第69話

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2020/03/09 06:00
俺はアザミさんの弟子になって3年が経った。

徐々に彼と共に殺しをする事が多くなった俺は今、殺人の際に警察に見つかり、絶賛逃亡中である。

アザミさんと分かれ警察を撒き、あと少しで拠点と言うところで、川辺に少女が座っているのが見える。

まぁ、少女と言っても見た感じ16歳くらいなのだが、こんな夜中に子供が外を出歩いているのを奇妙に思った俺は少女に話しかけた。
霊
ねぇ…こんな時間に何をしているの?
少女
……嘘つき
霊
え?
少女
貴方からは嘘しか感じられない。嘘で体を覆ってる。嘘の仮面を被ってる。
突然の話しで、俺は驚いた。

そして、彼女の発言に多少の苛立ちを覚えるがそれを上回る興味と言う一言では収まらない感情が湧いてくる。

それと同時に、本能が「彼女に近づくな」と危険信号を出すが、俺はそんな物を無意識に破棄した。
霊
ふーん。君、なんて名前?
少女
…貴方に教える気はない。
霊
なら、ここで何してるの?
少女
…病院を抜け出して癒されてる
霊
入院してるってこと?
少女
そうなるわね。
霊
病気?
少女
余命宣告はされてる。
霊
それ、抜け出しちゃ駄目じゃないの?
少女
死ぬまであんな息苦しい病院にいるなんて嫌だし、例え早死したって、家族はお荷物が消えて清々するわ。
霊
…へぇ。
少女
まぁ、そろそろ帰るとするわね。これ以上長居すると見回りのナースにバレちゃうから。
霊
気おつけてね。
少女
…それは本心なのかしら?
霊
君の想像に任せるよ。
それから、よくこの辺りを通ると彼女を見かける。

そして、話しかけていくうちに自分に違和感を覚え始めた。

「僕はアザミさんを追いかけてこうして生きているけれど、本当の自分とは一体何なのだろう。」

この疑問が出て以来、自分の人生なのに生きた心地がしなくなった。
少女
それは本心なのかしら?
この言葉が僕の脳内を占領する。

アザミさんならこうするだろうとわかっても自分ならどうするかがわからない。

アザミさんならどう思うかを考えられても自分ならどう思うかが浮かばない。

次第に自分の脳内を侵食して行く何か。

それを知りたいと思う探究心で埋まった心は次第に少女を求める様になっていく。

何故だろう。

彼女はアザミさんのような美しさはないのに。


違和感と不思議さが詰まった少女は今日も川辺で川を眺めていた。
霊
ねぇ…
少女
あら?また貴方?
霊
本心って一体何?
僕は彼女の隣に座って、川の方を向きながら聞いた。
少女
それは…
彼女が言いかけた瞬間、彼女の心臓部に刀が突き刺さる。
霊
アザミ…さん?
そこには刀を構え、少女の血を浴びたアザミさんの姿があった。
アザミ
アザミ
全く…殺し以外の事で何か気になっているようだなと思えばこんな小娘に時間を削いでいたのか。
僕は呆然とした。

すると、少女は微笑んだ。
少女
ここは夢かしら…?会いたかった人物に会えるなんて…嬉しいわ。ねぇ?お兄ちゃん?
アザミ
アザミ
…チッ…霊…面倒な奴とつるんでた様だな。
え?お兄ちゃん?

全然顔似てない。

じゃなくて…え?…ごめん状況が飲み込めない。
脳内真っ白になる俺を横目に少女は流れ出た自分の血液で刀を作り、アザミさんに斬りかかる。

アザミさんはそれを刀で受け止めるが、少女は足に刃を生やしてアザミさんを蹴ろうとする。

アザミさんは紙一重で避けると、数歩後ろに下がった。
少女
ねぇ…お兄ちゃん覚えてる?両親を殺した時の事。なんでか知らないけど私だけ残してくれたせいで私は親戚の奴らから酷い虐待を受けたのよ。貴方は二重の意味で私を苦しめたの。今、復讐とやらをさせてもらうわ。
アザミ
アザミ
たく…てめぇはなんで心臓に刀刺さってても死なないんだよ。
少女
恨みが死の運命より勝っているからよ
その時の少女顔は印象に残っている。

死の恐怖を全く感じずただ前を向いている。

そんな顔だった。
少女はアザミさんの足に掴みかかると、自分の血液を付けた。

すると、足枷が現れ、アザミさんの動きを制限するも、アザミさんはすぐに足枷を壊して少女に斬り掛かる。

少女は左腕でそれを受け止めると、今度はアザミさんの首を掴んだ。
少女
さようなら
アザミさんの首に付いた血液は丸太とロープで作りあげられた首吊り器へと進化した。

そのまま、アザミさんはもがき苦しみながら死んだ。

何故…この時僕の体は動かなかったのか…謎でしかない。
霊
君の…個性は一体?
少女
私の個性…遺伝子を拷問器具に変える事が出来る。
霊
改めて聞かせて。
君の名前は何?
少女
……私の名前ゥわ…ゴボッ
その時突然、彼女は血を吐き出した。
少女
死ぬ時が来たようね…ゲブッ…ウグ……さよぅなら
そう言って、彼女は倒れた。

僕は一旦、少女とアザミさんの死体を拠点に持って帰った。
死体を治せないかと試行錯誤したが、少女の死体はどうにもならなかったので、火葬して埋めてあげた。
アザミさんの死体はほとんど外傷がないので、どうしようかと眺めていた。
その時に、ふと蘇った言葉。
「それは貴方の本心なのかしら?」
僕がしたい事はなんだろう。

僕がなりたいもの。

僕はずっと、アザミさんに憧れてきた。

アザミさんになりたい。
そんな事を願っていると、僕の個性が反応し、僕の魂はアザミさんの体に乗り移る。
アザミ
アザミ
…え?
一瞬理解が追いつかなくなる。

しかし、すぐに飲み込んだ。

僕の「本当」はアザミさんだ。


それから数年したある時、とある少年に出会った。
アザミ
アザミ
…殺気を感じる。
あなた

え!?

俺はあなたと言う少年に斬り掛かる。

しかし、少年はそれを左腕で受け止めた。
その姿はあの少女に似ていた。
自然と、彼を殺す気にはならなかった。
しばらくして、2人の人間があなたを奪いに来た。

その時、俺の中に違和感が現れる。

そして、仲間が倒されて2人の敵の視線が俺に向いた時、俺の中の違和感はより明確に俺に現れた。

刻刻と募ってゆく少女に殺された事への恨みとその時の痛み。

きっとアザミさんだ。
違和感は、少女への恨みをあなたに向けて、彼との別れ際にこう言った。
アザミ
アザミ
あなた……また…会える時…お前を殺す。




…俺はアザミさんの体になった時から寡黙になった。

それは…アザミさんと自分との違いを他人に気づかれない様にする為だろう。
アザミさんの個性は凄かった。

抜け殻となった僕の体にアザミさんの血液をいれると、僕の体は強力な傀儡人形になった。

兵器としての破壊力は抜群で、僕の魂を再び入れたとしても動いた。
ただでさえ強いアザミさん…。

それに僕の個性が加わった。

きっとアザミさんに勝てる人間はいないだろう。
あなたを奪われて数年後、あなたについて相談を持ちかけてきた輩がいた。

破壊神と死神だ。

そいつらの計画には驚いたよ。

あなたを奪った人間のうち1人を呪いで操ってもう1人を叩きのめした後、あなたの今仲間達を殺す。

というもの。

俺はその話に乗った。

そして、俺とアザミさんの2つの人格に分かれ俺は自分が元いた傀儡人形に再び魂を戻し、戦った。

アザミさんの分身として。
僕は殺られてしまった。

役立たずでごめんなさい。

アザミさん。

あとは、貴方に任せます。

僕の個性を思う存分使ってください。
さようなら…。
********************
リア主
リア主
説明でわからんところあればコメントにどうぞ!
【おまけ】〜カイ師匠のツッコミ〜
零
映像見ながらカイ師匠がツッコんでたのでそれを見ていきましょう!
カイ師匠
カイ師匠
いや、しょっちゅう一人称変わっとる!!
リア主
リア主
あーね
初め「俺」→アザミの弟子の時「僕」→アザミになった時「俺」
リア主
リア主
これ使い分けてて、アザミに会う前と、アザミにめっちゃ憧れを抱いていた時と自分をアザミだと思ってる時は「俺」。
アザミと自分は違うんだと思ってる時は「僕」になってる…と思う。
カイ師匠
カイ師匠
いや、カゲプロ厨や東方厨ならぬアザミ厨!!
リア主
リア主
いや…アザミに憧れて殺人おかしてる時点でそれじゃない?
カイ師匠
カイ師匠
確かに…
カイ師匠
カイ師匠
漫画的タイミング!!
カイ師匠
カイ師匠
復讐するのに復讐宣言するやつとかいるん?
カイ師匠
カイ師匠
っていたやんけ!!
零
・・・
リア主
リア主
・・・
カイ師匠
カイ師匠
やめろ!出すな!
カイ師匠
カイ師匠
そんなんで死ぬ運命変えられるわけないやん。………………………………………………………………羨ましい
カイ師匠
カイ師匠
あれれ?このシーン見覚えあるぞ?
カイ師匠
カイ師匠
やっぱりこのシーンやないかい!
リア主
リア主
(あなた)は夢小説(主人公の名前)の所ね。
カイ師匠
カイ師匠
名前のところ(あなた)に設定しとるんか。
リア主
リア主
小説書く時ついつい、自分が設定してる名前書いちゃいそうになるからそれ防止する為にこうしてる。
カイ師匠
カイ師匠
確かに笑
(あなた)は書きにくいな。
カイ師匠
カイ師匠
なんでこのタイミングで聞いた?
カイ師匠
カイ師匠
個性怖すぎん?
カイ師匠
カイ師匠
あと、
カイ師匠
カイ師匠
小説書く時に拷問器具について調べまくってGoogleの検索履歴埋めてたくせにこの使ってる拷問器具のしょぼさ何?
リア主
リア主
いやぁ…使いたかったんだけどさ…説明が難しかったり戦いに入れられなかったり、物語上使えないものばっかりだったから
カイ師匠
カイ師匠
物語上使えないものとは?
リア主
リア主
例えば、アザミを串刺しにしたとする。そうすると、アザミの死体は少女の死体と一緒に火葬する事になるわよ。死体修復不可能で
カイ師匠
カイ師匠
なるほど
カイ師匠
カイ師匠
んー…なんで持って帰った!?
カイ師匠
カイ師匠
どーゆー趣味?????
カイ師匠
カイ師匠
2次元特有ご都合主義!!
カイ師匠
カイ師匠
いや、何回言うねーん!!!!

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