
ワールドカップバレー2019最終戦 日本vsカナダ
私の仕事もあり、なかなか直接応援に行くことは無いが、偶然休みが取れたので今日は試合に見に来ることができた。
やはり観戦すると、サーブの音、アタックの音、シューズの音、全てがテレビで見るより耳に響き、臨場感が溢れる。
その中で人より少し小さいが、誰よりも注目されている、西田有志がいる。
少し前までNEXT4が男子バレーの新生と呼ばれていたが、そのうちの石川祐希と柳田将洋を憧れの選手だという西田有志も今や龍神NIPPONを支える1人になった。
瞬く間に有名になっていった有志は、私が2年付きあっている彼氏でもある。
コートの中の有志の首には、ネックレスが光っている。
普段からアクセサリーは付けており、抵抗がないと思い、付き合って初めてのクリスマスにあげたものだ。
実は、体の血行を促進する磁気の部分に特許が使われており、肩こりや疲労感を軽減してくれるという力もある。
「まじ!めっちゃ嬉しいわ!ありがとう!これからつける!」
と満面の笑みで喜んでくれた有志はあれからずっとそのネックレスをつけ続けてくれている。
カナダとは接戦でセットカウント2-2、第5セットは9-9とどちらも引けを取らない。
バレーボールに詳しくなくても、球のスピードやジャンプ力が世界に通用しているものであることはわかる。
どちらもいいプレイだなあと感じながら声を出す。
次は有志のサーブだ。
飛んだボールは相手選手が受け止めきれずベンチの方まで飛んでいく。
そして驚くことき2本目も相手チームの選手を弾き飛ばした。会場は歓声で沸き上がり、有志はガッツポーズをしてチーム全体が喜んでいる。
波は完璧にこちらだった。
3本目は山内さんのブロック。
そして4本目はまた有志のサービスエース。
そして5本目も。
これまでにない会場の一体感に心臓が震えた。
9-14と日本のマッチポイントを迎え、
最後もまた、有志のサービスエースで終わった。
有志はただただすごかった。
試合が終わり、泣きそうな笑顔で喜びを分かち合うチームに、私は涙が止まらなかった。
これほど感動した試合はあっただろうか。
家に帰り、有志にLINEを送った。
「お疲れ様!本当にすごかった、感動した。」
しばらくして電話がかかってきて
『俺すごかったやろ?自分でも震えたし驚いたくらい。あなたや会場のみんなの応援のおかげやな。かっこいい姿見せられて良かったー。』
「うん、めちゃくちゃかっこよかった。感動して泣いちゃったもん。」
『え!?泣いたの!?あなたが!?普段全然泣かんやん!えー俺見たかったー。』
そう言ってケタケタと笑う有志。
『でもさ、俺、誰かが泣いてくれるくらいのプレイ出来てるって思うと嬉しいや。いろんな人を感動させる選手になれるとええなー。』
「有志なら大丈夫だよ。」
『あなたが言ってくれるなら心強いわ。ありがとーな。落ち着いたら、一緒にのんびり過ごそー。』
必死に、だけども全力で楽しみながら、バレーをしている有志のことが好きだ。
よし、次会う時には、有志の好きなハンバーグ作ってあげよう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。