僕は今、
真っ白な光に包まれている。
隣を見れば…
優しく笑う威神哥達。
目の前に広がるのは
花のようにも
蛍のように見える
緑色の光の束。
あれ?
いま、どういう状況だっけ…
確か……
そうだ!
威神哥達のライブを見てて、
すっごく楽しくて…
ファンの人たちと交流する哥達はすっごく幸せそうで。
ルーカス哥の言葉に感動して…
っで…
あれ?
東名阪ドームツアー?
じゃなくって…
そうだ。
スペシャルなお知らせだ!
それで、お知らせを聞く直前にスタッフさんに呼ばれたから
お知らせを聞けなくて残念だなーとか考えながら
指定された場所に立ってて…
っで、今に至ると…。
え??
待って、嘘…
コレ…
!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!!?!?!?
待て待て待て、頭が追いつかない。
はい?
僕が立ってるのってもしかしてステージ?
いや、でも僕のデビュー発表は
来月だって、マネ哥もテヨニヒョンも言ってたは…ず…
ウェイゼンニに説明を施すヤンヤン哥。
ってちょっと待って!
え?僕に説明してくれないの!?
こういうのって、ちゃんと準備してやるものじゃない!?
いきなりやるもんじゃないでしょ!?
あっ…ダジュン哥が壊れてたのってそういう…
今までの人生で一番、いや…今後の人生を含めても1番の混乱の中で、
何故か冷静に納得する自分も居た。
っていうかやっぱりおかしいでしょ。
これで僕が失神なんかしたら一体このライブはどうなっていたんだ…
イェーイじゃねぇ!!!!!!!!!
足の震えが止まらない。
その様子を察したウィンウィン哥が隣に来て支えてくれる。
ウィンウィン哥の優しい声に少し安心する。
ヤンヤン哥の声が響き渡り、会場の照明が落とされる。
ステージの準備のための暗転中、
モニターには以前宣材写真と称して撮影した時の映像が流れている…
いわゆるデビューティーザーだ。
客観的にそれを見るのは恥ずかしくて、モニターを見ないように必死で目を逸らす。
昨日のリハーサル。
最後の曲、いつものフリのはずなのに、どこか不自然なフォーメーションダンスを入念に練っていた…
まさか…
確かに哥達の模倣ならできるけど…
うそだ…
まさか初日のリストラ話が、伏線になっていただなんて…
緊張と恐怖の中に、隠しきれないワクワクが込み上げてくる。
何てサプライズを用意してくれたんだ…
こんなの見たことも聞いたこともないぞ…
思い付いたとして、普通実行するだろうか?
いや、しない。
本当にこの人たちは、
天才なんだか頭がおかしいんだかわからない。
でも間違いなくわかっていることは、
そういうぶっ飛んだ部分が彼らの強みであり、魅力であるということ。
そして、もう一つ、はっきりと言えること。
僕はやっぱり威神Vが、大好きだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。