15分走って、野坂公園の入口へ。
公園にはクラスのやつらがかなりいた。
珠莉が涙目で俺に訴えてくる。
公園の奥に目をやる。
公園の奥には隣の高校の制服を着た男子生徒
に腕を掴まれて動けない彩。その彩は一箇所
に向かって泣きながら叫び続けている。
彩の視線の先にいたのは…血塗れの真。
殴られ蹴られているのを必死に耐えている。
隣の高校のやつらは大笑いしながら続けて
いる。
俺は集団に近付きその中の一人に顔見知りが
いることが分かった。
こいつは俺が今まで会った中で一番大嫌いな
女子だ。小学校の時、クラスが同じだった。
菊地はクラスのみんなの前で俺に告って嫌と
言わせないようにした。あの時は嫌と言って
その後にいじめられそうになったのを真が
助けてくれたのだ。
菊地の言葉で真を囲んでいる男子生徒が真の
腹部を思いっきり蹴飛ばした。
「あ、そうそう。」と言うと、菊地はスマホ
をいじりながら俺の方に来た。
菊地が見せてきた画面には真が写っている。
けどそれは確実に…いじめられている瞬間に
撮られた写真だった。
小学校時代の真が睨むような目でレンズを
見ている。
次に見せられたのは…髪を切られている最中
の写真。
クスクスと笑いながら、菊地が俺の耳元で
囁く
真が蹴られながらじっと俺と菊地のやり取り
を見ている。
菊地の言葉に俺の心は崩れるようにして、
壊れていった…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!