佐藤 side
あなたと音信不通な日が何日か続いた 。
グループの仕事はほぼなかったからいいとして
マネージャーにそっとしとけってって言われた 。
浅野さんはあなたの居場所知ってるのかな?
まあ流石に今日は某音楽祭の全体リハだから
来るだろう 。そう思ってたけどあなたは
俺らの出番になっても一切現れなかった 。
『 ……… 』
中島「 菊池 、サビのところもうちょい右 」
菊池「 おー 」
中島「 マリウスはカメラ見えるように左ね 」
マリ「 はーい 」
『 、、、』
中島「 … 勝利?勝利 、」
『 んわっ 、え 、あ 、ごめん 』
中島「 いや 。大丈夫 。……… きっと来るよ 」
『 、、、うん 』
健人くんの言葉に頷いたものの 、
何を根拠にそんなこと言えるんだろうって
少し思ってしまった 。だっていないのが現実 。
来て欲しいって願ってる 。願ってるけど 、
……… 本番も4人だったらどうしよう 。
自販機付近のベンチに座って小さく呟いた 。
そんな時 、ポッケに入れてたスマホが震えた 。
『 … もしもし 、聡?』
松島《 勝利やっほ〜 》
『 どうしたの 、
聡からかけてくるなんて珍しいじゃん 』
松島《 そ?暇なんだよね 笑 》
『 そっか 、笑 』
松島《 … 勝利大丈夫?》
『 … え?なにが?』
松島《 なんか元気じゃなくない?》
『 … 大丈夫だよ俺は!笑 』
松島《 … そっか!……… か 、》
『 ごめん 、電波悪い 。なんか言った?』
松島《 ん?なんも言ってないよ?》
『 あ 、そう?』
松島「 うん 、あ 、お姉ちゃん帰ってきそう
だからまた後で電話する!夜!夜する!」
『 わかったー 』
松島「 ばいばーい!」
何にも聞こえなくなってスマホを耳から離した 。
、、、あー 、あなた不足で死にそう 。
ベンチの上で小さくうずくまってると
頭の上にコツンッと何かが当たった 。
『 … え 、、、二宮くん 、』
二宮「 間違って甘党のコーヒー
買っちゃったからあげる 」
『 え 、あ 、いや 、、、』
二宮「 あれ 、佐藤甘いの無理?」
『 いやっ 、!好きです!』
二宮「 そ 。ならいいや 。
普段渡すような人今日いないから 」
そう言って二宮くんは自分用に
ブラックのコーヒーのボタンを押した 。
スイッチは完璧なオフモードなのに
すごくカッコ良い 。あなたが憧れる要素も
なんだか分かる気がしてきた 。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!