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第4話

雅への恨み


「逢坂に振られた…?え?何があったの?日曜日にデートだってするんじゃなかったの?」

瑞乃は泣いたままで、何も返せずにいた。

事情はともあれ、瑞乃は今すごく辛そうだ。

もう完全下校の時間で外に出ないといけないから、学校の外に出ることにした。

「1回出よう、瑞乃。」

そう言って瑞乃の手を握って、瑞乃の歩幅に合わせて歩き出した。

学校の外の歩道のガードレールに腰掛けて、私は話を聞いた。なるほど、そういう事があったのか。瑞乃は逢坂への好きだという気持ちがそこで溢れ出ちゃったんだね。

「ほんと、逢坂何考えてるか分からないね。どうして駄目なんだろう。」

「全然分かんない…。でも、もう少し仲良くしてから告白すれば、結果は変わってたのかな…?」

と瑞乃。

「うーん。そうだねぇ…。瑞乃と逢坂が仲良くなってどれくらいだっけ?」

「1ヶ月くらいだったよ。」

「1ヶ月くらいかぁ…。」

そこで私は想像してみる。仮に私がめちゃくちゃ可愛い見た目で、逢坂のようにモテる立場だったとしよう。

知り合って1ヶ月くらいの人から告白されたら付き合えるかな?

想像上の私の答えはNo。そうか、もしかしたらこれが答えかも?

「ちょっと真相が見えた気がする。」

「え…?」

「逢坂、見た目があんな容姿じゃん?身長高くてモデル体型で、確かに見た目はイケメンだよね。それでいろんな女子から人気で、よく知らない女の子からも告白されて…。多分こう思ってるかもよ?みんな俺の中身を見てないんだって。」

「そんな…。私はちゃんと見た目だけじゃなくて中身を…!」

「瑞乃はそういう気持ちだったとしても、本人には分からないじゃん?問題は逢坂がどう捉えるかだし。私から見ても、ミーハー女子が逢坂がイケメンだからって理由だけで好きって勘違いして告白してるようにしか思えなかったんだよね。逢坂はそれが嫌だったのかも。」

というと瑞乃は下を向いて黙ってしまった。

「ごめんね瑞乃。瑞乃がそうだとか言いたいわけじゃないよ。逢坂に告る周りの先輩とか同級生の傾向の話しね。」

と伝えたけど、瑞乃は言った。

「いや、私もその人達と同じだ…。」

「え?」

「私も最初の入りは…見た目からだった…。」

瑞乃はため息をついてまた泣き出してしまった。

「それが逢坂くんには見透かされてたのかな。でも、私は他の女子と違うっていうのをちゃんと彼には伝えたくて…。」

私は瑞乃の背中を摩った。

「逢坂はもう瑞乃を既に友達と思ってくれてたんでしょう?だったら、今は急がずに友達としての信頼を積み上げていけばいいと思うよ。ところで日曜日のデートは?」

「あ…。それはちゃんと空けてるよって言ってくれたし、本人もキャンセルする気はなさそうだった。」

「それなら良かったじゃん。告白されて気まづいから嫌だとか、そういう感じじゃなさそうじゃん。ちゃんと逢坂は、他の女子とこの子は違うのかもって思ってるよ。慎重にこそなってるかもだけど、しっかり瑞乃と向き合おうとしてくれてると思うよ。」

私のその言葉を聞くと瑞乃は顔を上げてくれた。

「そうかな…?」

「うん。今は振られて終わっちゃったかもしれないけど、時間をかけて接して、お互いをよく知る仲になった上で告白し直したら、また違った展開になるかもよ?」

……あれ?私、なんで逢坂と瑞乃をくっつけさせるような事言ってるんだ…?

つい瑞乃に元気になってもらいたい一心に、逢坂との未来を応援してしまった。

すると瑞乃は少し笑い出す。

「純理、私に逢坂くんはやめとけって言ってたのに。」

「ちょ…これは…ねぇ?」

瑞乃は可愛い笑顔で

「ありがとう。純理。」

と笑ってくれた。


それから次の日教室で、凛子と柚も混ぜて瑞乃を囲んで昨日の話をする瑞乃。

その時に何か視線を感じると思って見てみると、広夢だった。そう言えば、瑞乃がこの前言っていた。

広夢に止められたと。

だから私は瑞乃にこう伝えた。

「広夢に伝えたの?心配してくれたんでしょう?」

するとこう返ってきた。

「広夢くんにも昨日LINEで報告したよ。」

あ、そうだったんだ。


という事で次の休み時間に広夢に声をかけに行った。

「瑞乃からLINEあったんだってね。」

「うん。言われた通り、やっぱりダメだったよってね。」

「そっか。」

広夢は、んーと唸ってこう言った。

「なんか、俺的にはチャンスな展開だけど…でもなんかなぁって感じ。瑞乃の不幸を喜ぶなんて出来ないし。」

「複雑な気持ちかぁ。」

「あぁ。ほんとにそんな感じ。どう断られたかって聞いた?」

「うん。なんか、君の気持ちには応えられない、友達としてならって。そんな感じだったって聞いてるよ。」

広夢は背もたれに寄りかかって背中を仰け反る。

「うーん…日曜日の逢坂とのデートも決行なんだろ?逢坂は何がしたいんだか。そんな事したら瑞乃が期待しちまうじゃんかな。」

「まぁ、瑞乃としては嬉しいみたいだけどね。」

するとこんな事を言う。

「俺が逢坂だったら良いのに。」


と。広夢はため息をついてそのまま目を閉じた。

ーーーーーーーーーーーーーーー

その日の帰り道の事だった。学校から歩いてしばらく行くと公園がある。そこでとある男女を見かけた。

どうやら告白の現場らしい。

…って、あれって……。


「逢坂くん、私と付き合ってください!」

逢坂が告られてる現場じゃねぇか。

こんな現場初めて出くわしたわ。俺は陰に隠れてそのまま現場を眺めた。

「……ごめんね、君の気持ちには応えられない。」

「……え…。他のクラスに好きな子でも居るの…?」

「ううん。そういうわけじゃ無いよ。」

「………接点あまり無いから…?もっと仲良くなってからじゃなきゃダメだったかな…?」

「全然、君が問題とかじゃないんだ。申し訳ない。」

「うーん…。」

「友達としてで良かったら、これからも全然声掛けてよ。ダメかな…?」

瑞乃からの告白を断った時のセリフとあんま変わらなくないか…?なんだ逢坂。告白される度に同じこと言って断ってるのか?あいつの返しは適当なのか…?

「友達として…?じゃあ、一緒に出かけたりとかしてくれるの…?」

「うん。良いよ。」

同じこと言って女子をキープしてるのか?


何だか腹が立ってきた。


瑞乃がどんな気持ちでお前に告白したと思ってる…?


その後少し経ってから逢坂が1人になって…



俺はその隙を狙って木の陰から飛び出して逢坂に突撃した。俺の拳は強く握られ、そのまま逢坂に殴りかかろうとした。

「逢坂ぁぁぁ!!!」

でも逢坂には素早くかわされ、そのまま腕を掴まれて止められてしまった。

「離せ!!!お前…!!このやろ!!!」

「なんですか…!?急に。」

逢坂は驚いていた。

「よくも瑞乃を…!」

「…瑞乃ちゃん?」

俺は逢坂の腕を払い除けて、もう一度殴ろうとした。でも逢坂に受け止められてしまってまたも失敗。

「あぁ、あの時の…。」

俺は思い切り逢坂の腕を振り払った。

逢坂は先輩達と混ざって遊んだ日の事を思い出したようだ。あの日はさほど会話をしていないが。

アドレナリンが漲っている俺は、このままの勢いでこう伝えた。


「瑞乃の気持ちを弄ぶのはやめろ!!」

すると逢坂は優しい顔をして、

「瑞乃ちゃんは俺の大事な友達の1人だよ。弄ぶわけない。」

と返してきた。

「信じられるかよ!!今の女子にだって友達としてならって返してよ。瑞乃にも同じ事言ったろ?お前のその言葉にどれだけの女子が期待してると思ってんだ。お前は何がしたいんだよ。都合いい女子をキープして、いろんな女子を取っかえ引っ変えして遊んでるんじゃないのか!?」

逢坂は首を横に振る。

「ううん。そんな事しないよ。弄ぶなんて酷いこと、俺にはできない。」

「じゃあお前の目的はなんなんだ!?全員に同じこと言って、お前は何がしたいんだ!?」

そう言って俺は胸ぐらを掴む。でも逢坂は特に振り払おうとか抵抗をしてこない。それどころか爽やかにこう返してくる。

「せっかく告白してきてくれたのに、ごめんだけで突き返すだなんて、相手を傷つけてしまうでしょう?だからこれも何かのご縁かもしれないと思って、友達からで良かったらと伝えるようにしていたんだ。」

と逢坂は言う。

「友達になろうって言っておけば丸く収まると思ってんのか!?断られる事で負う傷だってあるだろ!」

俺はそう怒鳴って胸ぐらを掴んだまま逢坂の体を揺すぶる。するとこう返してきた。

「じゃあ聞くけど、OKを出す事だけが優しさなの?俺は1人しかいないんだよ?」

優しい顔のままそう言う逢坂。でも、目が力強さを物語っていた。

俺は返す言葉に困った。逢坂のその言葉が的を得ていて、少し怯んでしまったからだ。

俺は腕の力を緩めた。

「…じゃあ、女子と遊びほうけたいからそう伝えてるわけじゃないんだな!?女子の気持ちを弄んで、面白がっているわけじゃないんだな!?」

「ちゃんと真摯に受け止めているし、その上で返事をしているよ。」

「じゃあ、瑞乃の気持ちもしっかり受け止めたんだな?また告られた…だとかそんな風に接したりしてないんだな!!?」


怒鳴り散らして伝えると逢坂は何故か笑ってきた。

「何が可笑しいんだよ!!」

すると逢坂はこんな事を言ってくる。

「瑞乃ちゃんのこと、好きなの?」

と。

「は…?」

「瑞乃ちゃんの事が好きだから、俺にそう言ってくるんじゃないの?」

と、目線を逸らさずまっすぐ俺を見ながらそう言う逢坂。

「俺の気持ちなんてお前には関係ないだろ!!」



そう言って逢坂の事を突き飛ばした。強くやりすぎたのか、後ろにあった遊具に逢坂は頭をぶつけてしまった。

鈍い音が鳴る。絶対に痛かったはずだ。

これには俺もさすがに冷静になる。

でも逢坂は何もやり返してこない。

「いたっ…。」


と頭を抑えて小さい声でこう言っただけだった。

そのまま俺は逢坂を置いて走って立ち去ろうとしたが…

「待って。」

と声をかけられ、何を言われるかと思えば、

「好きならちゃんと伝えた方がいいよ。」

と言うんだから腹立つ。余計なお世話だ。

「なんでお前に言われないとなんないんだ。」

逢坂はぶつけた箇所を抑えながらも、俺の元へ歩み寄ってくる。

「好きな人が目の前にいるって、幸せな事だよ?世の中、好きなのに会えない人だって、好きなのに離れ離れになっている人達だっていっぱいいるんだから。」

「だから…何?」

逢坂は真剣な眼差しで俺に言った。

「君の気持ち、ぶつけるべき人間は本当に俺…?」


「……え?」



「瑞乃ちゃんの事が好きだから、彼女のためを思って、俺に弄ぶなって言いに来たんでしょう?必死で彼女を守ろうと思ったんでしょう?守りたいのなら、君が今一緒にいるべき人は、俺じゃないと思う。」


なんだ…本当に。


何でこんなに真っ直ぐ俺に向き合ってくる…??


「今君が向けるべき矢印はどこ?彼女の心に矢印を向けるべきなんじゃないのかい?」


本当になんなんだ…!!

俺の事知りもしないのにズケズケと入り込んできやがって。

なんで的を得ることばかり言う…??

なんでこんなに真剣になれる…?

お前のこと知りもしないでズケズケ入り込んで弄んでると決めつけた、俺に向かって、

何でこんなに背中押すようなこと言うんだ…?

俺はその場で手で膝を抑えて背中を丸めて、地面を見ながらこう返した。



「だとしても、お前にだけはこんな事言われたくない。お前には協力してもらいたくない。だって、お前は…瑞乃の好きな人だから…。」



悔しい。



俺がコイツになれたなら、




いくらでも瑞乃を幸せに出来るのに。



瑞乃は俺じゃダメなんだ。



瑞乃は全然俺の事を見てない。


振り向かせ方なんて分かんねーよ。


どうしたらいいんだよ。


俺は逢坂を前にして、涙を流してしまった。



逢坂はそんな俺にこう尋ねてきた。



「……君、名前はなんだっけ?」



「…諏訪部…広夢。」


「広夢くんか。」


何を言うかと思えば、



「広夢くん、友達になろう。」



だった。



ーーーーーーーーーーーーーー

それから日曜日を迎えた。

私はと言うと、

「純理ー、これずーっとやるのー?」

柚と一緒にデートの尾行だ。凛子は部活で行けないと、断られてしまった。

「だって、逢坂が瑞乃に何するか分からないじゃない。」

「えー!?逢坂っち何もしないよー!いい子だよ!いい子!」

2人は今日はショッピングモールを回りつつ、どうやら映画も見るそうだ。

という事で買い物にも尾行して、映画もついて行って…

でも柚が自分の買い物し出して途中見失いそうになったり、尾行のはずが映画まで着いて行ったらその映画に感動しちゃうしで、何しにここに来たのか忘れかける瞬間が多々あった。

「いやー、面白かったね雅くん!」

「そうだね。あの展開には感動したね。」

「ねー!主人公も良いけど、その親友の一途さがヤバいよね!」

「うん。2人目の主人公っていう感じの描き方がまた良いよね。」

なんて2人で映画の感想を言い合っているのが聞こえた。

それにしても瑞乃は楽しそうだ。

逢坂も笑顔で瑞乃と接していて、傍から見たらカップルだ。


それから夜はオシャレなバイキングのお店に入って食事をする事に。そのお店の中にも着いて行った。

とはいえ席は少し離れていて、逢坂は背中向きで、瑞乃の顔の表情が見える位置に。瑞乃と目が会わないように気を付けないと。若干変装して来てるから大丈夫だとは思うけどね。

ただ、会話は全く聞こえない。

周りの音もそうだけど、少し距離が遠い。

ただ、途中なんだか瑞乃が若干険しい顔になった。何を話してるんだろう。

そして見てしまったの。



瑞乃が泣いてるのを。



「へっ!?瑞乃が泣いてる…!!」

と柚。

「は?逢坂、瑞乃に何言ったの!?」

私はこの光景を見てイライラした。

目の前で友達が泣いている所を見せられたら黙っていられない。

私はその場に行こうとしたけど、柚に止められた。

「柚!なんでよ!」

「落ち着いてよ純理!ここでバレたらいつから居たの!?って瑞乃に不信感与えちゃうよ!!!」

それでも行こうと席を立ったけど…

「ぎゃ!」

「あぁぁ!ソフトクリームがぁ…!」

席に戻ろうとソフトクリームを持って歩いてきた子供が私にぶつかってしまってそれどころじゃなくなった。

服を拭いたり泣いてしまった子供をなだめたり、その子のお母さんに謝られたりとか、代わりに私がソフトクリームを作り直してあげたりとか、

そうこうしている間に、瑞乃達は気が付いたら席からいなくなっていた。


それから急いで探し回って駅に行ってみると、2人が丁度解散しようとしている所に出くわした。

もちろんバレないようにビルの陰に隠れた。

私達が来る前に何を話していたかは分からない。でも瑞乃のこの言葉は聞こえた。

「これで前に進めそう。雅くん。今日はありがとう。」

「こちらこそ、今日はありがとう。またどっか行こうね。」

すると、瑞乃が10秒ほど逢坂に抱き着いたのだ。

逢坂は驚きのあまり固まっていたから特に瑞乃を抱き返すとかはしなかったけど。

「じゃあね!」

瑞乃は手を振って元気よく逢坂と別れた。

でもなんだか空元気にも見えた。

逢坂も別の線の改札の方向へと向かって歩いていった。

「純理どうするうちら!」

と柚。一応ミッションは終了だけど…

本当は逢坂に事情聴取したい。でももう改札もくぐってしまったしで…

でも私は頭を回してこの案を思いつく。

「ちょっと、広夢に電話していい?」

「え、うん。でも、なんで広夢?」

……あ、そっか。柚は広夢が瑞乃の事を好きなのを知らないんだ。

「そ、それは後で!ちょっと待ってね!」

ーーーーーーーーーーーーーーー

「広夢もしもし!?」

純理から急に電話が来た。

「どうした?」

「今すぐ瑞乃に電話して!」

「え!なんで?」

「良いから!!!今、瑞乃は逢坂とデートで別れたてなの。どうだった?とか聞いてあげてよ!」

「なんで別れたてって知ってんの?瑞乃から連絡来たのか?」

「細かいことは良いから!!早く。瑞乃は前に進む気みたいだよ!」

どういうことだ…?前に進む?それってつまり、逢坂を諦めて次の恋に進むってことか…?

「とにかく早くしなさい!!」


純理にはそう怒鳴られ電話を切られた。


緊張する。


好きな子に電話とか緊張する。



瑞乃に電話とかした事ねーよ。


初めてだよ。


でも俺は、逢坂の言葉を思い出す。



ー今君が向けるべき矢印はどこ?彼女の心に矢印を向けるべきなんじゃないの?


悔しくもそれに後押しされ、瑞乃のアイコンをタップして電話をかけることが出来た。


でも、瑞乃は出なくて…。


そうだよな。俺からの電話なんて出やしな……


と思ったら、一通のLINEが飛んできた。


「ごめん!今、電車!降りたらかけ直すよ!」


瑞乃からだった。


「OK。」


こうやって不器用なりに少しずつでも寄り添っていけば、いつか振り向いてくれる時が来るのかな…?

俺の瑞乃への恋は、ここからだ。

ーーーーーーーーーーーーーーー

次の日。


瑞乃はどうやら逢坂を諦め、次の恋に進むらしいが、

私は居てもたってもいられなかった。


「ノブ!逢坂どこ!?」

「え!?急にどうした!?」

「良いからどこ!!」

「いや、分からん。」

「一緒に来てるんじゃないの!?」

「そうだけどその後は知らないよー。他のクラスの友達にでも会いに行ったんじゃ?」

そう、私は逢坂に会いに来た。

昨日瑞乃を泣かせた事が許せなくて。

「じゃあ逢坂が戻ってきたら言っといて。今日の昼休みにお弁当食べたら体育館裏に来いって。」

それから、昼休みになった。

私は急いでお弁当を食べた。その時に少し瑞乃の昨日のデートの話に触れた。

とはいえ、瑞乃が泣かされてた所を見ただなんて言えない。尾行していた事は内緒だから。

瑞乃は嬉しそうに昨日の出来事を話している。

お弁当を食べ終えた後、私は即座に外に出た。

「ちょっと用事があるから済ませてくる。」

と言って。


ノブからはLINEをもらっていて、
ちゃんと伝えましたと連絡が来た。

逢坂の性格上、すっぽかすことは無いだろう。


私が急いで体育館裏に行ってみると、

風に吹かれて立っている美少年が立っていた。


本当に逢坂は来ていた。


「逢坂雅くんね?」

そう言って強気に逢坂の前に立ちはだかる私。

「あ、ノブから聞いてるよ。君が井上純理ちゃん?」

「そうよ!」

逢坂は私のこの態度に不思議がったのか、少し首を傾げる。

そんな逢坂に私は攻めよった。


「あんた、昨日うちの瑞乃に何してくれたの?」

「えっ?」

逢坂はなんの事か分からないようなすっとぼけた顔をしていた。

「えじゃない!!あんた昨日瑞乃のこと泣かせたでしょう?」

「えぇ!?泣かせた!?」

「嘘ついても無駄よ!私昨日あのバイキングのお店にいたんだから!!」

「そうだったの?」

「瑞乃に言うなよ?言ったら殺す!!」

「はは、言わないさ…。」

さすがの逢坂もちょっと私の威圧に負けているようだった。

「瑞乃が泣いてるのを見たの!!どんな酷いことを言ったのよ。」

そう言っても逢坂はずっとそのキラキラした顔を崩さずに

「君の誤解だよ。暴言吐いたりなんてしてないよ。」

と言ってきてずっと誤魔化してきた。

「誤解だと!?じゃあどう泣かせたって言うのよ?あの涙は辛そうな涙だった!!謝れ!!瑞乃に謝れよ!!」

「違うよ。本当に君の誤解だよ。」


「じゃあ、なんだって言うのよ。」


「それは…。」


ほら、言えないんじゃん。



何だこの男。


私はその爽やかさと無駄に紳士的に接してくる対応の仕方と、胡散臭い笑顔に腹を立て、今まで逢坂に対して思っていた事をぶちまけてやった。



「なんなのあんた。腹立つ!!!無駄にキラキラしやがって!本当にウザイ!!内心どうせ女のこと見下してるんでしょう?本性見せなさいよ!!」


「井上さん、落ち着いて。」


何が落ち着いてだ。


「自分の事カッコイイとか思ってるんでしょう?本当はナルシストなんでしょ?モテる自分に酔ってるんでしょ?そんなに女の子チヤホヤすんのが楽しい?王子様気取りもいい加減にしろよ。」

「…え?」

「いっつもニコニコして、綺麗なことばっか言って、何考えてるか分からなくて、それなのに女子にキャーキャー騒がれて、しかも頭も良くて運動神経もいい??何なの?見てて腹立つ!!気に入らないの。あんたのこと。私はあんたみたいな人、嫌いなの!!」


逢坂は目を丸くして黙り込んだ。


「お前みたいな八方美人の何がいいか私にはさっぱり分からない!!あんたなんか居なくなればいいのに!!」


その時、私のiPhoneのバイブが鳴る。

凛子からの電話だった。


「純理ー?次移動教室だよ?戻って準備しなくて良いの?」



「あー、うん。戻るよ。」


タイムオーバーだ。私は凛子の電話を切ったあと、呆然と佇む逢坂に向かって、


「あんたの事絶対に許さない!!」


とだけ吐き捨てて教室へと走って戻った。

ーーーーーーーーーーーーーーー


「俺の事が……嫌い…!?」



続く。