第90話

3,300
2021/05/06 16:04
(Watanabe)
ソファで項垂れながらちらっと時計を見ると、もう少しでふっかが帰ってくる時間で、スマホには

「仕事終わったよ❗」

と、いかにもふっからしい文章が表示されている。

返信する気なんて微塵も起きずにソファにもたれかかっていたら、インターホンが鳴った。
渡辺翔太
はぁい、
深澤辰哉
翔太!おれおれ!
オレオレ詐欺かよ、なんて心の中でツッコミを入れて、プレゼントを持って玄関まで歩く。


うるせぇな、俺の心臓の音。
いい加減静かにしてくれよ、
渡辺翔太
ふっか、仕事おつかれさん。
今日、誕生日でしょ?
うわ、俺まじで可愛くないな。
照れるとどうしても口調が悪くなってしまう。
渡辺翔太
はい、これ。
ふっかに押し付けるようにしてプレゼントを渡せば、驚きながらも受け取ってくれた。


結局、好きって言えなかった…
しょんぼりしながら部屋へ戻ろうとしたら強く腕を引かれて、気づいたらふっかに包み込まれていた。
深澤辰哉
翔太、ありがとう。
へへ、嬉しい。
ヘラヘラ笑いながら髪を撫でられる。
好きって言うなら今しかない、そう思った。
渡辺翔太
それはよかった…。
あの、、大好き、だよ…
やっと言えた安心感からかなんなのか、肩の力がすっと抜けたその時だった。
渡辺翔太
はぇっ!?
俺のおでこにふっかの唇が触れる。
びっくりしすぎて変な声が出てしまった。
深澤辰哉
翔太照れてんの?笑
かぁいいねぇ。笑
今度は目を合わせて頭をくしゃくしゃ撫でられる。

なんだよこれ、苦しい、かも。いや、かもじゃなくて普通に苦しいんだけど。苦しすぎるんだけど。

俺がその場で棒立ちしてたら、
深澤辰哉
腹減ったから早く部屋いこ、
とか言いながら俺の手を引いて歩いていく。
しかもちゃっかり恋人繋ぎだし。  

俺をどこまでキュンキュンさせるつもりなんだよ!

くだらない事を考えていたら、着ていた上着を脱ぎながら俺に話しかけてくるふっか。
深澤辰哉
翔太何考えてんの?
耳で光るピアスにさえもドキドキして。
渡辺翔太
…お、俺の心臓ばくはつしたらお前のせいだかんな、
と、苦し紛れにそういえば大爆笑されて、俺がむっとしてたらごめんごめん、なんて言いながらまた、俺の頭を撫でてくる。


頭撫でられても俺の怒り収まんねーから!!
…でもそれ、嫌いじゃないよ。



ふっかおめでとう。
これからも俺だけのふっかでいてね。




__________End________

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