キイチside
階段を駆け上がりカンタさんの元へと向かって た。
扉越しに話しかけたが応答なし。
まんずは何処か落ち着きがなくソワソワとしていた。
まんずはパッと素早く富永さんの元へと去って行った。
しばらくしてからカンタさんが震えた声で話しかけてきた。
電話を掛けても応答せず沈黙とともに時が流れ、空の色がオレンジに染まった。
~まんずside~
富永さんの行きそうな場所へ手当たり次第回った。
あなたへと電話を掛けた。
富永さんを一緒に探してもらおうと思い…。
あなたとの電話が切れてから数時間経った頃、大きな時計台の下に大きな人影があるのが見えた。走って向かい顔を覗き込むと見たこともない顔で落ち込む富永さんだった。
しばらくの沈黙の中俺は居場所をあなたに伝えた。
涙が溢れて顔がぐしゃぐしゃになっていたと思う。止めようと思っても止まらなくて…。
手を挙げ居場所がわかるように叫んだ。
思い切り走ってその勢いのまま抱きつくあなたを見て俺も富永さんへ抱きついた。
そう言いぎゅっと大きな腕で俺たちを包み込んでくれた。
まさか、自分でもここまで泣くなんて思ってなかった、ただ家を数時間出てただけなのに…。どうかしている、。
急にポケットの中のスマホが鳴り始めた。
俺は少し2人から離れた場所で電話をかけた。
すぐにでも駆けつけることは出来たと言えば出来た。けれど、富永さんとあなたの、あの空気感は誰にも邪魔できないと思った。あの独特な雰囲気が…何とも言えなくて…。
電話を切ってからも2人から遠い、この場に立ち尽くし俺は富永さんとあなたの楽しげに話してる姿を見つめた。
富永さんが幸せそうな優しい笑顔で楽しそうにあなたと話している…俺はカンタさんの元へあなたを連れて行かなくちゃいけない…下を向き考えた。
大きく手を振りながら俺の名前を呼んできた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!