«エイジside»
あなたを追いかけられず、
1人とぼとぼ家に帰ってきた。
玄関にあなたの靴があった。
ちゃんと家に帰ってきてることに安心した。
?「おかえり。」
リビングのドアが開き、そらが出てきた。
エ「ん・・・ただいま。」
そ「ちょっと話せる?」
エ「・・・うん・・・」
そう返事をして俺は
自分の部屋にそらを入れた。
そ「あなたちゃんが泣きながら帰ってきた。」
ドアが閉まるなりそらが切り出した。
エ「・・・・・・」
そ「えいちゃん、なんか知ってんの?」
答えられなかった。
確信がもてない以上、適当なことは言えない。
そ「・・・俺あなたちゃんに好きって言った。」
エ「!!」
俺はバッと顔をそらに向けた。
正直驚いた。
そらはモテるし女友達も多いから、
まさかあなたに思いを寄せているとは
思ってもみなかった。
そ「キスもした。」
エ「・・・っ!お前・・・っ!」
俺は思わずそらの胸ぐらを掴んだ。
そ「えいちゃんこの前うちでレナさんと
そういうことしてたよな?
俺にどうこう言う筋合いあんの?
今日だって一緒にいたんじゃねぇの?」
エ「それは・・・っ・・・」
言い返す言葉が出て来ない。
そ「俺本気だよ?
お前と違って中途半端な気持ちで
あなたちゃんに近づいたりしない。
その中途半端さで傷つけたりもしない。」
エ「俺だって本気で・・・!」
そ「とにかく、コソコソすんのは嫌だから
ちゃんと言ったぞ。」
そらは俺の腕を振り払って服を整えると
部屋から出て行った。
エ「・・・中途半端だって・・・」
自分が1番分かってんだよ。
お前みたいに素直に言えないから、
言えずに隠した感情のやり場が分からなくて
楽になりたいと思ってとった行動の
結果がこれだ。
楽になるどころか苦しくなるばかり。
エ「・・・勘弁してくれ・・・」
1人になった部屋に自分の声がやけに響いた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。