そういえば私って、交通事故にあったんだよね
205号室、1人でいた私は
交通事故にあった時の事を思い出した
たしかあの時…
誰かが私を助けてくれたの…でも、誰だったのか…
思い出そうとすると、頭に激痛が走る
でも、どうにかしてでも思い出したくて
思い出そうとする
それでも起きることは同じ…
痛みに耐えられなくなった私は、とうとう倒れ込んだ
バタッ
それに気づいたのか、大ちゃんの声がする
もちろん、頭の激痛は収まらず
私は頭を抑えながら、必死に息をした
この叫ぶ声…聞き覚えのあるような、ないような…
これ以上は、考える余裕もなかった。
そのまま私は、病院へと連れていかれて
入院となった
でも、あの頃の記憶を
まだ、思い出せずにいた
その記憶が戻る恐怖はある
でも、戻ってほしい気持ちもある
複雑な気持ちを抱えながら
病室で、眠りについた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!