それからは、神威、と言う名の男はしょっちゅうここに来るようになった。
神威は外の世界を知らない私に、色々なことを教えてくれた。
今まで他の世界のことなんてあること自体知らなかったし、知る気もなかったが、神威の話を飽きるほど聞いたとき、ある気持ちが沸いた。
冬華) 神威。その話はもういい。飽きた。聞くよりもこの目で見てみたい。他の世界が。
神威) え…………でもアンタは…………。
と言う神威を遮り、
冬華) 遠くからでもいいんだ。連れていってくれないか?
と言った。
"好奇心"なんて、今まで生きてきて初めて抱いたかもしれない。
見ることによって自分の何かが変わるような気がしてきた。
神威) わかった。んじゃあこれに乗って。
と神威は大きな船のようなものを指差して言う。
私は宇宙船に一歩足を踏み入れた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。