り家へと向かった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。