第23話

緊張
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2019/02/17 03:33
カンタ
ただいま
平常心、平常心。
あなた

お帰り

カンタ
あ、あのさ、
キイチ
カンタさーん
カンタ
おぉい!なんだよ
キイチ
あのぉ、今日の夜外食しませんか?
キイチがわかりやすいアイコンタクトを俺に飛ばして来た。


カンタ
…いいかも
キイチ
頑張ってください
カンタ
お、おう
テレビに向かうあなたの横顔を眺めながら準備を進めた。

あなた

…どうしたの?

カンタ
え、あ、いや、なんでもない
俺の視線に気づいたのか急に振り向いて来た。
あなた

まぁ、いいけど

カンタ
うん…俺編集してくるわ
あなた

うん、頑張ってー

カンタ
う、うん
妙な緊張感に押し潰されながらもパソコンに向かって夜が来るのを待った。
トミー
カンター行かねぇのかー?
俺の部屋に向かって叫ぶトミーの声と共に綺麗な夜景が見えるレストランへ出発した。
まんず
なんから落ち着かないっすね
キイチ
あとでもっと落ち着かなくなるぞ
まんず
え?
トミー
まぁ、時間が経てばわかる
まんず
…はい
車内はコソコソと話す声が響き、緊張感が広がっていた。


レストランへ着き席へ座ると、メニューを広げて淡々とコースを選んだ。

すると、料理長が俺の元へと寄ってきた。
料理長
デザートの中に入れますか?

それとも、
カンタ
え、え?何の話ですか?
料理長
えっと…
トミー
デザートの中で大丈夫です、結構浅めの部分に仕込んで貰えるとありがたいです、あと衛生面にも気を使っていただけると嬉しいです
料理長
はい、もちろんです
カンタ
え、え?トミー、え?
トミー
指輪自分でなかなか渡せないなら食い物に頼るしかねぇだろ
カンタ
…ありがとう
トミー
きもちわりっ
カンタ
うるさいなぁ…
トミー
おいおい、今から泣いてたら良いシーンで泣けねぇぞ
カンタ
泣いてねぇし…
トミー
はいはい、
あなた

ちょっと、2人して何コソコソしてんの

トミー
デザート何来るか考えてた
あなた

いや、まだ前菜すら出てきてないのに笑

トミー
いいだろ、最後の締めの予想くらいしても
あなた

まぁ、私も結構気になってはいるけど

キイチ
何てったってシークレットっすからね
まんず
シェフの気まぐれって…
トミー
シェフ、すげぇ気さくな感じで良い感じだったよな
キイチ
え?いつの間に会って来たんすか?
トミー
いや、今いただろ
キイチ
え?
まんず
何しに来たんすか?
トミー
ほら、シークレットだからアレルギーとかあるか聞いて来たんだよ、こーゆー店の人って気遣い出来てすげぇよな、だから人気なんだろうな…
あなた

いつになく、語るね笑

トミー
うるせっ、それほど良いってことを伝えたかっただけだし
キイチ
それにしても、カンタさん顔色が良くないっすけど
カンタ
え?あー、ちょっとトイレ…
トミー
お、大丈夫か?
カンタ
シェフに指輪渡すの忘れてたから…ちょっと行ってくる…
トミー
おうおう、
とは言ったものの、本気で腹痛が俺を襲った。

緊張で手が冷たくて落ち着かなくて…今までに感じた事の無い感情と体調だった。

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