第93話

パリ編4️⃣「ずっとここにいてほしい」1
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2021/08/14 08:47
モンサンミッシェルからバスに揺られて5時間。14時過ぎにパリに戻って来た私達。

リシャール本邸に1度戻り、泊まりの荷物を置いた後、私と雅はルーブル美術館に向かった。

「雅!!これ!!」

到着してまず最初に目に入ったのは広場にあるガラス張りの大きなピラミッド。

「ねぇ、前に雅がLINEのアイコンにしてたやつの実物ってこれの事!?」

「あぁ!そうそう。夜になると良い感じにライトアップもされるよ!俺らが出る頃には暗くなりかけてる時だから、ライトアップ始まってる時間かもね!」

そのピラミッドの所から館内に入れる下りのエスカレーターがある。そこから下りて館内に入館する私達。想像していた広さよりも全然広くて、半日じゃ絶対に回れないくらいの大きさだった。

ルーブル美術館には、ナポレオン1世の戴冠式の絵画や、彫刻のミロのヴィーナス等、美術の教科書で見た事のある作品がいっぱい。

中でもやっぱり印象的だったのが……


「げ!!何この人だかり!!ヤバいじゃん!!」

「あぁ、ここはいっつもこれくらい混んでるよ。1番人気なんだろうね」

「わぁ…そうなのね。さすが“モナリザ”ね」

そう。モナリザはルーブル美術館の中でも大人気の展示作品。展示スペースは人で溢れ返り、列が出来ていた。やっとこさ近付く事が出来た私と雅。そこで真っ先に思ったのは……

「待って?モナリザって意外と小さいのね!?」

何メートルもある、もっと巨大な絵画なんだと思った。でも実際は、縦横1mも無いんじゃないかと思ってしまうくらいに小さかった。

「意外だよね。俺も初めて見た時は目を疑ったもんだよ」

「そっか、雅もそう思ったのね」

「うん」

「康作にも教えてあげよっと」

「康作?」

実は、パリに行く前に康作からこんな事を言われていた。私は康作の発言を思い出し吹き出しつつ、雅に教えてあげた。

「そう、康作!康作ってば、パリに行く前私に、『あ、向こう行ったらモナリザさんによろしく言っといてー!』って言ってきたの!知り合いかよ!って突っ込んだわ」

それを聞いて雅も吹き出す。

「ははは!いやぁ、さすがだわ康作。ホント大好き過ぎる。後で俺、『モナリザさんによろしく伝えといたよ』って彼にLINE入れておこうかな?」

「それウケる!絶対私から聞いたな!?って伝わるよね」

そんな笑い話をしつつ、2人で何時間もかけてルーブル美術館を周り、気が付けばあっという間に夕方に。

外に出ると……


「わぁ!!綺麗!!」



さっき入口で見たピラミッドが、オレンジ色に輝き、ライトアップを始めていた。

ルーブル美術館の広場から敷地全体を見渡す私。始めに見た景色の雰囲気と全然違って驚いた。

「綺麗でしょう?」

「うん、凄く綺麗!」

私は雅とそこで写真を撮り、背景に綺麗にピラミッドを収めた。


それからルーブル美術館を後にし、今度はシャンゼリゼ通りへと向かった。

シャンゼリゼ通りをウィンドウショッピングしながら進み、その通りの飲食店で少し早めの夕食を済ませた。その後雅は何かを思い出したようで、

「そうだ!!柚に頼まれてたお店に行かないと!ねぇ純理、後でそこに寄って良い?」

と尋ねてきた。

「柚に頼まれた?良いけどなんのお店なの?」

という事でやって来たのは有名なマカロンのお店。お店入口付近にはマカロンツリーが私たちをお出迎え。ガラスケースの中はカラフルで、いろんな色のマカロンがあった。

「未だに柚に時々頼まれるの。また送ってくれって」

「そうなんだ」

雅がフランスに行ったばかりの時に、柚が雅に頻繁にお菓子を送ってくれと頼んでいた事は知っていたけど、まさかまだそのやり取りが続いていたとは。

「うん。どうも現地のお菓子が良いみたいでね」

「まぁあの子、パティシエ専門学校に通ってるし、研究も兼ねてるんじゃないのかな?」

私は自分の分も購入し、後で雅と一緒に家で食べようという事になった。マカロンが潰れても嫌だし、家族へのお土産の分は買って送ろうかな。


そして、暫くウィンドウショッピングをしながら歩き進め、

辿り着いた先には凱旋門。

パリの栄光の象徴とも言える凱旋門で、素敵な佇まいと雰囲気に素晴らしさを感じた。何より凄く大きいからインパクトがあった。これはとても迫力のあるものだ。

中をくぐれば装飾が綺麗でとても細かい。日本にはないクオリティだなって感じた。

すると、雅がこんな事を教えてくれた。

「知ってる?凱旋門って上に登れるんだよ」

「え!?そうなの!?」

「うん!階段上る感じになるけど平気?」

「全然!行ってみたい!」

という事で、凱旋門の展望台までやって来た私達。螺旋階段は多少疲れたけど、疲れが吹き飛ぶくらいのパリの夜景が一望出来て、ついつい釘付けになった。歩いてきたシャンゼリゼ通りのライトアップも良いのだけれど、

「純理!そろそろ光ると思う!エッフェル塔!」

「え!?」

雅が私の手を取り、エッフェル塔の方を見るように促してきてくれた。エッフェル塔が光る?もうライトアップされてるじゃない。そう思いながら目を移す私。何かと思えば……


「わぁ……!!!!」


白い光の粒が一目散にエッフェル塔を覆い、エッフェル塔にスパンコールが全体に貼られているのでは無いかと思うくらいの細かい光を放ち、キラキラと輝き始めたのだ。

「何あれ!!すっっごく綺麗!!!」

「いやぁ、凄いよ!タイミングバッチリ過ぎる!」

どうも今見てるこの光り方をするのは、毎時0分〜5分の間だけらしいのだ。

「あの光り方を『シャンパンフラッシュ』と呼ぶんだよ。あぁ、純理に見せれて良かった」

と、雅は私に対して安堵の笑みを見せた。

「ありがとう。雅のナビゲートのお陰で本当に素敵な2日間になったよ」

「そんな。俺だって純理と回れて凄く嬉しかったし楽しかったよ。でも、まだ終わりじゃないよ。エッフェル塔が残ってる!」




4️⃣後編へ続く

アンケート

康作からモナリザの件で返事が!!その返事の内容は…
「ありがとう!モナリザさん可愛かった!?‪w‪w」
13%
「そっかぁ!なんて言ってた!?」
33%
「おお!今度は俺が直接会いに行かんとねー!」
42%
「良かった!人見知りされなかった!?」
13%
投票数: 24票

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