ただただスマホを見つめた。
今日の動画に対して予想通りの感想が並んでいたから…。
あなたうざ。
まほっちゃんからあんなこと言われるとかズル。
トミーとカンタ、先輩なのにタメ口とかなんなの。
あなたって何のために出てんの?
叩くなって2人は言ってるけど、なんか関係怪しい。
動画のコメント欄にもtmitterにも数え切れないほどのアンチ…。
そして、再びパソコンに向かったカンタの事を見ていた。
スマホを閉じようと思うが、どうしても気になってしまった。
すると、手元からスマホがスッと目の前から上へと消えた。
ぎゅっと締め付けられ、温かいぬくもりと彼の香りが私を包んだ。
そして、体を離し手を力強く握ってくれた。
彼の思いが私の悩みの半分を少しずつ溶かし、穏やかな気持ちになれた。
そして、そっと優しく口づけをしてくれた。
一気に安心感が湧き上がり、何があっても大丈夫な気がした。
そして、カンタのベッドの中温もりを感じながら眠りへと落ちていった。
翌朝、目を開けると可愛い寝息を立てながら眠っている彼の顔が間近にあり、ずっと眺めていた。
そっと目が開いて私のことを認識すると、ふわりと微笑んだ。
彼の中で交わした挨拶はいつも以上に心地の良い朝だった。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。