第3話

Masahiro Sekita
1,497
2021/08/02 14:35


応援席から飛んできた私は、処置室の扉の前で柳田さんが立っているのを見つけた。

誠大は、1歳上の柳田さんとはお母さん同士が知り合いで小学生の頃からつながりがあったようで、さん付けではなく今も“マサ”と呼ぶ間柄だ。
誠大いわく「俺に後輩感がないだけ」らしいが、柳田さんは誠大にとっても居心地のいい仲間であり、セッターとエースとしてコートに立っても余計な言葉はいらないようだ。

そんな中、試合中に誠大は、味方がワンタッチを取ったボールを拾いに全力で走り、そのままベンチに激突。試合は続行したものの、試合終了後に柳田さんに連絡をもらって走ってきたのが現在である。

「あなたちゃん、心配したよね。応急処置しに一回交代しろって言ったんだけど、大丈夫って聞かなくて。今、中でトレーナーに診てもらってる。入って大丈夫だよ。」

そう言って、私を扉の内側に入れてくれた。

「誠大!大丈夫?」

駆け寄って抱きついた私に、少しびっくりした誠大は、

「うわ!あなた!大丈夫だって!みんな心配しすぎ。ちょっとベンチにおでこ当たっただけだよー」

と怪我をした額に手を当てお茶目に笑う。

「ほんと心配した…大丈夫そうで良かったー。」

誠大のそんな顔を見て、安堵で身体の力が一気に抜ける。

「心配かけて悪かったよ。全然大丈夫だから。な?」

そう言って私の頭を撫でる誠大。
そんな姿を見て柳田さんは「なんかここだけ温度熱くない?」と苦笑いしている。


貴方は周りの選手より少し小さいけど、その分、誰よりも頑張るので、たまに無茶をするのが不安。
だけど、貴方のあげたボールを待つ柳田さん、石川くん、西田くんがいるから、貴方は全力で楽しみながらバレーが出来るんだね。
どうか、大きな怪我が無いように。

そう祈りながらしばらく誠大を抱きしめていた。

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