朝食を食べながら始めたこの相談会も、
気がつけばもうすぐお昼時だった。
この数時間、あなたからひたすら話を聞いたわけだが、
甘い!甘すぎる!!
こっちの脳みそまでとろけてしまいそうなくらいの惚気話のようなものを、
まるで初めて遊園地を見た子供のようなキラキラした瞳で嬉しそうに話し続けてくる。
最初は、可愛いなぁと思いながら聞いていたが、正直途中からめんどくさくなって、半分上の空で聞き流していた。
ほんとうにあなたは決断する気があるのだろうか…。
このままじゃ埒が開かないから、こうなったら僕が、あなたに相応しいヒョンが誰かを見極めてみよう。
そのためにはまず…
あなたと話していたダイニングを離れ、トイレに行く…
フリをして、先ほどから異様な空気を放っている、ある部屋へと向かい、
ノックもせずに扉を開ける。
扉を開けた先には、驚いた様子の哥達と、
なぜか1人だけ苦しそうな顔で頭を押さえているシャオジュン。
シャオジュンの言葉は全力スルーしたまま、
ウィンウィンヒョンの放った言葉に、
ヒョン達全員が息をのむ。
僕は重大発表を控えているかのようなフリをしてゆっくり溜めながら話す。
僕の言葉を聞いた途端、ヒョン達の緊張が緩む。
うわ、なにこの人達…気持ち悪い…
あなたに好かれてるって知った途端
めちゃめちゃニヤニヤしてんじゃん。
もうさっさと聞きたいこと聞いて、あなたに決めさせて、帰ろう。
こんな空間に長時間居ればきっと僕まで頭がおかしくなってしまう。
僕は端的に、そして考える間も与えずにヒョン達に問う。
うわ…ヒョン達に笑われてる…///
そりゃちょっとは好きだけどさ!
ヒョン達ほどじゃ無いし!!
でもまぁ…あなたと宿舎生活ってやつ…できたとしたらどんな感じかなって考えたり…
って今はそんな場合じゃなかった!
ヒョン達も一通りからかったし、聞きたかったことは一応聞けたし、
そろそろ戻んないと、あなた待たせてるから。
未だニヤニヤしているヒョン達の視線を背中に受けながら扉を開けると、
目の前にあなたが居た。
そしていきなり、
僕もヒョン達も目玉が落っこちちゃうくらい
衝撃的なことを口にし出した。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!