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第1話

第1話
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2020/07/16 10:57



〜 さとみside 〜



赤錆びた線路の上を、君と手を繋ぎながら歩く


俺はさとみ。17歳。
普通ならもう高校生なんだけど、俺は孤児院育ちだから、学校には通っていない
もちろん親もいないし、家も家族もない
でも、そんな人生も嫌じゃなかった

だって、こいつがいるから

ころん
ころん
さとみくん!見て!カニだよ!


…そう、こいつ

ころんって言う俺の弟

歳は15歳

弟って言っても血は繋がっていないけど、小さい頃からの大切な家族だ

さとみ
さとみ
……そうだなw


俺ところんは、まだ俺が14の時に孤児院を逃げ出した

一緒に、遠くへ遠くへ。誰にも見つからない、小さな廃村まで


俺ところんが孤児院を逃げた理由は、ころんの秘密だった

ころんは……"人狼"っていう、人の姿をした人喰い狼

それが原因で周りから嫌われ、施設の人にまでろくな扱いを受けてもらえなかった


だから……孤児院を逃げ出したあの日から、ころんは俺が守ると心に誓った





ある冬の寒い日の事

その日は食料が見つからず、雪山の奥へと食べ物を求めてさまよっていた


ころん
ころん
さとみくん……寒い……
さとみ
さとみ
大丈夫だころん。お前は俺が守るから……


吹雪が俺の視界を遮り、強い風が行く手を阻む

ころんが飛ばされないようにしっかりと抱きかかえるが、足がどうにも動かない

さとみ
さとみ
くっ……!
ころん
ころん
さとみくん大丈夫…?
さとみ
さとみ
あぁ、大丈夫……
もう、ちょっと…だから……


……あと少し、もう少し

そう自分に言い聞かせながら、震えて動かない足を必死に動かす


しばらく歩き続けると、遠くの方に小さなあかりが見えた



(あれだ……)



あそこに誰かいるかもしれない

そう思い、必死に灯りの方へと足を動かす



それと同時に、物凄い風が俺達を襲った

さとみ
さとみ
うわぁッ?!
ころん
ころん
わぁあッ!!


ザザザザザザ……


薄れ行く意識のなか、俺はころんの手を、強く強く握りしめた……



━━━━━━━━━━━━━━━









































(あれ……ここは……)

さとみ
さとみ
んっ……?
るぅと
るぅと
あ、やっと起きましたか
さとみ
さとみ
え……?


目を覚ますと、そこは大きな屋敷のホールのような場所だった

俺の目の前には、黄色い髪の、多分俺より年下っぽい男が立っていた


(そうだ……ころん……!)

さとみ
さとみ
……ころんは!
るぅと
るぅと
ころん…さんですか?
その人かはわからないけど、その青髪の男の子……


彼が指をさした方に視線を向けると、俺の隣ですやすやと眠っているころんがいた


(良かった……ころん、生きてる……)


そんな安心と共に、恐怖心を持ちながら黄色い髪の人に話しかける

さとみ
さとみ
あの、ここは……?
るぅと
るぅと
ここは山にある屋敷です。
凄い音がして、少し扉を開けてみたらお2人が倒れていたので、ここまで連れてきたんですよ
さとみ
さとみ
そう、ですか……


倒れていた、という事は、気を失った時にここの近くまで飛ばされたのか

……ころんの手を握っておいて良かった

るぅと
るぅと
実は僕達も貴方達と同じ理由でここにいます。
さすがにこの吹雪じゃ、帰れませんもんね……


……僕達?

という事は、他にも遭難した人達がこの屋敷にいるのだろうか

さとみ
さとみ
あの、僕達っていうのは……
るぅと
るぅと
あぁ、他にも何人か遭難してここに来たんです
確か5人くらい来てましたね……


そうか、俺達の他に5人も……

さとみ
さとみ
あの、その人達は……?
るぅと
るぅと
今、食料庫に食べられる物が無いか見に行ってもらっています
そろそろ帰ってくると思うのですが……
ななもり
ななもり
あ!いたいた!ありましたよ〜!
莉猫
莉猫
っとーこんな感じですかね


声がした方に目をやると、缶詰のようなものを沢山持った5人が階段から降りてきた

ジェル
ジェル
缶詰なのに賞味期限ギリギリやね〜……
遠井 あかね
遠井 あかね
そうね…早く吹雪が止めば足りそうだけど……
莉猫
莉猫
えっと40個だから……
1つの缶詰を2人で分ければ、1日2食にして5日ってとこすかねぇ…
莉犬
莉犬
あ!ねぇ!ピンクの人起きてるよ!


黄色い人が言っていた他の遭難者は、多分この人達だろう

食べ物を探してきてくれたのか、ありがたい……

さとみ
さとみ
あっ、あの……
ころん
ころん
ん……


俺が口を開こうとすると、隣で小さな音がした

その方に目をやると、寝ていたころんが目を覚ましていた

ころん
ころん
あれっ……ぼく……
さとみ
さとみ
……ころん!



(よかった……)


俺がころんを強く抱きしめると、ころんは「んぇ…?」と情けない声を出す

るぅと
るぅと
……これで全員ですかね?
もう、人が来る気配もないですし
ころん
ころん
……?
ななもり
ななもり
よし、じゃあころん君、かな?
色々説明してから、話を進めよっか!
ころん
ころん
は、はい…………?


ころんに状況の説明が終わり、一段落ついた所で黒い髪の人が口を開いた

莉猫
莉猫
あの、とりあえずみんなで自己紹介しません?
まだ名前知らない人多いし……簡単に、ほら、歳とか色々…
ななもり
ななもり
うーん、結構長い間いることになりそうだし…しておいた方がいいかもね
ジェル
ジェル
じゃー俺から!
名前はジェルで、17歳、高校2年生です!
んで、こっちが〜…
遠井 あかね
遠井 あかね
あ、えっと……
と、遠井…あかねです……?
ジェルと同い年で、高校2年生です…
ななもり
ななもり
じゃあ〜次は俺!
ななもりって言います!20歳で、大学生です!
るぅと
るぅと
……僕はるぅとです。
16歳で、孤児院育ちなので高校には行っていません


俺達の他にも孤児院育ちのやつがいるのか……

莉猫
莉猫
あっ、えっと…、莉猫です
16歳の高校1年生です…んで、こっちが弟の…
莉犬
莉犬
…莉犬です!
えっと15歳で、中3です!
さとみ
さとみ
……さとみです。
17歳で、るぅとさん?と同じ孤児院育ちなので、高校には行ってません。
ころん
ころん
……あっ、ころんです!
15歳で、僕も学校には行ってません……
さとみくんは、血は繋がってないけど、お兄ちゃんです!
るぅと
るぅと
……こんな感じですかね
ななもり
ななもり
……じゃあ、この後どうします……?


(この後か……)


正直まだ心が落ち着いていない

疲れているからゆっくりしたいが、そうしている暇も無さそうだしな

さとみ
さとみ
あの、何人かで別れて屋敷を探索しません……?
後でここに集まって、情報を貰っておきたいですし…
ジェル
ジェル
あ、それええな、俺は賛成!
るぅと
るぅと
……ではそうしましょうか、ペアは…身内と個人の人で別れれば大丈夫そうですかね
莉犬
莉犬
はーい!
ころん
ころん
わ、わかりました……


そして、俺ところん。

莉犬さんと莉猫さん。

ジェルさんとあかねさん。

ななもりさんとるぅとさんでペアを作って、俺達は3階の探索に行く事になった

ななもり
ななもり
それじゃあ、また後で!
ジェル
ジェル
30分くらいしたらここで、な!
莉猫
莉猫
了解です
さとみ
さとみ
では、また後で


俺達はそれぞれの階に行き、探索を始めた





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1話なのにこんなに長くなっちゃってすみません!

多分こっちがメインの投稿になると思います……(´・ω・`)


2話をお楽しみに(´˘`*)

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