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第5話

仕返し
逢坂雅にはとことん腹が立つ!!!

もう顔も見たくない。

そのはずなのに、今日から妙な出来事が起こることに…。


「井上さんいますか?」

ん?私を呼んでいる…?それも聞き覚えのある声…。

そう思って振り返ると、そこには何故か逢坂がいた。

「あれー?雅くん!おはよう!純理に用があるの?」

と、瑞乃が駆け寄る。

「うん。」

「純理!呼んでるよ!」

やめてくれ!叫ばないでくれ…。

この時のクラスメイトからの視線が辛すぎて逃げたかった。

「純理ってば!」

いつまでも来ない私の事を瑞乃は呼びに来て、そのまま腕を掴んで逢坂の方へ連れて行こうとした。

「やめてよ瑞乃!」

と、やっていると、逢坂の方から中に入って私の目の前に来てしまった。

「井上さん!おはよう。」

逢坂は私の顔を覗き込んできて、俗に言う王子様スマイルというのをかましてきた。
私はもちろん無視。

するとうちのクラスの別の女子が声をかけだした。

「逢坂くん!おはよう!」

「おはよう。」

逢坂はニコニコしながらその子達に手を振る。女子達は逢坂から返事を貰えたことが嬉しかったみたいで、ヤバいと騒いでいる。

隣にいる瑞乃がこんな事を聞いてきた。

「2人とも知り合い同士だったっけ?」

「いいえ!!!!」

と私が言うも、同時くらいに逢坂が

「うん!昨日からね。」

と言ってきた。

瑞乃はそっちの言葉を拾い、

「昨日?純理、逢坂くんと何かあったの?」

と聞いてきた。

「あったというかその…」

と説明しにくい空気の中、逢坂がこんな事を言う。

「うん、井上さんに体育館裏に呼び出されてね。2人きりで会ってたんだ。」

とニコニコしてそう言うから、私はそれに腹が立ち肩を鷲掴み。瑞乃はその言葉に驚いてしまった。

「おいやめろ、その誤解招くような言い方。」

「え?だって事実でしょう?」

逢坂は笑顔をやめない。


「おい、ちょっと来い。」

そう言って屋上まで連れて上がって、なんの真似だと声をかける私。

「やめてよね!瑞乃は昨日の事知らせてないんだから!それに知られたくない!」

「え?そうなの?」

そうなのじゃねぇわ。どんだけ平和な人間なんだよと思いながらも私は逢坂に言い放つ。

「用があるならさっさと終わらせて。あんなクラスの中でなんて人の目が痛いわ。」

「なんで?」

「なんでって、そりゃそうだろ。お前、自分の立場弁えて言ってんの?あんたのファンなんて学校に山ほど居んの。ちょっとでも仲良くし出すと女子に言い寄られたりして面倒な事になるんだからやめてよ。」

と言うと、ポジティブに捉えた逢坂が、

「ふーん、そんなに2人きりで会いたかった…?」

と言って近付いて顎クイとやらをしてくるから余計に腹が立つ。私はその手を掴んで外側へ投げ飛ばす。

「気安く触んな!!ねぇ、話聞いてた…?私はあんたが嫌いなの!私はあんたに用なんてないから。」

そう言って教室に戻ろうとすると、

「俺は井上さんと友達になりたくてそれを言いに来たんだ。」


と言ってくる。今、なんて?

友達になりたい?は?

どういう事…?


「……は?」


すると私は逢坂に両手を取られ、ギュッと握られた。

「嫌いってストレートに言ってくる女の子はこれまでいなかったんだ。それに、友達想いな君の正義感の強さに感動した!」


「はぁ?お前いい加減に…」

そう言ってるのに逢坂は全然聞かない。

「俺に対してあんな風に言ってきたの、“純理ちゃんが”初めてなんだよ!俺、君に興味がある!俺はそんな君と仲良くしたいけどね。」


気安く下の名前で呼びやがって!!

「私の事名前で呼ぶな!!」

逢坂は私の目から全然逸らすことなくこう言い切る。

「俺と友達になってください!」

そんな逢坂の手を思い切り振り払って、渾身の平手打ちをかました。


さすがの逢坂もこれには驚いたようで目を丸くする。


「なんなのこの変人!!もう二度と瑞乃には関わらないで!!」

「え…」


「昨日、許さないって言ったよね?私はあんたを許さないから。瑞乃にもだけど、もう金輪際私にも関わってくんな。」


そう言い散らして階段をかけおり、自分の教室に帰ってくると…

「井上ちゃん、逢坂くんとどういう仲なの?」

「あんなグイグイ来る逢坂くん見た事ないんだけど!何があったの!?」

と言い寄られる始末。

「こっちが聞きたいよ!私、あいつの事嫌いなの!」

「えぇ!?嫌い!?」

とりあえずクラスの女子達を巻くと、次に待ち構えてたのはいつものメンツ。特に瑞乃だ。

「純理、どういう事?昨日雅くんと会った?説明して。」

瑞乃は仁王立ちだ。

くそー、隠し通すなんて無理か。

「純理、もう話した方がいいよ。」

と柚にも言われたから、私は仕方なく話す事にした。

「デート中に瑞乃が泣かされてたのを見たの。それで、瑞乃が泣かされた事が許せなくて。だから逢坂に言いに行ったの。人の友達泣かせるなんて許さないって。そしたらこれ。」

と伝えても、

「え?雅くんに私が泣かされた…?」

と何故かピンと来ていない様子。

ーーーーーーーーーーーーーーー

「おい、逢坂。」

「あぁ、広夢くん?なんだい?」

俺は逢坂が急に純理に対して興味津々なのが気になって、休み時間にたまたま廊下ですれ違った時に声をかけてみた。

「急に純理にあんなふうになってどうなってんだよ。」

すると逢坂はニコニコと笑顔を浮かべながら、

「純理ちゃんにねー、昨日“嫌い”って言われたんだー。」

と返してきた。

「どういう事だ?」

「君みたいな事を言われたよ。2人とも瑞乃ちゃんの事が大好きなんだね。」

「はぁ?嫌いって言われてそもそもなんで逆に純理に馴れ馴れしくなってんだ?」

それを聞いて表情を変える逢坂。口はキュッと笑みを作っていたが、どこか真面目な感じの眼差しを浮かべてこう返してきた。

「純理ちゃんという人間がどんな人なのか、人として気になっているだけだよ。」

逢坂は優しく俺の肩を叩くと、クラスの方へ戻って行ってしまった。

ーーーーーーーーーーーーーーー

今日は放送委員の当番の日。

放送室でノブと一緒にお弁当を食べながら逢坂の事を愚痴った。

「本当に有り得ない。なんなのほんと。」

「面白い展開だね。」

とノブはにこやかな顔をして楽しんで聞いていた。

「何呑気な事言ってんの!全然面白くもなんともない!!ノブからも何とか言っといてよ。私は奴が嫌いって言ってんのに。日本語通じないの?」

ノブはクスっと笑った後にこう言う。

「純理みたいな女子が新鮮なんじゃない?」

「はぁ?」

「だって、女子に好きです、付き合ってくださいって毎週のように告白されてるような雅だよ?そんな中突然目の前に、お前が嫌いだ!って子が現れるんだよ?あの子新鮮だぁ!ってなるのも変じゃないと思う。それに雅、結構好奇心旺盛な子だよ。」

「え。」

引き攣った顔をしてそう反応する私。

「まぁ、仲良くしてあげてよ。悪いやつじゃないし。」

とノブは言う。

「もー!ノブまでなんなのよー!」

私はノブのお弁当のミートボール1粒を箸で奪って食べてやった。

「ちょっとー。」

仲良くしてやってだと?冗談じゃない。

それから放送室から戻ってくると、クラスにはなんと…

えぇ…?何この光景…。

柚と凛子と瑞乃が、逢坂と喋ってる…!!康作も光陽も混ざって会話してるし!何あの盛り上がり…。

うわ…クラスに入りたくない。

「わ、何あれ。」

別のクラスから帰ってきたんであろう、広夢と鉢合わせた。

「ね。なんであんな事になってんだ…?」

と、広夢とこっそり覗いていると、柚に発見されてしまった。

「あ!純理!おかえりー!」

と言って柚が教室の入口の方へ来てしまった。

「わぁ!広夢もおかえりー!今ねー、みーやんが来てるんだ!」

「は?みーやん?」

「そう!雅くんだからみーやん!」

「なんだそれ。てか、なんで居るの?」

「瑞乃に貸すための小説持ってきたんだって!」

「え、まだ続いてんの!?」

「まぁ、良いからー!」

と広夢と私は柚に腕を引っ張られ、みんなが集まってる瑞乃の席に連れてかれた。

「純理ちゃん、広夢くん、お邪魔してます。」

と、にこやかに逢坂。この胡散臭い笑顔、本当に腹立つ。

…ん?しかし、逢坂は広夢の事広夢くんだなんて呼んでる仲だったっけ?前に清人先輩も来てたっていう、瑞乃のアタック作戦の時に仲良くなったのか…?


すると康作がこんな事を言い出す。

「いやー、前にさぁ、バスケ対決とかしたりしてめっちゃ楽しかったんよね!今度みんなで行こうよ。」

「わぁ!柚も行きたい!」

何だこの会話。

「みーやんも一緒に行こうね!」

えぇ?なんだと!?

「俺も一緒にいいの?」

「雅くん!一緒に行こうよ。私も行くし!」

と瑞乃が張り切って言う。

「瑞乃ノリノリじゃん。ここにいるみんなで行こうか。」

と康作がさりげなく私の事まで巻き込む。

「俺は部活で忙しいからなぁ。」

と広夢。

「私も無理ー。行きませーん。」

と私もそう返す。

「えー!2人ともなんだよー。行こうよー。純理、スポーツとか好きやん!泳ぐ系で拒否るなら分かるけどさぁ。」

と康作が明るくプッシュしてくる。すると逢坂が、

「泳ぐ系で拒否る?」

と聞いちゃうもんだから、

「あぁ、純理はカナヅチみたいなんだよね。」

と康作は気前よく答えてしまった。

「余計な事を!もう!とにかく行かないー!」

と言って、耐えられず私は再度教室を出た。
逢坂に弱点聞かれるのとか、なんか屈辱!!

「もう…なんなの…?」

逢坂なんて邪魔だ。


居なくなれ。


私は階段を駆け上がり、屋上の前の扉のところまで来てしゃがみこんだ。

でも、そこに逢坂が追いかけてきて…。

「純理ちゃん!」

「なんで来るのよ!しつこい!」

「純理ちゃん、みんな心配するよ?教室戻ろう?」

「別のクラスの人間が何言ってんだよ馴れ馴れしい。」

私は立ち上がって逢坂を退けて階段を降りようとしたけど、そのまま優しく手を掴まれてしまった。

「さっきの返事聞きたい。」


ー俺と友達になってください!



この返事か。そんなの言うまでもない。


「さっきの返事?答えはNoに決まってるでしょ?それに、さっきも言ったじゃん。もう私にも瑞乃にも関わらないでって。」

「えー?でも瑞乃ちゃんとは、小説貸し借りしてるし…。」

何?このマイペースな答え。

そして、この手を離せいい加減!私は思い切り振り払って、逢坂から逃げようとした。
早く逃げたい。慌てて階段を猛ダッシュ。しかしその焦りから私は階段を踏み外して足首を捻ってしまった。

「純理ちゃん、大丈夫!?」

逢坂は急いで階段を駆け下り、私の所に来て跪く。
最悪…!逢坂の前で捻って転ぶなんて。

「うるさい!黙れ!!普通に歩けるから!」

と立ち上がる私。捻り立てだから正直痛い。とはいえ全然大事でもなんでもない。私はそのまま走って逃げようとしたけど、

「ダメだよ。保健室で見てもらった方がいいよ!」

と言って腕を掴んできた。

「私が良いって言ってるんだから良いの!ほっといてよ。」

痛いのを我慢していると、逢坂に突然お姫様抱っこをされてしまった。

「え…!?」


「本当は痛いんでしょう?」


逢坂は優しい表情を私に向ける。


「大丈夫。この階段から行けば人通りも無いから誰にも見られないよ。俺が責任持って着いていくから。」

「はぁ?私が自分で転んだだけでお前には関係ない!お前はクラスに戻れよ!」

逢坂は横に首を振って、階段を折り始めた。




「もう…降ろしてよ…恥ずかしいから。」




そのまま保健室で湿布を貼ってもらった。捻挫まではしてないみたいだったけど、今日は部活で走り回る事はやめた方がいいと言われてしまった。後は、擦り傷の部分に絆創膏を貼ってもらった。

「純理ちゃん、バドミントン部だったんだね。」

「そうだけど。もう、最悪だ今日。あんたと一緒に居なければ…あぁ、くそー。」

「ごめんね純理ちゃん、助けてあげられなくて。」

と逢坂。

「助ける?何王子気取りしてんだ。謝る気持ちがあるんだったらさっさと帰れ。」

すると保健室の先生に、

「逢坂くんと一緒に教室帰った方が安全よー?」

と言われてしまった。でもそこへ、瑞乃がやって来た。

「純理!足痛めたって、大丈夫?」

「え?瑞乃?」

「俺がLINEしたんだ。ごめん瑞乃ちゃん。あの後純理ちゃん、階段踏み外して転んじゃって。」

「大丈夫純理?」

瑞乃は心配そうに私の足の様子を伺っていた。

「大丈夫だよ。捻挫してないみたいだし。」

「とか言って純理、今日部活でどうせ走り込むつもりなんでしょう。」

「そ、それは…。」

それを聞いて先生は、

「井上さん、無理は禁物。今日は走るのは禁止。ジャンプするのもダメね。」

とピシャリと私に言ってきた。

なんだ、ついてない…。

これも全部、逢坂が私に絡んでくるからいけないんだ。


その後私達3人は教室へと移動して、放課後の部活の時間を迎えた。仕方ないから今日は大人しくシャトル出しだけで終わらせた。



それから次の日、私はむしゃくしゃして逢坂に当たってしまった。

この日は雨で、たまたま逢坂の登校するところを見かけた私は、後をつけた。傘立てに傘をさし、ノブと一緒に下駄箱を後にする逢坂。

私はこっそり傘を盗みとって外の木の裏に隠してしまった。絶対に見つけられないだろう。それからこっそり逢坂の下駄箱をあけて、ローファーの中に画鋲を大量に入れてやった。


さぁ、怒るがいい逢坂。


あんたの本性バラしてやる。



逢坂はそうとも知らずにまたうちのクラスにやって来る。

「純理ちゃん、おはよう。」

「ゲ!また来た!!」

私は瑞乃の背中に隠れる。

どうしよう、瑞乃に嫌な気分させたら…。だって、いくらもう吹っ切れたからと言って、この間まで逢坂にぞっこんだった子だ。こんな光景見たら絶対気分悪くなるし、私が嫌われる…!

「雅くん!おはよう!」

「おはよう瑞乃ちゃん。」

逢坂は今日も笑顔満載。

「瑞乃助けてよー。こいつしつこくて。」

私は瑞乃に引っ付いて身を隠す。

「純理、そんなにバタバタ動かない方が良いよ。治りかけの足に良くないって。」

足の痛みは一晩寝たらだいぶ引いた。なので今日も普通に歩いては来れたが、保健室の先生にさっき聞いたら、今日までは走るのをやめておけということだった。

「だって…。」

すると逢坂はクスっと笑った後に、

「良かった。純理ちゃんの怪我、悪化してないか心配で見に来たんだよ。回復してきてるみたいで安心したよ。」

と言った。

「へっ?」

「ごめん。それだけ。また来るね!」

逢坂は手を振って爽やかにその場を去って行った。

「な、なんなの…あいつ…。」

私は瑞乃の正面に回り手を合わせて、

「瑞乃、ごめんね…。私、逢坂と仲良くしたいわけじゃないの!!その…。」

と慌ててフォローに入ろうとした。

「大丈夫だよ純理。昨日全部雅くんから聞いたよ。」

「え?」


は?逢坂から聞いた?


「昨日雅くんが私に小説渡しに教室来てたでしょう?純理が放送室に行ってる間に純理の話題を振ったの。そこで全部聞いた。ゆずからも話してくれて、私を心配してデートの様子を柚と一緒に見に来た事も聞いたよ。」

バカヤロ…!言うなって言ったのに。私は頭を抱える。

尾行した良い言い訳を考えて伝えようとしたけど全然思い付かずで…。

「私が雅くんに泣かされたんだと思って、それで純理が怒って、雅くんに友達泣かすなって言いに行ったって事も聞いた。」

恥ずかしい。本当に全部聞いたんだ…。私は瑞乃に目を合わせられずにいた。

「雅くん言ってたよ。あんなにどストレートに嫌いって言われたの初めてだったって。笑ってたよ。」

「だって…瑞乃が泣かされたんだと思ったから…。」

瑞乃は少し考えた後、何かを思い出したようで、私にこう伝えてきた。

「あぁ!泣かされたってそういう事か!違うよ。あれは雅くんの感動のエピソードを聞いてただけ。それに私が感動して泣いちゃっただけだよ。」

「え、嘘。」

本当に私の誤解だったんじゃん。

私は言葉を失う。

「雅くん、純理とは仲良くなりたいなって言ってたよ。純理のような感じに接してくる子が新鮮みたいよ。」

逢坂の思考には全然着いていけない。それに、逢坂が私に仲良くしてくるところなんて瑞乃は本当は見たくないはずだ。

「でも…瑞乃がそれ嫌じゃない?」

「え?」

「だって、ちょっと前まで好きだった人が別の女子に付きまとってるんだよ?なんか嫌じゃない?」

「付きまとってるって…。」

「適切な表現でしょう。」

瑞乃はうーんと唸った後に、

「純理、私はもう前に進んでるから良いの。本当に大丈夫。それに、叶わないって実感したから。」

と言った。

「叶わないって実感…?」

どういう事?そんなにこの人を振り向かせられないと思う出来事があったの?


「うん。とにかく、私は雅くんと純理が仲良くする事には何も怒らないよ。だから安心して雅くんと話したりしなよ!」

と肩を叩いて言うが、

「だから!話したく無いんだって!」

と言った。

「えぇ!何でそこまで!?」

瑞乃は手で口を軽く抑えて驚いていた。

「だって、何?さっきの話だってこの間は言ったら殺すって言ったのに尾行した事もあいつ、全部話したみたいだし、それにその様子、本当に私の愚痴1つも出なかったの?」

「うん。全然。純理の悪口は1つも言ってなかった。ずっと笑顔だったよ。」

「そーゆー所!!そーゆーのが裏があるっぽくてなんか胡散臭い。綺麗事並べてる感じがしてすごい嫌い!!」


やっぱり逢坂は苦手だ。

あいつに喜怒哀楽は無いの?喜と楽だけの人間か?


私はアイツのボロがみたい。


絶対本性暴いてやる。


そう思って次の日には嘘の告白の手紙を名無しで書いて、「今日の昼休みに中庭に来てください」と書いたものを下駄箱に入れるだけ入れて放置した。


きっと、騙されたとも知らずに人が来るまで待ち続けるんだろうな。


それから放課後、掃除で使う水をバケツいっぱいに入れて教室へ戻っている時に、中庭で園芸委員の作業をしている逢坂を見かけた。




逢坂はその時1人だった。





そんな彼に向かって、




無意識的に私はバケツを持ち上げ、




校舎の窓からバケツをひっくり返し、彼に水をぶっかけた。


風もなかったから、水はそのまま真下の逢坂に落下した。


逢坂の近くにいた、女子生徒が大丈夫!?と騒いでいる。


これは…やり過ぎたかな…。


空のバケツを手に持ったまま、我に返って廊下にしゃがみこんで深呼吸をする。



大丈夫だよね…?


と、途端に怖くなった。


しばらくして掃除を終えて部活に行こうとすると、誰かが階段を上がってきた。

逢坂だったらヤバい。そう思って降りずに廊下の角に隠れる。

誰かと思えば逢坂と、その逢坂を取り囲む女子達だった。


「ほんと、誰が水なんか。酷いよね。」

「ね!どうやったら水なんか降ってくるわけ?」

「大丈夫逢坂くん?」


3年生かな…?逢坂は本当に全学年の女子から人気だな。


「先輩、大丈夫ですよ本当に。僕、後はジャージに着替えるんでここまでで本当に大丈夫です。」

「濡れた制服乾かすのとか手伝わなくて良いの?」

「学校のどっかに洗濯機あったよね?家庭科室?


「服飾室じゃない?制服貸して貰えたらやるよー?」

とまぁ、醜いくらいしつこい先輩達。

「いいえ。ご心配ありがとうございます。後は自分で何とかします。」

と逢坂は笑顔で先輩を切り抜けようとしていた。

「そう?」

「風邪引かないようにね。」

やっとの事で先輩は階段を降りて、帰って行った。

1人になった逢坂は、自分の教室へ入って行った。

私は一息ついたあと、逢坂の事を見に行った。だいぶ多い量の水をひっくり返しちゃったから、濡れ具合が心配だった。

気付かれないように教室を覗く私。

A組の教室には逢坂1人だけだった。

「くしゅん…!」

逢坂はクシャミをしていた。

逢坂の金髪の綺麗な髪は濡れてちょっと濃い色に。カーディガンの元々の色を知らないけど、濃いグレーになっていて、結構びしょびしょだった。

10月にこの仕打ちはまずかったかな?

それから逢坂は体育で着ているジャージの入った袋を取り出して、着替え始める…と思ったら、扉を閉める為に入口の方に目線をやり…

「誰かいるの…?」

と危うくバレそうになった。

走り出すも、最悪な事にカーディガンのポッケからiPhoneが落ちちゃって…
素早く戻って退散しようとしたけど、

「純理ちゃん…?」

「え…あ…。」

私の存在がバレてしまった。

私は何事も無かったように落ちた携帯を拾って、そのまま階段を駆け下りた。


どうしよう、犯人が私なのバレた…?そこまで感は鋭くないかな…?大丈夫かなぁ?





続く