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第8話

球技大会での事



今日は球技大会!

私が今日何より楽しみにしていたのは、

もちろん、清人先輩の活躍ぶり!


うちの高校の球技大会の種目は
サッカー、バレー、バスケ、卓球の中から出場する試合を選べる。

私はもちろんバスケを選択。バスケにすれば、場所は体育館だから、ずっとここにさえ居れば、清人先輩が出番の試合も見れれば、もしかすると話せるチャンスが来るかもしれない。

そう思って私はここにいる。

でも、こんな時に広夢からヘルプ信号が出る。


「えぇ?瑞乃を応援に来させろ?そんなのあんたが呼べばいいのに。」

広夢はサッカー部。だから種目はサッカーを選択している。まぁ、試合の人数の兼ね合いで掛け持ちする人も中にはいるんだけど、広夢はサッカー1本だ。

どうやら瑞乃に応援に来てもらいたいらしいが、面食いの瑞乃は、かっこいい先輩達が居るからと、なかなか体育館を離れない。ましてや体育館の2階のスペースに卓球場がある。瑞乃は卓球を選択しているので尚更体育館から出ないのだ。

「私も今日は清人先輩の事で忙しいの。」

「えぇ!そこをなんとか…。」

それに、瑞乃が離れないのはもう1つ目当てがあったからだ。



「雅くーん!頑張れー!」



そう。奴が今、バスケの試合の真っ只中。瑞乃は逢坂の事も応援している。

吹っ切れた今でも、逢坂はイケメンだって未だに目の保養にしているのだ。

それにしてもアイツ、バスケ部じゃ無いくせに上手い。背も高いから有利だ。

しかも試合終了直前にブザービートだと?




アイツに欠点は無いのか!?腹立つ。




「…サッカー選んでる人にイケメンいないの?」

「はい!?」

私の質問に戸惑う広夢。


「イケメンいるなら瑞乃の事を釣れると思う。」

「えぇ!?」

「瑞乃は超が付くほどのイケメン好きだよ?イケメンが試合に出るから…で体育館から出すしか良い方法思い付かないなぁ。」

と腕を組んで私。

「けっ!どうせ俺はイケメンじゃありませんよ。」

広夢は私の言葉にいじけてしまった。

「ごめんって。そんなつもりで言ってないよ。私は広夢もかっこいいと思うよ。…そこそこ。」

「おーい。最後の一言余計なんですけど。」



そんな話をしていると、


アイツが私達の所にやってきた。



「純理ちゃん、広夢くん。お疲れ様。」




そう。逢坂がこっちにやって来たのだ。無駄に今日も爽やかなオーラを放っている。


「純理ちゃん、もしかして俺の事応援してくれてたの?」

と笑顔で逢坂。

「いーや、全く見てません。興味無い。」

「へ!?」

逢坂は私の言葉に仰天する。

そんな逢坂に広夢が言う。

「なぁ、逢坂さぁ、瑞乃の事連れ出せたりとか出来る?」

逢坂は首を傾げた。

「…いや……俺、この後サッカーの試合に出んだ。瑞乃に見に来て欲しくて。」

「え!逢坂に頼むの!?」

広夢の行動には驚いた。まさか逢坂が瑞乃を誘えば来てくれると思ったってことか!?

逢坂はと言うと…

「俺は全然お役に立てるなら協力するよ!ただ、広夢くん自身の応援しに来て欲しいって気持ちは伝えなくて良いのかい?」

と返してきた。

それにギクッと反応する広夢。


「…そんな事言える勇気があるならとっくにやってるよ。アイツはイケメン目当てで体育館にいるんだ。俺の言葉に聞く耳なんて持たないよ。」

広夢はネガティブだなぁ。私はついつい広夢の言葉に反論する。

「この意気地無し。もう少し積極的に行けばいいのに。」


と言うと、逢坂が私の言葉に賛同してきた。

「そうだよ!積極的にならないと距離なんて縮まらないよ?」


すると…



「これくらい積極的になっても良いんじゃない?」





と、何故か逢坂が私の事を後ろからハグしてきた。



「ひゃ!!!」


私も広夢もビックリして、鳩が豆鉄砲を食らったような顔になる。私はすぐさま逢坂を蹴り飛ばした。


「気安く触るな!鬱陶しい!!広夢、こいつの事なんか無視でいいよ!とりあえず積極的に行けよ!」

そうこうしていると、凛子から声がかかった。

「純理!次うちらの番だよ!」

C組のバスケの試合の出番が回ってきた。これに私も凛子も出る。女子の後は男子が控えている。なので反対側に康作も待機していた。

「って事で頑張って!」

広夢にそう伝えて私は凛子とクラスの子達と一緒にコートに入った。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

やっぱり積極的に行かないとダメだよな…。

そんな事を考えながらボーッとうちのクラスのバスケの試合を見ていると、瑞乃がこちらにやって来た。

「あ!広夢くんも純理達の応援?」

ドキっとする俺。

これはチャンスだ…!


「凛子!行け行け!!」


とはいえ今は試合中。瑞乃も応援してるみたいだし、試合終わってから誘ってみよう…。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

試合中、ボールが外へ転がった。

私はそれを取りに行くと…行った先にはなんと、



「ほい!頑張れ!」



と、ボールを取って渡してくれる優しい人が。


「清人先輩…!」


「純理ちゃん、リラックス!」


コートの脇で胡座をかいて試合を見ている清人先輩が居たのだ。



嬉しい…!清人先輩からあんな風に掛け声をしてもらえるなんて。


先輩は試合待機か何かでそこに居ただけかもしれないけど、それでも良い。1%でも私の事を応援してくれる気持ちがあって、言葉をかけてくれたのならそれだけで充分だ。


好きな人からの応援ってすごい。


すごく励みになった。


ーーーーーーーーーーーーーーーー

今回はうちのクラスが勝利しバスケの試合を終えた。

学年同士の総当り戦で次々と試合が進む中、俺らのクラスは今の所全勝。F組まである中の、4クラスとは既に対戦を終えていて、残すはA組との対戦のみ。

総当りで優勝した所のクラスが学年代表として、各学年の優勝クラスと試合をするシステムだ。

A組…もしかして逢坂が出るのか…?


するとその時、俺たちの所に光陽がやって来たのだ。

「お疲れー!」

「光陽!お前どこにいたの?」

「バレーの方見てた!向こうもC組勝ってたよ!」

「おお!こっちも今C組だったんだけど、D組に勝ったぜ!」

「すごいなぁ!調子良いね!」

光陽はこのままナイスパスを俺に繋ぐ。無論、瑞乃の事が好きだということは光陽は知らない。


「あれ?広夢ってサッカーの試合そろそろ?」

「ん?」

俺は体育館の時計に目をやる。

「あ、予定では後15分後くらいだ。」

「へぇ!ねぇ、瑞乃さぁ。一緒に応援行かん?」

ナイスだ光陽!そのまま瑞乃を誘ってくれ!

「えぇ、外寒いしなぁ。」

「次、A組でしょ?雅くんも応援で外に出てるかもよ?」

光陽はイケメン好きな瑞乃の特徴をよく理解している。それを聞いて瑞乃は、

「じゃあ行くー!」

と言った。

「A組なら南田くん出るんじゃない?サッカー部だし。」

「あ!あのイケメンくん!?見なきゃー!」

なんて、イケメン情報を瑞乃に与える光陽だつたが…

「おい!お前ら趣旨外れてる!!」


C組の応援をまずしてくれよ…。






そしていざ試合。瑞乃に良い所見せてやる。




と思って臨んだ試合。そのメンバーの中には、さっき話題に上がってた南田がいるのは知ってたとして…


なんで逢坂!?


「逢坂お前、バスケ出てただろ?」

「あぁ、怪我人出てこの試合だけ俺が代わる事になったの。」


なんてタイミングだ…。これじゃあ瑞乃が俺の事見ようとするわけが無い。


A組はサッカー部は南田だけ。C組には俺合わせて3人いるが、A組は運動部が多い。こっちは文化部の男子もちらほらいる。

そしてなんなんだ逢坂は。


コイツ、サッカーも上手いのかよ…!!



点数も2点リードされて焦る俺。するとタイム中に逢坂が俺の所に来て、耳元でこんな事を囁いた。









「瑞乃ちゃんの事…俺がもらっちゃうよ?」











なんだと…!?




瑞乃を振ったお前が、どの立場で言ってんだ!!


カチンと来た俺はその後火事場の馬鹿力を見せつけて、チームの協力もあり同点に持ち込んだ。試合時間は終了。なので最後はPK戦となった。


南田と俺の対決は、俺の勝利に終わり、なんとかA組に勝つ事が出来た。


「広夢ー!すごかったよー!!」

と、光陽が大喜びだ。瑞乃もちゃんと見てくれてたみたいで、

「広夢くん、かっこよかった!お疲れ様!」

と笑顔でそう言ってくれた。

「か…かっこよかった…?」

「うん!」


好きな人からのその言葉はすごく力を貰える。恋って凄いな。



その時、隣の方から声がする。

「ノブー!疲れたー!」

「お疲れさん。」

逢坂が、俺と選択授業が一緒の加藤くんと話をしていた。そっか、2人は同じクラスなのか。俺はその2人のところに行き、逢坂に話しかける。

「逢坂、ちょっと良い?」

すると逢坂は俺を見て目を輝かせる。


「わぁ!広夢くん!お疲れ様。最後かっこよかったよー!!」

と、俺の手を取る逢坂。そんな事より気になるのはさっきの言葉だ。俺は周りに聞こえないように逢坂に問いかける。

「おい、さっきの言葉聞き捨てならねー。瑞乃の事俺がもらっちゃうってなんだよ。」


すると逢坂はそれを聞いてクスクス笑い出す。


「おい、聞いてんのか人の話。」



逢坂はこう返してきた。




「俺はただ、広夢くんの本気の力を引き出したかっただけだよ。」




は…?じゃあ何?その為にわざと挑発をするのにあんな事言ったってことか…?



と考えていると逢坂が続けた。


「瑞乃ちゃんはどう?ちゃんと見てもらえた?」

「…あぁ。かっこよかったって。」

「それは良かった!広夢くん、一歩前進じゃない?」

と逢坂。仮にもお前のクラス負けてるのに、何を呑気なことを。


「瑞乃ちゃんを取られたくない気持ち、めちゃくちゃ男らしい一面じゃん。そういうのもっと出せばいいのに。」


逢坂はウインクをしてそう言い残すと、手を振って加藤くんと一緒に校庭から出て行った。





もう、なんなんだよアイツ…。


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それから球技大会も大詰め。2年のバスケの最後の試合はうちとA組。女子は少しリードしていたけど、後半の男子の試合に切り替わってからというもの、C組が押されている。

うちには康作もいるし、あと2人バスケ部がいる。A組も2人バスケ部がいて、その2人に負けじと逢坂が凄まじい動きを見せる。


「きゃーー!!雅くーーん!!」


周りの黄色い歓声がすごい。



残念な事にA組に破れ、5勝しているA組が2年の代表となった。


そしてなんと、逢坂のクラスと清人先輩のいるクラスの試合が見れる展開になった。

3年生のバスケ優勝クラスは清人先輩のクラスだったようだ。


私は清人先輩にただただ釘付け。逢坂なんて視界に入ってこなかった。


ついつい声も出してしまう。

「清人先輩ーー!!ファイトーー!!」

逢坂ファン達の黄色い声援にかき消されてしまって聞こえていなかったかもしれないけど、それでも清人先輩に届くと願って応援を続けた。





ピーー!!!



試合終了の笛がなる。



勝ったのは清人先輩のクラスだった。


私は清人先輩にすぐにでも声をかけたくて、清人先輩の所に行こうとしたが、クラスの男女に囲まれてそれどころじゃない。

「さすが清人くんだわ。」

隣で見ていた康作も、あまりの白熱した戦いに圧倒されていた。


清人先輩…話したいよ…!




同じ体育館に居るのに、清人先輩が遠いよ…。


「清人くんのとこ行きたいの?」

康作が私の様子を見て、私の心の中の気持ちを読み取ってくれた。

「行きたいけど…まだ話してるし…。」




すると…



「純理ちゃーん!」


「…わあああ!!」


私と康作が座って見ていた所に逢坂がやって来て、私の目線に合わせてしゃがんで来たのだ。またお出ましか。用があるのはあんたじゃないのに。


「お疲れ様!雅めっちゃ粘ってたね!」

「うん!でも、清人くんには勝てなかったや。さすがだね彼は。」

なんて康作と少し話しをした後、私にニコニコと話を振ってきた。

「純理ちゃん、お父さんの応援もしてくれた?」


そうだ、そんな父親娘設定なんて忘れてたよ。

「は?私は清人先輩の応援しかしてませんー!」

「へへへ。だよね。」

クスっと逢坂が笑った後、こんな事を言ってくる。





「俺の事も見てて欲しかったな。」






と逢坂。何…その顔。ちょっと色っぽくしちゃって。口説いてんの…?




私にはそういうの効かん。



まぁ、逢坂は誰にでもこういう事してる人なんだろうから、気にしないでおこう。

それから立ち上がって清人先輩の所に行くタイミングを伺うも、まだ周りに人がいてなかなか踏み出せない。


そんな時だった。


「おいで、純理ちゃん。」



「え…?」



逢坂が私の手を取り、あっと言う間に清人先輩の前にやってきた。

「清人くん。お疲れ様。」

「おぉ、雅!」

「清人くんには完敗だよ。さすがです。」

「ははは!でもお前も強くなったな!」

と2人は熱い握手を交わす。


そんな中でも逢坂は背中で隠すようにして、私の手を左手で握っていた。


すると、


「あ!雅くん!」

清人先輩に話しかけていたクラスの女子が逢坂の方へ行った。その周りにいた別のクラスの人達も逢坂の方に集まってきた。

すると逢坂は私の手をスっと離し、

私をその輪から追い出すように背中を優しく押し、口パクで「頑張れ!」らしき動きをした。

気付けば私の目の前には清人先輩が…。


「純理ちゃんじゃん!見てたの?試合。」

「は…はい!康作と一緒に見てました。」

「あ、ホントに!?アイツどこにいんの?連れてってよ。」

と言われ、康作のいる所に清人先輩を連れて行くことになった。その時に勇気を出して、


「先輩、めちゃくちゃかっこよかったです!」

と伝えた。


「マジ!?ははは!まじまじと言われると照れるわ!ありがとう。」

清人先輩は爽やかな笑顔を浮かべて私にそう返してくれた。





逢坂、ありがとう。





あんたの思考は全然分かんないけど、清人先輩にちゃんと、かっこよかったって伝えられたよ。








それからある日の事、昼休みに逢坂ととある同級生の女の子が屋上の方へ行くのが見えた。


もしや!?と思って気になって着いて行ってみた私。



やっぱり。それは告白現場だった。



あんまり近寄るとバレちゃうので、外に出て外壁の影に隠れながら見ていた。



あんまり2人の声は聞こえなかったけど、逢坂は何やら断っている様子。


少しして女の子が、ちょっとだけ逢坂にハグをしてから、そのまま先に戻って行ったのだ。



私は顔を引っ込めて、隠れた状態でそこにしゃがむ。


それにしてもなんて奴なんだ。また断ってる。


そうやって女の子の事を振って、心の中では楽しんでいるんじゃない?そんな自分に酔ってるんじゃない?



なんて考えていると、




「覗きですかい?張り込み刑事さん?」



「うわぁ!!」



なんと逢坂がこちらにやって来たのだ。なんで?人の気配でもした?どこか体見えてた?私は言い訳を考えるも、全然言葉が出てこなかった。

「どーしてここに?」


逢坂はしゃがんで私と同じ目線の高さになる。ニッコリと私に問いかける逢坂。私はとりあえず、

「た、たまたまだって!」

と答えた。さすがの逢坂にもそれは通用しない。

「純理ちゃん、面白い事言うね。」


「な…なんだよ…!」



その時、とあるカップルが屋上にやって来たのが見えた。それを見て逢坂が、


「しっ!」


と言って咄嗟に私と一緒に隠れ、私の肩を抱く。


なんで静かにさせた…?



逢坂はその場に座り込んで、


「あのカップル帰るまで、ここに一緒に居ようよ。」

と言われた。


「はぁ!?なんで!」


「別に、純理ちゃんが先に出てっても良いよ?だとしても、1人でこんな奥から出てくる所もし見られたら、変な風に見えるよ?」

「別にそれは…」


「それに、タイミングずらして俺が出てったとしても…どうかなぁ?もしかしたら俺と純理ちゃんが密会してたって噂流れちゃうかも?」


なんて無理矢理な理由を付けてくる逢坂。ウインクしてくるのが腹立つ。


とりあえず、ずっと肩を抱かれているのは嫌だ。私は手を振りほどき、


「この手やめて。」


と伝えると…



「…こっちが良かった?」


と、今度は手を繋いできた。



それも“カップル繋ぎ”だ。



「やだ!!」


「しー!静かに!」



と逢坂に言われ、そのまま固まって何も出来なくなった。二人でいるのがバレて、また騒がれたりでもしたら…?そんなのごめんだ。


握り返しこそはしなかったけど、逢坂に手を繋がれたまま、しゃがみっぱなしで足も痛いので、その場に私も座り込んだ。


そんな時に、前に逢坂に屋上でこんなことを言われたのを思い出した。





ー俺に対してあんな風に言ってきたの、純理ちゃんが初めてなんだよ!俺、君に興味がある!俺はそんな君と仲良くしたいけどね。






私が逢坂に「嫌い」と言いに行っていなかったら、彼にこんな事されずに済んだのかな?


逢坂は、私が避けるから付きまとって来るのかな?




興味がある…なんて、だいぶ抽象的な表現すぎて、それがどういう意味を指すのか、逢坂の気持ちの根本が全然読み解けてない。



逢坂、教えて…?




「ねぇ…。」


「ん?」



だから私は、こちらに振り返る逢坂に尋ねた。




「私の事どう想ってるの?」



と。




逢坂は優しい笑顔を浮かべ、こう返してきた。


「俺は、純理ちゃんの事、良い友達だと思ってるよ。」



友達…?は?


私、友達になった覚えなんて無いって言ってるのに…。



それに、友達ってこういう事するの…?


「友達…?は?何それ…。友達になんてなってないし、何?友達だと、こんな風に手も繋いだりするの…?この間だって何?後ろから抱きついてくるし、たまに…口説いてくるっぽい事も言うし、…なんなの?あなたは私に何を求めてるの?」


ちょっと緊張しながらも、逢坂にそう尋ねるも、全然逢坂は動揺した様子もなく、そのままの笑顔で私を見つめてきた。


そして少し黙ってからこう返してきた。




「往生際が悪いってやつだよ。俺は君と同じで、負けず嫌いだから。それに…」



すると私は逢坂に手を引かれ、逢坂にギュッと抱きしめられた。



「ちょ…え……!?」



動揺を隠せない私に逢坂はこう言った。





「君の反応があまりに可愛いから、つい面白くて。」



何それ…。この人私で楽しんでるってこと!?


それに負けず嫌いって何…?


もう、訳分からん。


「ねぇ、離して!」


「しっ!まだ居るからもう少し静かに。」


反抗心よりも緊張の方が高まってしまって、私はもう彼の言いなり状態だった。私は言われるがまま彼にギュッと抱きしめられたまま動けない。



それから逢坂は私の髪を撫でてこんな事を私に問いかけてくる。


「前より……少しは俺の事好きになってくれた…?」




ちょっと切なげな顔を見せる逢坂。負けず嫌いってもしかして…私に嫌いって言われたことに対して言ってる…?


実は逢坂、いつも明るく振舞ってるけど、内心ものすごく傷付いていて引きずってたの?


だとしたら、それはさすがに申し訳ないことをしたなぁ。

これ、なんて返せば良いのかな。



すると、昼休みの終わる予鈴が鳴ってしまった。



カップル達も戻って行ったみたいだ。



「…戻ろうか。」


逢坂は私を離し、優しく頭をポンと叩いてから立ち上がった。


それから、先に歩き出して教室に戻って行った。



待って…!私まだ答えてない…!




と、声に出したかったが、彼を引留める勇気のなかった私は、そのまま1人で屋上に取り残された。







後日、うちの校内でこんな噂が流れ始めた。




逢坂は実は、ゲイなんじゃないかって。






続く