第6話

世間の声
1,838
2018/11/10 02:50
カンタ
よし、出掛けよっか
あなた

うん!!

少しの不安と緊張を胸に、私は外へと出た。
他愛もない会話をしながら手を繋ぎながら街の中を歩いていると、恐れていたものが当然のように私を襲ってきた。
リスナーA
あれってさ、水溜りボンドだよね
リスナーB
うっそ、カンタじゃん、私大好きなんだよね
リスナーA
でも、彼女とおデート中っぽいね
リスナーB
でもさ、横歩いてる子ってさ最近動画に出てる生意気な後輩だよね
リスナーA
あー、あなただよね確か
リスナーB
そうそうそう
リスナーA
拡散しなくちゃ
リスナーB
てか、やっぱ付き合ってたんだ裏切られた気分だわ
すっと耳に入ってくる会話は1つ1つが刺さり、痛かった。
手を離そうと、力を込めた。でも、離れなくて、なんだか複雑な気持ちになった。
カンタ
なんで、離そうとするの?
あなた

聞こえたでしょ?あれが私に向けられてる目なの

カンタ
何言ってんの、今更もう決めたでしょ?
あなた

そう、だけどさ

たくさんの色んな店に入るごとに浴びるシャッター音は、少しずつ増えていっているような気がした。
カンタ
あなたはこっちで俺のがこっち、見て
あなた

え、可愛い…

広角が自然と上がり、気分も少しだけ上がった。
カンタ
お揃い、この歳でこんな事するのもおかしいかもだけど、いいよね?
あなた

うん、もちろん

楽しい時間はあっという間に過ぎていった。家へと戻ろうと歩き出したところ、カンタのスマホが鳴った。
カンタ
もしもしー?
トミー
tmitterみろ
カンタ
え、うん
私は、漏れるトミーの声を聞いて、はっとした。嫌な予感がとてつもなくした。
トミー
この対象の仕方はカンタが責任持って考えておいてな、きちんと協力するから
カンタ
うん、ありがとう
明らかに沈む空気。


tmitterには私達の写真やアンチが山ほど投稿されていた。
あなた

こうなるよね

カンタ
なに、凹んでんのチャンスじゃない?発表の
あなた

いや、チャンスって

路地裏で立ち尽くしていると後ろからこえがした。
リスナーD
あのカンタさんですよね?
カンタ
ん?あ、はい
リスナーD
いつもみてます!
リスナーC
あの、あなたさんですよね?
あなた

あ、はい

リスナーA
付き合ってるんですか?
あなた

いえ…

カンタ
 はい!そうですよ!
あなた

は、?

カンタ
じゃあね、行こうあなた
笑顔でカンタはその場を去った。
あなた

ねえ、だめでしょ、今のは

カンタ
だって、あの子達さわかって言ってるじゃん
あなた

いや、…

カンタ
あなたは嫌だった?実は妹なんですよねーとかって言った方が良かった?
あなた

いやいや、それは

カンタ
ならいいじゃん?
そう言い、手をぎゅっと握り家へと向かった。

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