第102話

98(衝突)
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2018/12/29 12:29
〜菊池side〜







菊池風磨
は、今なんつった?
あなた

だからピアノの世界コンクールにはでれないの









おいおいおいおい







どーゆーことだよ







ピアノの世界コンクールにはでられない?







え、ピアノの世界コンクールは2週間後だろ?







めちゃめちゃ練習してたじゃねぇかよ







なのになんででれねぇんだよ







中島健人
どーゆーこと?
中島健人
もう少ししたらあるんだよね?








あなたは黙ったまま







シップが巻かれている小指を見た







菊池風磨
それ小指ででれねぇの?
あなた

うん

中島健人
なんで!なんでそうたったんだよ!








あなたは俺たちに背を向けて話し始めた







あなた

私が3歳の頃にピアノをはじめて
両親は仕事が忙しかったから
1人で弾くことが多かった

あなた

でもどんなに仕事が忙しくても
ピアノの発表会の時は必ず
見にきてくれてて

あなた

いつしか私は両親のために
ピアノを弾くようになったの

あなた

だけど ・ ・ ・
交通事故で亡くなってからは
弾くことはひくけど誰のために
なんのために弾いているのか分からなくなって
もうピアノを弾くのは辞めようと思ってた

あなた

そんな時にこのコンクールのことを知った

あなた

このコンクールは両親が生きていた頃
1度見に行ったことがあって
その時両親と約束したの

あなた

もし私がこのコンクールに出られたら
私のお願いを聞いてあげるって

あなた

その時私は『パパとママとずっと一緒にいたい』
ってお願いするつもりだった

あなた

その願いは今も変わってない

あなた

けどこのコンクールに出るためには
年齢の条件があって
私にとっては今年が最初で最後なの

あなた

だからでなきゃいけないの

あなた

でも ・ ・ ・









そこまで言うとあなたは







振り返って笑いながら







あなた

練習しすぎて怪我しちゃった笑









その笑いは無理してつくったものだって







俺には分かるよ







多分中島にも







菊池風磨
それは骨折?
あなた

そう

中島健人
え!
中島健人
骨折ならそんなシップなんかでいいの!?
あなた

いや、当て木みたいなのがあるよ

中島健人
してなくない?
あなた

あー、だって当て木して包帯ぐるぐるしてたら
舞台のレッスンする時にバレちゃうじゃん

菊池風磨
それ間に合わないの?コンクールまでに
あなた

無理みたい笑

あなた

今のまま弾くと指が壊れるんだって笑









ほら







またそうやって作り笑いしてる







中島健人
無理して笑うなよ
あなた

ははっ笑

あなた

別に無理なんか笑

菊池風磨
充分無理してる
菊池風磨
辛いんだろ?
菊池風磨
泣きたいなら泣いてもいい








俺はあなたを抱きしめた



















to be continue

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