(Fukazawa)
付き合って3年、そして俺がだての家に居候するようになって一年がたった今日、俺はあることに気づいてしまった。
歳上なのに、付き合って3年で全くいいとこ見せれてない…。
「チンして食べてね」ってメモ書きの隣にあるのはもちろん舘の手作りのお昼ごはん。
朝早かっただろうに。
深「こんな丁寧に、はぁー、」
俺ばっか甘やかしてもらって、これじゃあどっちが歳上なんだか、申し訳なくて思わずため息が出る。
深「今日こそは…!」
今日こそはいいとこ見せるんだって声に出して気合を入れてみるけれど、具体的に何をしようかは全く考えていない。
夜ご飯作るか?…いや、そんなことして火事でも起こしたらどうする…?
家の片付けは…俺が下手に片付けたら余計散らかすな。
それなら、……もっと違うことで甘やかす?
深「っ、いやいやいやいや、」
そもそも舘はそんなキャラじゃない。
俺が甘やかすなんて言っても、さらっと流されてしまうのがオチだろう。
…でも、俺にできるのはそれしかない。
今日の夜ご飯は外食にするとして、俺の好きなラーメン屋にでも連れて行こう。
思い立ったら即行動!
すぐ舘に「ラーメン食べに行こ❗」と連絡する。
そっから家に帰ったら…そうだなぁ、舘をどうやって甘やかそうか。
てかそもそも、だては甘やかされて嬉しいタイプなんだろうか…。
深「わっかんねぇ…」
頭を抱えて項垂れるけど、そんなことしてもいいアイデアが浮かぶはずもなくて。
向「ふっかさん?急にどしたん、」
深「こうじ、ちょっと聞きたいことが…」
舘と仲のいい康二に頼ってみることにした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。