第7話

好きな人
799
2019/04/18 15:30



最近アバンティーズはすごく忙しそう。
ファンミーティングで地方へ行ったり、
他のクリエイターさんのイベントに参加したりと
家を空けることも多くなった。

そんな1人の日に連絡をくれるのは
いつもえいちゃんで、
エ「ちゃんと鍵閉めたか確認してから寝ろよ」
とか、
エ「インターホン鳴っても出なくていいよ」
とか、本当によく気にかけてくれる。


イベントから帰って来て数日経ったある日、
珍しくりっくんが私の部屋にやって来た。

『りっくん?どうしたの?』

り「リクヲ特製、
マシュマロ入りホットチョコレート
飲みたくないですかー?」

『すっごい甘そう(笑) でも飲みたいかも!』

り「分かった!ちょっと待ってて!」

そう言って一度キッチンへ行った。


『ん〜〜〜甘いイイ匂い〜〜。』

り「いつもありがとうっていう
感謝の気持ちも込めて。召し上がれ〜。」

『こちらこそいつもありがとうだよ。
みんなにスゴく救われてる!
それで・・・どうしたの?ケンカした?』

私はホットチョコレートに口をつけながら
りっくんに聞いた。

り「ううん、そうじゃなくて・・・
あなたちゃん、えいちゃんのこと好き?」

突然のりっくんの質問に驚いた。

『好きだよ?
りっくんもそっちゃんもみっくんも。
みんな大好きだよ。』

り「ありがとう(笑)
でもそういうんじゃなくてね、
俺は恋したことないから
あんまり上手く言葉に出来ないんだけど、
あなたちゃんはえいちゃんに対して
特別だなって気持ちが
あったりするのかな?と思って。」

『特別な気持ち・・・?』

り「うん。
最近2人仲良いし、もしそうだったら
応援したいなと思って話してみたんだ。
俺はあなたちゃんのことも
えいちゃんのことも好きだからさ。
もちろん、友達としてね(笑)」

私も恋の経験は多くない。
付き合ったことはあるけど、
その場の雰囲気で、みたいな所もあって
長くは続いたこともないし
正直特別という気持ちがどんなものか
分からないのが本音だった。

『えいちゃんのことは好きだよ・・・
でも3人も同じくらい好きだし・・・
家族みたいな、お兄ちゃんみたいな存在で
それ以上って考えたことなかったな・・・
特別って感情が何なのかが
正直分かんない・・・ゴメンねりっくん・・・』

り「謝らないで?
俺の方こそ難しいこと聞いてゴメン。
そうだよね、しばらく会ってなかったけど
小さい頃はずっと一緒だったもんね。」

『うん・・・』

り「覚えてる?
小さい頃よくお泊まりして
5人で川の字で寝てさ〜!」

『・・・!懐かしい!
ほんとに兄妹みたいだったよね!』



エ「・・・特別だと思ってたのはずっと俺だけか。
もう・・・夢見るだけムダか。」


部屋の扉の向こうで
彼の心に傷を負わせてしまったことに
私はまだ気づいていない・・・

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