第2話

再会
909
2019/04/14 01:50


19歳の春、私は突然1人になった。
両親が交通事故で亡くなった。
本当に急だったから実感が湧かなかったのと、
頼れる親戚もいなかったことから
『私がしっかりしなきゃ』という責任感からか
直後は涙が出なくて。
現実を受け入れて初めて涙を流したのは、
葬儀が始まってからだった。

これからどうしよう。
父「もう少し広い所へ引っ越そうか」
と、引越しが控えていたから
今住んでる家は今月いっぱいで退居。
かと言って次の広い家に1人で住むわけには・・・
そうなると一人暮らしの部屋を探さないと。
大学だってまだ入学したばかり。
学費や生活費も稼がなきゃいけない。

悲しみと同時に不安が押し寄せて
涙が止まらなかった。


?「あなたちゃん・・・」

『あ、そっちゃんの・・・』

呼ばれた方を振り向くと、
幼馴染4人のお母さんたちだった。
家族ぐるみで仲が良くて
母親同士は年賀状のやりとりをしてたから
久しぶりとは言え、連絡を入れたのだ。

そ母「大変だったね・・・」

エ母「ゴメンね、あの子たち仕事で来れなくて」

『いいえ、本当に急だったので・・・』

み母「・・・これから大丈夫・・・?」

『ははっ・・・正直参ってます・・・。
これから家も探さないといけないし・・・。』

そ母「・・・あなたちゃんが良ければだけど。」

そっちゃんのお母さんはこう言った。

そ母「うちの子たち4人もね、
上京してこっちで4人で住んでるの。
学校のこともあるだろうし、
ある程度落ち着くまで
お世話になったらどうかなって。
おばさんちゃんとそらに説明するから。」

リ母「女の子1人も不安だしね・・・。」

『本当にいいんでしょうか・・・』

エ母「親バカだと思われるかもしれないけど、
あの子たち悪いやつじゃないよ。
きっと受け入れてくれる。」

そう言ってえいちゃんのお母さんは
私を優しく抱きしめてくれた。


その後、そっちゃんからOKの返事が来て
私は4人が住む家へ行くことになった。

『・・・お父さん、お母さん。私、頑張るね。』

空っぽになった長年住んだ家に、
ペコッと頭を下げて私は家を出た。



プリ小説オーディオドラマ