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第57話

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僕は光に飲み込まれた。

光が止んだと思うとそこにいたのは…
お父さん
お父さん
うっ…ぐ…
ラベンダー
ラベンダー
邪魔なんだけど…。
自分を犠牲に家族を守ろうとするなんてさ…
親子愛なんて演じて楽しいの?
命まで投げ捨ててさ、馬鹿なんじゃないの?
誰だって自分の命が一番大切じゃん。なのになんでこんなことすんの?
お父さん
お父さん
うっ…せぇ
お父さん
お父さん
愛する…家族も…守れ…ねーでいる…よう…な…男に生き…てる価値なん…てねーんだ…よ。
大好きなお父さんのカッコいい言葉は、僕の癒えかけていた心を再び壊し始めた。

僕には“生きている価値がない”そう思ってしまったのだ。

お父さんがそんな意味で言うはずもないのに…僕は勝手に傷ついた。
あなた

これ…は。テロ事件の日に…お父さんが僕とお母さんを逃す為に血を流しながら時間稼ぎをしてくれた時の…

この時、僕は気がついた。

ここは現実とはまた違う、つるぎの作り出した幻術の世界であると…。

幻術と言うのは、人の五感のうちどれかに働きかけ、相手の神経に特殊な信号を送ることによって相手の感覚を己が操る高難易度の技。

どうやらさっきの掛け声で聴覚に働きかけたらしい。

個性で操ったってことは…そこまで複雑なものではない。

僕は目を閉じ…体の力を抜いた。

力を抜く事によって、つるぎに僕の感覚を操りにくくするのだ。

基本これで幻術は解けr…
ラベンダー
ラベンダー
やぁ、どう?君のお父さんが死んでいくさまは…
あなた

なっ…

解けない…。
《ペリッペリッペリッ》
そう音が聞こえ、痛覚と共に僕の顔の皮は徐々に剥がれてゆき、顔の皮が剥がれた部分は狂ったかのような不気味な笑みを浮かべたアザミの顔になっていった。
あなた

うっ、うわぁ!?

僕の右腕はドロドロに溶け、左腕にはお母さんの顔が現れた。

そして、今にも呪う勢いでお母さんの顔をした僕の左腕はこう言う。
お母さん
あなたが…あなたがいなければ…お父さんが死ぬ事はなかった。あなたなんて…産まなきゃ良かった。憎い…憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
次は、僕の腹部を割いてロベリアさんが出て来た。
ロベリア
ロベリア
親にこんなに憎まれて…本当、生きる価値ねー餓鬼だなぁ。
ラベンダー
ラベンダー
笑笑。僕達と一緒にいた時の威勢はどうしたの?
今度はぐちゃぐちゃな死体になったお父さんが体を引きずって僕の近くまで来て、こう言った。
お父さん
実のお母さんも守れねーくせに生きたんじゃねーよ。
お母さん
あんたなんて死ねば良いのに!!
あなた

っ…

僕の顔には自然と涙が流れているのが無意識にわかった。

これは現実じゃない…わかってる。

でも…辛かった。

ひたすら浴びせられる僕への罵声。
あなた

もう…やめ…t

トガ
トガ
あなたくん!!
あなた

ハッ!!

あなた

トガちゃん!?

トガ
トガ
大丈夫ですか?泣いてますし、汗もひどいですけど…。
あなた

えっ…

つるぎ
つるぎ
チィッ
………………………………………………………………………………………………………………………どうやらトガちゃんが僕に触った事によって、幻術が溶けたらしい。
あなた

ありがとう…トガちゃん

トガ
トガ
いぇ…
……長期戦は無理だ。

2対1なら幻術はなんとかなる(幻術は現実世界で人に触れられると解ける。)が、つるぎの手の内がわからないこの状況は、いくら人数のハンデがあっても勝つのは難しい。
あなた

…トガちゃん。耳貸して。

トガ
トガ
はい
短期戦で決着をつけてみせる!!

反撃開始だ!!