もうクリスマスかぁ。
結局今年も彼氏できなかったなぁ…。
凛子は彼氏いて羨ましい。凛子は彼氏と過ごすって言ってるけど…私はどうしようかな。そんな事を考えてる時に、康作から声をかけられた。
「ねぇ、純理さぁ、24日のイヴの日って空いてる?」
「え?なんで?」
康作はシシシと、歯を見せながら笑う。
「いや、だから…何?」
「俺ねー、その日清人くんの事丸一日抑えてんだー。」
「へ…!?」
「清人くんの家にさ、みんなで遊びに行かない?」
と、なんとも驚きのお誘いだった。
「えぇ!?清人先輩の家に!?」
「元々清人くんの家に遊びに行く予定だったんだ!純理、空いてるなら来なよ!」
私は嬉しくて康作に抱きつく。
「ありがとう…!ありがとう康作!あんたは本当に神だよ…!」
と、言ったものの、清人先輩はこの事知ってるのかな?
「あれ?清人先輩には許可もらってるの?」
「え?まだー!でもまぁ清人くんの家は広いし大丈夫でしょう!」
ってそういう問題!?
「いやいや、許可取らないで行っちゃダメでしょ!!!」
「大丈夫大丈夫!何人か適当に誘うわー!って言ってあるから。」
なんか、急に心配になってきた…。
するとそこへ光陽もやってきた。
「え、なんか楽しそうな話してんじゃん!」
「おお!光陽!お前も24日空いてたら来ない?清人くんの家に遊びに行くんだ!」
光陽はすごく嬉しそうに、
「え!行く!」
と即答した。
あのー…清人先輩無しでこんなに話進んで大丈夫なの…?
「ていうか、みんな誘っちゃえば良いか!」
とか言い出す康作。部屋がパンパンになるわ!
「康作!!そんなに人多いと清人先輩の家の人も本人も困るでしょう!?それに入り切るの?」
「大丈夫大丈夫!その日仕事で誰もいなくて清人くんだけらしいし、何せ清人くんの家めっちゃ広いから!タワマンだよタワマン!」
「えぇ…!!!?」
た…タワマン……!!?
逢坂といい、清人先輩といい、なんなんだ一体…!!
冬休み一日目でもある今日、凛子と瑞乃以外が揃った。とはいえ瑞乃は部活後に来てくれるそうだ。
「なんだ、みんなリア充じゃないのな。」
「光陽うっさいわよ!」
私は光陽にピシャリ。各自お昼ご飯を家で済ませてきて、康作とは13時に駅で待ち合わせしている。
「てか、今日の純理めっちゃ可愛い!柚ももっとオシャレしてくれば良かったかなぁ?」
やっぱり好きな人の家に行くとなると、そりゃあオシャレしますよ。今日はワインレッドの肩開きニットに、丈の長めの茶色いチェックスカートに白いコートを羽織ってきた。化粧もバッチリ。肩開きタイプなのは家でコートを脱いだ時に見られるから、ちょっと緊張する。
「2人とも可愛いよ!純理、そういう服清人くん好きだと思う!」
と康作。
「ほんと…?」
「うん!恋する乙女は最強だもんね純理!」
と柚が私の肩に手をぐるっと回してそう言ってくる。
「柚!ダメだよ…こんな所で公に言っちゃ…。」
って思ったけど、みんな知ってるのか。
「あ、いや…私が先輩のこと好きなの、みんな知ってるメンツしか今日は居ないわ。」
と言うと……1人その話題に顎をあんぐりさせる奴が現れた。
「はぁぁ!?純理、俺聞いてないぞ!!やっぱりそうなんじゃん!清人さんの事好きなんじゃん!!!」
しまった、光陽だけ知らないんだった。
光陽は今年いっぱいで生徒会長の任期を終える清人先輩からバトンタッチして、1月から正式に生徒会長となる。1年の時から清人先輩にはお世話になっているようだし、彼は清人先輩リスペクト野郎だ。ある意味私のライバルなのかもしれない…?
それから康作の案内で清人先輩の家へと歩き出す私たち。その時に私は広夢に耳打ちをしておいた。
「ねぇ、あんた、ちゃんと道覚えておけよ?」
「え?」
「ほんとアホ!瑞乃後で来るんだから、あんたが迎えに行きなよ?2人きりになれるよ?」
私のその言葉に広夢は吹き出す。
「そのまま2人きりでデートしてきても良いんだよ?」
「純理やめろ!まだそんなハードル高いこと出来ん!」
それからしばらくして、とある高級な建物の前に来て康作が止まった。
「清人くんのマンションここ!」
「へ!?」
私たちは度肝を抜かれた。
「ええ!清人先輩のマンションこれ!?」
「そう!A棟の3102号室!」
「31“マル”2なんて口にした事もねぇよ…。」
と広夢。
「すごいよねー!じゃあ行きましょうかねー!」
その時ふと頭に疑問が過ぎった。
「康作、清人先輩に我々が来ること言ってあるんだよね?」
「うん!純理達連れて行くって言ってある。」
と康作は二カーッと笑ってそう言うが…
「達ってなんだよ!!人数言ってないの!?今日なんて康作、光陽、広夢、柚、私…で、後から瑞乃で6人だよ?」
すると広夢も、
「え!俺、ほぼ徳原先輩と初絡みなのに、俺の名前出してねぇの?」
とちょっと心配そう。
「大丈夫大丈夫!気にしなーい!」
康作、あんたの家じゃないんだわココは…。
そう思いながら通してもらうと…
インターホンを押し、2回くらいオートロックの扉を潜り、清人先輩の住む31階まで上がってきた。すると清人先輩が既にドアの前に立って待っていてくれた。
「へーーい清人くんー!」
「わ!!待って!ウケる!めっちゃいるじゃん!!」
ウケるなの!?清人先輩それで済むの…!?
「でしょう?夕方、部活終わったらもう1人増えるよん!」
「ははは!人数言っとけしアホ!」
清人先輩、怒ってるんだか笑ってるんだか分からない…。でもまぁ、康作の行動パターンを理解してそうな人だもんな。こういう事、山ほど経験してきたんだろう。
「お邪魔します。」
入って驚いたのが、何このガラス張りの開放的空間…!奥に見えるの東京タワーじゃない…!?これ、何畳あるんだろう…。
でも普通に40畳以上はありそうだ。
「うーーーわ!!!清人さんの家ひっっろ!!!」
光陽は大興奮だ。柚も大はしゃぎ。
「先輩ソファー座っていいですか!?」
「ってもう座ってんじゃん!!!」
柚、この間カラオケで少し清人先輩と絡んだだけなのに、もうそんなふうにガツガツいけんの!?
唖然として固まっているのは私と広夢だ。
「とりあえずそこに座って!」
清人先輩はリビングの方のテーブルを案内してくれた。
「すみません、先輩。これみんなで食べれればと思ってお菓子買ってきました。」
律儀な広夢は清人先輩にお菓子を袋ごと渡した。
「おお!ありがとう!」
「康作お前が言うな。ありがとうね!えっと、サッカー部の諏訪部くんだっけ?」
「え!そうです!」
「だよね!一応俺、全校生徒の顔と名前頭に入ってるからさ!」
何それ…!生徒会長ってそこまでするの…!?清人先輩の記憶力には驚いた。
それから、コートを全員ハンガーに掛けさせてもらい、少しすると台所で何か良い匂いがする事に気が付いた。
「先輩、何か甘い匂いしません?」
「あぁ、今俺がケーキ焼いてんだよ。」
…はい!?
今なんて…?康作は全然驚かず、
「マジ!?清人くん作のケーキ食えんの!?やったー!」
と、ただただ喜んでいた。
「え!!清人さんってケーキまで作れるんすか!?」
と光陽。
「うん。一応ね。ほら、俺の母親が六本木に本店構えてるケーキ屋のパティシエだからさ、小さい頃よく作って父親とか兄貴に出してたもんだよ。兄貴は社会人になって家出ちゃったけど、未だに時々食いたいって強請ってくるよ。」
私はいろんなワードに反応してしまう。お母さんが一流パティシエだって…?で、お兄さんがいるの…?するとそんな中、柚がソファーから降りて清人先輩の所に駆け寄る。
「え!先輩のお母さんパティシエさんなんですか?」
「そうそう。だから今日明日なんて1番忙しい日だよ。」
「うわ、そうっすよね!ケーキ買う人山ほどいますもんね。」
と広夢。
「いや、実は柚、パティシエ目指してて!」
「あ!そうだったの!」
なんてパティシエの話題で盛り上がっていた。
なんか今日はいろんな清人先輩に触れられて贅沢な1日だなぁ。
柚がパティシエトークに花を咲かせた後、
「それなら柚ちゃんさぁ、最後の仕上げ手伝ってくんない?」
と清人先輩に頼まれていた。
「喜んで!」
良いなぁ柚…。でも私は料理が出来ないから、出しゃばることなんか出来ない。逢坂の家でリンゴの皮剥いたけど、あれがやっとなんだから。
「つーか、もう1人来るって言ったよな?その子何時くらい?」
と清人先輩。
「あぁ、13時に部活が終わるとかで、帰って支度してから来るって聞いてるから15時過ぎくらいじゃないかな?」
と部屋の時計を見ながら康作が答えた。
「そうなんだ。へぇ、じゃあケーキはその子の分も取っといてあげよう。いや、実は夜にアイツら来るんだよ。」
「アイツらって誰ー?」
「ん?ノブと雅。」
ゲ!!逢坂来るの…!?
私は背中がゾクッとした。
「わー!そうなんだ!みんなには今日夜まで空けてもらってるからさ、夜までみんなで残って騒ごうよ!」
康作、この家を半分私物化してないか…?
私達はリビングの大画面のテレビでゲームをして盛り上がった。ケーキが焼けるまでは清人先輩と柚はキッチンで作業。でも、ちょいちょい清人先輩が顔を出し、
「ウケる!何やってんだよ!」
と光陽にツッコミを入れたりしていた。
あぁ、同じ空間に清人先輩がいるのが幸せ…。
しかも、
「康作、ちょっとリモコン貸して?そのミニゲーム俺やりたい!お前ペア誰と?」
「んーっと、純理じゃね?」
リモコンを康作から借りた清人先輩と、突如ペアを組んで対戦することになった。隣に清人先輩がいて、ドキドキしながらもゲームを続ける私。清人先輩が強かった事もあり、私と清人先輩ペアは圧勝。
「やったね純理ちゃん!」
なんて言って、私の手を取り上に持ち上げる。
私の手を清人先輩の手が触ってる…!!
私は顔が赤くなって沸騰しそうになった。
それから瑞乃からグループLINEの方に連絡が入った。
「おい!広夢、出番!!」
と私がコソコソと言ってあげるも…
「お…俺行くよ…!!」
と弱々しく広夢。それに対して康作が尋ねる。
「駅分かる?」
すると清人先輩が、
「お前、着いてってやったら?」
と言ってしまう。ビビリな広夢はそれに便乗してしまい…
「康作、お願いしていい?」
と頼んだ。
この意気地無し…!!!
少しして瑞乃もやって来た。ゲームをしてたから、ケーキは清人先輩と柚によってデコレーションされた後、1度冷蔵庫に移動させていた。
「よし!瑞乃ちゃんも来た事だし、柚ちゃん、ケーキ出そうか!」
「OKでーす!」
清人先輩と柚によってケーキが切られ、清人先輩の手作りケーキをよく味わって堪能した。
「先輩!美味しいです!」
「清人さん、これは店出せますよ。」
なんて、みんな清人先輩のケーキを絶賛。
そしてゲームでまた遊んだりして日も暮れてきて、康作が光陽を連れて、近くのコンビニで予約してたというローストチキンにブッシュドノエル、惣菜を取りに行った。
「ねぇ、鍵持ってってよ。いちいちインターホン鳴らすのも面倒っしょ。」
という事で清人先輩は2人に家の鍵を託した。
私と柚、広夢と瑞乃は、ピザを選んでいた。清人先輩が愛用しているiPadを貸してくれたから、大きな画面で見やすい。
「なんか、清人先輩の家でバクバク食べてすみません。」
「良いよ良いよ!康作をクリスマスに呼ぶと、大体こんな感じだから俺ももう耐性がついたわ。ははは!俺もメニュー見ていい?」
「はい!」
5人で仲良くピザのメニューを見ていると、インターホンの音が鳴った。
「ちょっと出てくるね。」
清人先輩は席を立った。それからもう2回音が鳴り、ノブがやってきた。
「お疲れー!」
ノブは塾やら家の用事があったようで、この時間からフリーのようだ。
「お疲れ様。清人くん、これ良かったら。」
「え!何これ!」
「今日多分誰もまだ用意してないんじゃない?」
ノブが持ってきたのはアイスケーキだった。
「うわぁ!マジか!ありがとうノブ!冷凍庫入れないとー!」
清人先輩ははしゃぎながらキッチンの方へ。
「つーかノブ、雅は?」
「分かんないなぁ。もうバイト終わってると思うし、そろそろじゃないかな?」
それから広夢の隣に座るノブ。
「ノブー!」
「やっほー!」
「みんなお疲れ様。マジで勢揃いだね。」
ノブは、広夢とは選択授業が一緒で仲が良く、柚と私は1年の時にクラスが一緒だったけど、瑞乃とノブはそんなに絡みが無いみたい。でも、一緒にピザを選んだり、学校の話をしてたりしたらすぐに仲良くなった。
少しすると、康作達が帰ってきた。
「清人くーん!運ぶの手伝ってー!」
と、康作の声がする。
「お?なんだと?」
それから清人先輩が玄関に行くと、
「あれ!雅!」
と言う先輩の声も聞こえてきた。
わ!本当に来たよ逢坂…!私はちょっとビクッとする。
「そうそう!下でバッタリ会ってさー!いいタイミングだったよ!ね!雅!」
「うん。」
それからぞろぞろと4人が荷物を持って玄関から移動してきた。
人の家の中でも逢坂はオーラを放っていた。パン屋に居たからかもしれないけど、甘い匂いもした。
「わーい!みーやん!」
柚は逢坂に抱きついた。
柚は本当に誰にでもフレンドリーで、人の懐に入るのが上手いなぁ。
「柚ちゃん!」
逢坂もあんなんだから、普通に柚を抱き返す。
この組み合わせなんかまだ見慣れないなぁ。
それから逢坂がキッチンに移動し、
「そうだ清人くん。俺の店のバゲット買ってきたんだけど、アヒージョに合わせるのこういうので良かった?」
と清人先輩にパンを差し出した。
「あぁ!それそれ!サンキュー!」
清人先輩、何かを作業してると思ったら何…?今度はアヒージョを作ってるだと…!?
清人先輩は3年生の首席だし、それにバスケ部は引退したものの部長だったし、生徒会長だし、頭も切れて料理もできるし爽やかでカッコイイし…清人先輩良いとこばっかり…!
欠点なんて全然無い!
あぁ。カッコイイなぁ。
なんて、1人で清人先輩の事を想いながらキュンとしていた。
ん…?欠点がない…?
それは逢坂にも同じ事を思ったはず。
顔も良くて学年主席で、運動神経抜群で人当たりもよくて…
なんで逢坂には胡散臭さを感じるんだろう。
清人先輩に対してはAIだなんて思わなかったし、八方美人とも感じない。なんで逢坂にはそれを感じるんだろうか。
何が違うの…?
と、ふとそんな疑問が過ぎった。
それからピザも来てみんなでどんちゃん騒ぎをしていると、飲み物の配分が人数と合ってなかったようですぐになくなってしまい、
「ねぇ、清人くん、飲み物買ってきてくれないかな?」
と康作が清人先輩に振った。
「え?俺?まぁいいけど…。」
すると逢坂が、
「お願いね。そしたらもう1人くらい必要じゃない?」
と、康作に妙なアイコンタクトを送っていた。
そしたら康作がまさかの…
「だね!じゃあ純理さぁ、清人くんの手伝いで着いてってあげてよ。」
私にその役割を振ってくれた。
康作優しい…!ありがとう!
するとその時、アホが1人。
「清人さん!俺も行くっすよ…」
光陽が言いかけた途端、広夢が光陽を吹っ飛ばした。
…ごめんね光陽。広夢も空気読んでくれたみたいでありがとう。でも清人先輩が悪気もなく、
「純理ちゃんに行かすの?可哀想に。女の子に重いの持たせちゃダメでしょう。」
と言ってきたから、
「私は全然大丈夫です!今日まだ家から出てませんし!」
と全力で返した。
「そう?うーん。じゃあ一緒に行こうか。」
と、まさかのここで康作達の計らいのおかげで、清人先輩と2人きりになる事が出来た。
清人先輩と私は、タワーマンションの地下に降りた。
「地下にねー、そこのスーパーとの連絡通路があるんだ。便利でしょう。」
「へぇ!!それは便利!」
それからスーパーに移動して、一緒に飲み物を選んだ。
「純理ちゃん、ミルクティーとか飲む?」
「あ、好きですよ!」
「おっし、じゃあ入れとこう。」
とカゴに突っ込む清人先輩。
「俺らが来たんだからさ、自分の好きな物入れておきたくない?買いに来たやつの特権だよ。」
「確かにそうですね!」
それにしても、今日のでいくら使ってるんだ…?値段結構行ってるような…。事前に学校で各自から2千円ずつ康作が回収したけど…。絶対足りてない気がする。気になって清人先輩に聞いてみると…
「あれ?そうか、女子には行ってないのかこの連絡。」
「へ?」
「いや、今日は男子持ち。回収した分からオーバーしたお金は男子で折半しようかって話だよ。」
「え!!先輩、家まで使わせて貰ってるのに…。」
「良いの良いの。そこは甘えてよ。」
って、清人先輩は私の頭をポンと撫でる。
それにドキドキする私。大丈夫…?顔赤くなったりでもしたらバレちゃうよ…?
その後、清人先輩と買い物を終えて連絡通路を歩く。
「純理ちゃんは鍵係ねー!」
と言って飲み物は清人先輩が全部もってくれた。
「は、はい!」
そして、すぐに部屋に戻るのかと思いきや…。
「ねぇ、せっかくだからさ、良いもん見せてあげるよ!」
と言ってそのままエレベーターには乗らずに真っ直ぐ進み出す清人先輩。
「A棟とB棟の間に中庭的なスペースがあるんだけど、そこにねー、ツリー立ってんのさ。イルミネーションも見れるよ。」
「へぇ…!そうなんですね!」
「うん。」
少し歩き、A棟のロビーを抜けると…
「わぁ…!!」
中庭に生えている木や草にライトが装飾され、真ん中にはツリーが。
白と青のコントラストがとても綺麗だった。
「ね!タワマンの割にはやるっしょ?」
「想像以上でした…!」
「へへへ。そうか。」
清人先輩と2人でこんな風にイルミネーションを眺められる時が来るなんて思ってもみなかった。
あぁ、このまま時が止まればいい。
清人先輩ともっとこのまま一緒にいたい…。
イルミネーションを見ながらも、先輩の横顔もチラッと視界に入れてしまう私。
すると気付かれたのか目が合っちゃって…。
「ん?どうした?」
ドキドキして言葉にならなかった。
「あ…え…いや……。」
「ん?イルミネーションに感激して言葉失ったか!?ははは。」
清人先輩は私の頭をクシャクシャっと撫でて、
「よし、寒いし戻ろっか。戻んないと康作から催促来そうだしな!」
と言って、来た方へ歩き出した。
「純理ちゃん、行くよー?」
「あ、はい!」
今日1日、こんなに清人先輩と一緒に居れて本当に幸せだった。
これは私の、一生の思い出だ。
清人先輩、ありがとう。
大好きです。
続く
アンケート
清人は何故純理にイルミネーションを見せた?
外に出たついでになんとなく
13%
純理の事が実は好きだから
42%
女の子、こーゆーの好きそうと思ったから
32%
実は純理の気持ちに気付いていて、喜ばせようとした
12%
投票数: 90票
アンケート
🆕アンケート 今回の清人を見ての印象を教えて✨
頭撫でてくれるのはキュンとする💓
51%
康作とのやり取りナイスコンビw✨
24%
勉強も料理も出来ていろいろとすげぇ👏‼️
25%
投票数: 55票
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。