(Mukai)
今日、俺はある決心をして、ふっかさんを連れて、居酒屋に来た。
わざわざ個室にしたんやからね笑
お酒を飲みながら仕事の話をしたり、ちょっとした相談をしたりして、今日の本題に入ろうと思う。
俺はふっかさんが好き。
だから今日、長い間拗らせてきたふっかさんへの想いを伝えようと思う。
どうせ俺の片想いやって分かってるし、振られたとしてもこの恋に決着をつけられるんやったら別にええかと思って。
ほんとはもっとストレートに告白するつもりだったんだけど、緊張して遠回しに言ってしまって、これがいけなかった。
予想だにしなかった言葉が返ってきて、一瞬頭の中が真っ白になった。
好きな人の事を思い浮かべているのか、うっとりしている表情のふっかさんを見ていたら、告白なんてできたもんじゃない。
告白するつもりで来たのに告白もせんと振られて終わるなんてもう笑うしかないよな。笑
ていうか、最初っから叶うはずのない恋って分かってたのに、ちょっと期待した自分が馬鹿みたい。
今日のことなんて全部忘れたくって、目の前のお酒に手を伸ばした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!