第2話

Taishi Onodera
913
2021/08/02 13:45

「ただいま〜」

仕事を終えて帰ってくると、いつも子犬のように玄関まで出迎えてくれるのに今日は来ない。
おかしいな、と思いながらリビングへの扉を開けると練習を終えてシャワーに入ったのであろう太志がソファで寝ていた。
テレビに映る彼はいつもユニフォーム姿だから、こうやってスウェット姿で無防備に寝ている姿を見れるのは、私の特権だ。

太志の前にしゃがみ込み、寝顔可愛いなぁ、と思いつつ、
もう一度小さな声で
「ただいま」
とだけ言って太志の髪の毛を撫でる。

おそらくテレビを見ながら待っていたのだろう。

さて、夜ご飯作らなきゃ、と立ち上がろうとした途端、
腕を引っ張られ、私の顔の前に太志の顔が。

「あなた帰ってきてたの?おかえり。」
と寝起きの声で微笑む彼。

「遅くなってごめんね。」

「んーん、寝ちゃってたや。ごめんね。仕事お疲れ様。」

「ありがとう。太志も練習お疲れ様。ご飯作るからもう少し寝てていいよ。」

と言って太志のおでこに軽くキスをすると、今度は太志に唇にキスされる。

「ん、ありがとう。帰りにケーキ買ってきたからあとで一緒に食べよ。」

彼と、デザートを食べながら少しだけ夜更かしをする時間が、私にとっては幸せな時間だ。

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