第16話

後輩達
1,685
2018/12/10 01:32
キイチside

まんず
だ、大丈夫っすかね
キイチ
多分ね
まんず
富永さん…
キイチ
いや、まずカンタさんの心配からだろ
まんず
あ、…えっと、はい
階段を駆け上がりカンタさんの元へと向かって た。
キイチ
カンタさん…?
まんず
あの、大丈夫ですか
扉越しに話しかけたが応答なし。
まんずは何処か落ち着きがなくソワソワとしていた。
キイチ
あの、さ富永さんの方頼むわ
まんず
え?まずはカンタさんからじゃ
キイチ
あーっと、大丈夫カンタさんの事は任せて
まんず
はい、!
まんずはパッと素早く富永さんの元へと去って行った。
しばらくしてからカンタさんが震えた声で話しかけてきた。
カンタ
キイチ…
キイチ
は、はい!?
カンタ
あなた、呼んでくんないかな
キイチ
今ですか?
カンタ
うん
キイチ
わかりました
電話を掛けても応答せず沈黙とともに時が流れ、空の色がオレンジに染まった。
~まんずside~
富永さんの行きそうな場所へ手当たり次第回った。
まんず
富永さんー
あなたへと電話を掛けた。
富永さんを一緒に探してもらおうと思い…。
あなた

ん?

まんず
あ、俺だけど、富永さんの事今から探すの手伝って欲しいんだけど…
あなた

ごめん、状況の把握が出来ない

まんず
カンタさんと富永さんがそれぞれあまり良いとは言えない状態で…
あなた

んー、わかったよ、出来るだけ早く着けるようにする

あなたとの電話が切れてから数時間経った頃、大きな時計台の下に大きな人影があるのが見えた。走って向かい顔を覗き込むと見たこともない顔で落ち込む富永さんだった。
まんず
富永さん
トミー
まんず、どうしてここに?
しばらくの沈黙の中俺は居場所をあなたに伝えた。
涙が溢れて顔がぐしゃぐしゃになっていたと思う。止めようと思っても止まらなくて…。
あなた

まんず!

まんず
あ、こっちこっち!
手を挙げ居場所がわかるように叫んだ。
あなた

トミー、

思い切り走ってその勢いのまま抱きつくあなたを見て俺も富永さんへ抱きついた。
トミー
おお、泣くなって
そう言いぎゅっと大きな腕で俺たちを包み込んでくれた。

まさか、自分でもここまで泣くなんて思ってなかった、ただ家を数時間出てただけなのに…。どうかしている、。
あなた

大丈夫、?

まんず
うん…
トミー
まんず、ありがとう
まんず
はぁ、…心配し過ぎて、もう…
トミー
んな、大げさな
まんず
いや、大げさなんかじゃ…
急にポケットの中のスマホが鳴り始めた。
トミー
ん?誰だった?
まんず
キイチさんから…
あなた

あ、出なよ!

まんず
うん、でも切れちゃった
あなた

なんだそりゃ笑

まんず
あは、にしても大量の着信履歴が…
あなた

え、早くかけ直しなよ!!

まんず
うん!ちょっとしてくる
あなた

うん

俺は少し2人から離れた場所で電話をかけた。
キイチ
まんずー!!何回掛けたと思ってんのー
まんず
あ、すみません、今、富永さんみつかりました
キイチ
まぁ、そりゃ良かった
まんず
あ、はい
キイチ
で、今あなたは?
まんず
一緒っす
キイチ
じゃあマッハで帰って来て、カンタさんが…
まんず
あ、でもすぐは無理かと…
キイチ
なーあー、まんず〜
まんず
いや、その
キイチ
まぁさ、その出来るだけ
まんず
はい…
すぐにでも駆けつけることは出来たと言えば出来た。けれど、富永さんとあなたの、あの空気感は誰にも邪魔できないと思った。あの独特な雰囲気が…何とも言えなくて…。
電話を切ってからも2人から遠い、この場に立ち尽くし俺は富永さんとあなたの楽しげに話してる姿を見つめた。
富永さんが幸せそうな優しい笑顔で楽しそうにあなたと話している…俺はカンタさんの元へあなたを連れて行かなくちゃいけない…下を向き考えた。
トミー
まんずー!!
まんず
あ、はい!
大きく手を振りながら俺の名前を呼んできた。

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